公開した後悔
「おじゃましまーす」
何の因果か後輩を家にあげてとりあえず
手を洗わせる
「手洗ったら適当に座ってて、お腹すいてるー?」
起きてしまったことは仕方ないのでご飯くらいは作ってあげようと思った
「ごはんつくってくれるの?」
そうやって眠そうな目をしながらトテトテ歩いてくる愛菜に客人用のスリッパを出してあげる
「食ったなら作らないけど、食べたいならカレーとか作るよ」
そう言うと愛菜は食べると答えて部屋を物色し始めた
「部屋ガラガラだね、休みの日何してるの?」
料理をしながら背中越しに聞こえた声に
「仕事忙しくて休みはずっと寝てたよ」
そう答えると愛菜はあっと小さい声を漏らして
「休みの邪魔してごめん、明日でてくね、」
多少強引に家にあげさせられたけど、きちんと僕のことを考えてくれた愛菜にほだされたのかまだ酔いが覚めてなかったのか、親友にすら隠してた秘密を口走ってしまった
「あー、仕事やめちゃったから大丈夫だよ」
しまったと思いながら振り返ると愛菜は心配そうな顔で大丈夫なの?と聞いてきた
「まぁ、貯金はあるししばらく大丈夫だよ」
いつからか不安な自分に言い聞かせるように沢山使うようになった魔法の言葉「大丈夫」を沢山並べながら彼女に返答した
「そっか、アタシが料理しよっか?」
そうやって隣に来た愛菜が僕を見上げながら言う
正直お酒を飲んでいたし歩いて帰ってきたこともあって早く風呂に入って休みたかったので、その申し出を受け入れる
「先に風呂入ってきていい?」
愛菜のおけーと気の抜けた返事を確認して
ベランダに干しっぱなしにしていた服とバスタオルを持って風呂場に行く
風呂は家を出る前に時間を設定してためておいたのですぐに入れるようになっていた
のんびり身体を洗って湯船に浸かっていると
愛菜も風呂に入っていなかったことに気がつく、年頃の女の子が男の後の風呂に入るのは嫌がるのだろうか?少し考えたがまぁ嫌だったらシャワーで我慢して貰おうとかんがえ
今日起こったことが思い浮かべる
優斗と話した思い出や嘘をついたこと
愛菜との中学時代の思い出などのんびり思い出していると、若い女の子が男の家に夜いるということの意味をやっと思い出して頭を抱えた、正直僕はそういうことに興味がないし、
きっと愛菜も同じだろうと考え
まぁ大丈夫かと思いながら風呂を出て着替える。
リビングに戻ると愛菜はまだキッチンスペースに立っており美味しそうな匂いをするカレーをかき混ぜていた
「風呂先に入っちゃって悪い、シャワーで大丈夫?」
そう聞くと愛菜は不思議そうな顔をして
「湯船ないの?」
と聞いてきた、予想してなかった返答に驚きながらも、人の入ったあとの湯船が嫌じゃないか聞くと
「別にきにしないよ?」
また不思議そうな顔をして言葉を返してきた
本人が気にしないと言うならそうなのだろう
「残り料理やっとくから風呂入ってきていいよ、着替えはある?」
「ある、行ってくる」
そう言ってリュックの中から服を出して
僕が新しく出したバスタオルを受け取って
風呂に向かっていった
しばらくしてカレーが出来上がった頃に
愛菜は戻ってきた、おかえりと言いながら冷蔵庫にあった缶ジュースを手渡す
そしてレトルトのご飯をあっためてカレーを盛り付ける
2人分のカレーをトレーに乗せて
テーブルまで持っていく
「いただきます」
そう言って食べ始める愛菜をしばらく眺めていると首にうっすらだが締められたような痣が見えた、気付かないふりをして僕もカレーを食べ始める
食べ終わって皿洗いをしてくれようとした愛菜を止めて自分で皿を洗っていると
愛菜が隣にやってきて袖を引いてきたので
どうしたの?とたずねる
「アタシどこで寝たらいい?」
そう問われて完全に失念していたことを思い出す、この家には僕が寝る用のベッド以外ソファもなければ客人用の布団もなかった
少し考えたあと
「愛菜はベッドで寝ていいよ、僕は1人で酒でも飲んで明日まで起きておくから、明日2人で布団を買いに行こう」
そう言った僕に愛菜は申し訳なさそうな顔をして目を逸らしながら
「別に、一緒に寝てもいいよ」
と言った、僕は何を言っているか分からず
どういうこと?と聞き返した
「ベッドひとつしかないから、2人で一緒に寝てもいい」
そうやって頬を赤らめて俯きながら答える愛菜だったけど、さすがに大人としてうんと言える訳もなく
「気にしなくて大丈夫だよ」
そう答えると愛菜は俯いたままそっかと言って布団に潜って行った
僕は何とか説得できたなと安心して
長い夜を明かすための酒を用意するのだった
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━やっとタグ回収が出来ました…
愛菜ちゃんパートは予想よりも長くなってしまいました次の話で少し話が進むかなと思います
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