第18話 魔法の本

 次の日の朝、ダザイは早起きをした。


 そして昨日にラプラスが図書館から借りて来てくれた、この世界の歴史や、魔法に関する本を、夢中になって読み漁っていた。


 ベアトリーチェ著「地獄と天国の旅行記」、ファウスト著「悪魔と取引する方法」、シャルロッテ著「叶わぬ恋を実らせるには」などがこの世界のベストセラーらしい。


 エンペドクレス著「魔法原論」によると、この世界は火・水・風・土の四大元素から成り立っている。そしてそれぞれの元素に対応する属性の魔法がある。しかし四大元素以外の属性の魔法も発見されている。それらはエーテルと呼ばれる。エーテルには実に様々な種類があり、今まで666種類が発見されている、とのことだった。


 そしてヴィンチ村出身のレオナルド著「特殊能力についての考察」によると、ごくまれに魔法でも科学でも説明できない特殊能力を持つ人間が存在する。中にはエーテルの属性の魔法と区別がつかないものもある(例えば電気を操るなど)。しかしほとんどの特殊能力は実に不思議な現象を巻き起こす。これらは輪廻転生の段階のどこかで獲得したものが発現したと考えるのが妥当であろう、とのことだった。


 「魔法原論」は二千年以上も昔に出版されたものだった。


 比較的新しい「特殊能力についての考察」でさえも五百年以上前の本だった。


 そんな大昔から魔法や輪廻転生について考えていた人がいるんだと思うと、ダザイは偉大な先人たちに尊敬の念が込み上げてきた。


 そして自分も魔法使いになりたいという思いを、さらに強くした。


 特に面白かった本はユークリッド著「基礎魔法呪文集」だった。


 そこには「アクア・ボール」や「ファイア・ボール」など基本的な魔法の呪文が載っていた。


 ダザイは早く魔法を使いたくてウズウズしていた。

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