親友と昔話
居酒屋が立ち並ぶ通りの入口でスマホをいじりながらたっていると不意に肩を叩かれて話しかけられた
「おまたせ、なんだよ急に呼び出して」
そう笑いながら話しかけてきたのは
僕の高校時代1番中が良かった親友だ
名前は横田優斗
いつから仲良くなったのか、何がきっかけなのかよく覚えてないが、
話が合うし音楽が好きという共通の趣味があると言うだけで、高校生男子は簡単に仲良くなれるものだ
「いや、久しぶりにお前と話したくなっただけだよ、仕事はどう?」
そうやって僕は当たり障りのない会話を続けようとする
「、、、?そんな話のために人呼ぶようなやつじゃないだろ、相談乗るぜ?」
彼は僕のことなんてお見通しみたいだ
まぁ、3年間ずっとつるんでたら分かることもあるのだろう
そんなことを考えながら今の身の上を話すか考えた。
そもそもこんな問題伝えても僕が頑張らないとどうにもならない問題だし、伝えたところで困るだろうから話さないことにした。
「いや、ほんとになんもないよ、それで仕事はどうなの?」
曖昧な笑顔を浮かべながら同じ質問を返した僕に優斗は、一瞬ムッとした表情を浮かべたが切り替えるように話し出した
「いやー、最近やっと慣れてきたって言うのに部署が移動になってまた新しい仕事覚えないといけないんだよ」
そうやって語り出した彼は
仕事が辛いこと、上司がめんどくさい人でうまがあわないこと、でもやりがいは感じてることなど愚痴りながら答えてくれた
「それでお前はどうなの?」
僕は焦った、仕事の話をしたら僕の仕事も聞かれるのは目に見えてたはずなのに、久しぶりに親友と話せる興奮からかすっかり忘れていた
「いや、別に苦労もないかな?」
そうやって曖昧な返事を返す僕に
怪訝そうな表情をしながらも、そうなん?と言って話を流す優斗にほっとした、
すぐ近くの居酒屋に入り適当に注文したあと
さっきの話を蒸し返さないように別の話題を出した。
「そういえば、ギターはまだ続けてるの?」
高校時代僕はベースをやっていたけど
周りに楽器をしてる友達がいなかったこともあって優斗を誘っていた
2人とも音楽が好きなこともあって
色んな曲を優斗がギターで僕がベースを弾いて遊んでいた。
「あー、仕事慣れるのに大変で最近全然触ってねぇなぁ、お前はどうなん?」
優斗はそう言って僕に聞いてきた
僕も仕事に追われる毎日でベースどころか趣味の時間なんて取れなかったから、全然できてないよと伝えると
「そうだよなぁ、昔は仕事してても一緒に弾いたり曲作ろうなって言ってたのに、いつの間にかそんな目標も忘れちまったな」
そう言って少し寂しそうに言う優斗に
嬉しく思った
「仕方ないって言ったら、そうなのかな、でもまたやりたいね」
そういった僕に優斗は嬉しそうな表情をした
「じゃあ次の休みやろうぜ、あーでもコード覚えてるかな、今からワクワクしてきたわ」
そう言って楽しそうにしてる優斗を見ながら僕は、頭の中で今日で会うの最後なんだよな、とかんがえていた
「休みいつ会うかなぁ」
と適当に言葉を返して、予定を決める流れになる前に僕は他の話題を出した。
しばらくたわいのない話をして、酔いが回ってきたところで終電も近づいてきたので解散することになった
「今日はありがとう、久しぶりに話せて楽しかった!仕事頑張ってね」
「おう、お前も頑張れな次の休みのこと忘れんじゃねーぞー!」
そう言って別々の方向に僕らは歩き始めた
親友に嘘をついて、少し心がモヤッとしたが仕方ないと割り切って帰ることにした。
冷たい夜風と開いた居酒屋の扉から漏れる熱気と喧騒が少し寂しい心を温めてくれている気がした
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