後輩そして後悔

優斗と会った帰り道、歩いて帰っていると

家からそう遠くないコンビニの前で、

不良達が四人集まって騒いでいるのが見えた、

気にせず素通りしようとすると

その中の一人に中学時代の後輩とよく似た

女の子の姿が見えた

酔いもあってかみんなに会うという目標もあってか分からないが、普段面倒が起こるとわかって話しかけないような相手に話しかけることにした。


「久しぶり愛菜、僕の事おぼえてる?」


話しかけて気づいたけど、もし人違いとか愛菜が僕のこと忘れてたら気持ち悪いナンパと勘違いされそうだなと内心冷や汗をかいていると、

愛菜の横の大柄な男がこちらを睨みながら


「おまえ人のツレをナンパするなんていい度胸だな」


そう言いながら歩を進めてきた、僕が完全にやらかしたと頭を抱えて人違いでしたとあやまろうとした時に愛菜が手を叩いて


「思い出した、先輩だよね、中学の時の」


どうやら僕の記憶は正しかったようだ、

確かに背は少し伸びて化粧もして多少垢抜けてるけど当時の面影は存分に残っていた

また気だるげな雰囲気というか態度は中学の時から全く変わっていないみたいだ


「こんなところで偶然だね、家近かったっけ?」


「家出したから」


一言そう言った彼女はバツが悪そうに目を逸らした、中学時代から親との仲が悪くて辛いと色々相談を受けたりしていたので、以外にもすんなりと受け入れられた


「寝泊まりする場所はどうしてるの?」


「ネカフェか友達の家」


そうやって素っ気なく返す彼女は珍しく言葉を続けた


「てか、先輩今彼女います?」


急な問いかけに僕は頭に?を浮かべながらも聞かれた質問にいないよと答えた


「じゃあ家行きますね、みんなまたねー」


僕は訳が分からなくて呆然と口を開けた

傍から見たらすごく間抜けな顔をしていただろう、ほら最初に絡んできた大男君も同じような顔してるよ?大丈夫?

そんなことを考えてるうちに愛菜は僕の手を引っ張って家の方向を聞いてきた


「ちょっと待ってね、あのカップルっぽい2人はいいとしても、大男くん泣きそうな顔してるよ?彼氏じゃないの?」


そう訪ねる僕に愛菜はだるそうに答えた


「あいつは可哀想なアタシを守ってる自分が好きなだけの自己中男だからどうでもいい」


そう言って大男くんに向かって手を振る愛菜

言葉を失って膝から崩れ落ちた大男くん

笑いながら大男くんの肩を叩いて慰めるカップル

そして状況が上手く呑み込めず立ち尽くす僕は傍から見たら不良の彼女をお持ち帰りしちゃった奴に見えるだろう、実際そうなんだけどね


「早くいこ」


そうやって手を引いて促す愛菜の顔を見ながら、どこで間違ったんだろうとぼんやり考えながら僕は帰路に着いた


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る