第139話 やっぱり変だと思う。

横浜地裁で、生活保護費の減額は違憲、という判決が出た。この系統の話は以前書いたことがあるので、もうあまり詳しくは書かないが、一つだけ。


「文化的生活を営む必要最低限」を担保するのが生活保護制度であると理解しているのだが、そうであるなら、生活保護を受け取っておらず、生活保護世帯よりも低収入で仕事をして、生活を送っている人たちが少なからずいることを、司法はどう考えているのだろうか?今回の判決を出すことで、明確に「生活保護世帯よりも低収入で生活せざるを得ない人」は憲法に保障された基本的人権の一つである「生存権」を守られていない人である、と認定したわけである。この人たちの違憲状態を司法はどう考えるのだろうか?それは今回の裁判の論点となっていないので、司法は関係ないと思っているのだろうか?


司法が「正義」のために、そして「法」を正しく執行するために存在するものであれば、当然この問題についても、司法は明確に意見を提示するべきであると思われる。立法府、行政府にこの問題を提起すべきであると思うのだが、どうだろうか?


もしそのような問題提起が、判決文の中でなされていなければ、司法が「そんなこと、論点になっていないから、おら知らね」という態度に見える。


誤解を招くと困るので、明確に私の意見を伝えておく。生活保護費の減額が合憲か違憲か、という事には私は意見はない。ただ、「違憲」とするのであれば、生活保護費よりも低収入で生活せざるを得ない人が現実に存在する、という事実が、生活保護費の議論よりも優先して対処し、改善すべき「違憲状態」であると考える。「生活保護」というセイフティネットを利用しようとしても、窓口で門前払い、などで利用できない事実を議論せずに、「生活保護費の減額が生存権を脅かすかどうか」という議論を行なうことが「変だ」と思っている。

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