第213話 ワクチン外来でびっくり

土曜日の午後はワクチン外来を担当している。今日もインフルエンザワクチンの接種に頑張った。


今日の外来はちょっといつもとは違って、診察室に入ってくる患者さんの多くが、明らかな心雑音を呈していた。


「○○さん、これまで心臓に雑音があるって言われたことはありますか?」と、ワクチン外来ではあるが、心雑音を聴取した人には尋ねるようにしている。しかしこれだけ続けて雑音が続くのは珍しい。


「はい」という人もいれば、当を得ない返事をする人もおられた。ワクチンのカルテは自費カルテ、保険診療は保険カルテ、と記載ページが異なるので、外来カルテを確認する。


当院には非常勤で循環器内科専門医が専門外来を週2回開いているので、雑音のある人の保険カルテを見ると、ほとんどの場合、循環器の先生に定期通院している人だった。


「あぁ、循環器の先生に診てもらっているのですね。わかりました。ワクチンは大丈夫ですよ」と声をかけてワクチンを接種する。循環器内科にかかっていない人でも、保険カルテをパラパラっとめくると心エコーの所見用紙が挟まっていて、followされていることがわかる人もいた。「これまで通り、○○先生の外来で診てもらってください。具合の悪いことがあれば、○○先生と相談してくださいね」と言ってワクチンを接種する。


今日の外来を始めたばかりの時は、「なんで今日はこんなに心雑音の強い人が多いんだ??」と面食らったが、おそらく、循環器内科の外来日に今日の予約を取られた人が多かったのだろう、と推測している。わかってしまえば納得である。


ただし、二人、明確な心雑音が聞こえるのに、心雑音のfollowをされていない人がいた。一人は他院に定期通院中の方だったので、「主治医の先生に『この前ワクチンを打ちに行ったら、医者から心雑音があるから診てもらえと言われた』とお伝えください」と言って帰宅とした。一人は、不定期に当院にかかっておられる方だった。なので、「一度外来に診察に来てください。心臓の超音波検査などしましょう」と伝えて帰ってもらった


15人くらい心雑音の人が来られた。一人一人そのようにお話をするので、ずいぶんワクチン外来が長引いた。疲れた…。

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