第221話 インフラストラクチャーは大事!

昨日の午後、緊急入院があり、バタバタと初期評価、ご家族への病状を説明した後、入院カルテ作成のため、たくさんの用紙と格闘していた。午後3時ころだっただろうか?手を洗おうとしたスタッフが「あれ?水道から水が出ない!」と声をあげた。しばらくするとフロアのあちこちから「水が出ない」と声が上がり始めた。


何だ、なんだと思いながらカルテを書き終え、別の階に移動。そこでも「急に水が出なくなった」とスタッフが騒いでいた。一番困ったのは入浴中の患者さんだっただろう。シャワーが出なくなれば大変である。「何だろう、なんにせよ、水が出ないのは大変だ」と考えていると、各フロアのNs.ステーションに電話が。施設課から「水道の故障で全館で断水です」とのことだった。もちろん、府営水道に問題が起きたわけではなく、院内の水道設備が故障したようだった。


医療を行なう上で、清潔な水は欠かせない。経管栄養の道具を洗うにせよ、処置用の金属製のはさみや鑷子(ピンセット)などを洗うにせよ、手を洗うにせよ、きれいな水は必須である。ラッキーなことに、当院は人工透析をしていないので、水が止まった途端に患者さんの命にかかわる、ということはないが、水が使えないのは深刻な問題である。


午後4時からは定例の医局会があり、医師全員が医局に集まった。冒頭、バタバタ忙しそうな事務長が「報告事項です」とやってこられ、「一階の貯水槽に水を送るパイプが破裂、大規模な漏水が起きたので、病院の水道の元栓を閉じました。今、至急で業者さんに来てもらっているので、現状では復旧の見込みは不明です」とのこと。


患者さんの夕食もあるし、トイレも流せないし、困ったものだなぁ、と思いながら何もできない私たち。


病院の向かい側に、同じ医療法人が運営するクリニックがあるので、そこの水道から水を汲んで各階に配ったとのことだった。


昨日は早出だったので4時退勤の予定。なんとなくおなかも痛いがトイレが使えないので、用が足せない。そんなわけで、医局会終了後は速やかに帰宅した。


今日も早出。まだ水道が復旧していなかったらどうしよう、と心配していたが、一時的に水のバイパス路を作ってもらい仮復旧したとのことだった。



短時間の断水でも、かなりの不便を強いられるので、実際に地域のインフラストラクチャーが破壊され、電気、水道、ガスが来なくなったらどうするのか、本当に困るなぁ、と強く実感したのと同時に、「そんな大事な水道管が破裂するなんて、うちの病院、どれほど老朽化しているのだろう?と心配にもなった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る