第10話 ハイリゲンシュタットの町
しばらくしてダザイたち三人はハイリゲンシュタットの町に到着した。
ハイリゲンシュタットの町は周囲を壁で囲まれていた。
ダザイたちは門番にパスポートを見せて、町の中に入った。
町の中は中世ヨーロッパのような街並みが広がっていた。
商店街は大勢の人で賑わっていた。
町の中央の丘には、お城も建っていた。
「これだよ。私が求めていたものは。異世界転生と言えば、やっぱりこれだよね」
ダザイは瞳を輝かせながら言った。
「面接会場もジャングルの奥地ではなくて、この町に作ってくれたら良かったのに」
ダザイはラプラスを小突いた。
「ジャングルを抜けて面接会場に辿り着けるくらい強い人しか、この星では生き残れないからね。ヘミングウェイに連れて来てもらった人もいるみたいだけど」
ラプラスがそっぽを向いて答えた。
「とりあえずギルドに行こうよ」
ダザイはすっかりウキウキだった。
「気楽でいいわね…」
ラプラスは苦笑いをした。
ダザイたちは町を歩いてギルドに向かった。
ダザイはずっとキョロキョロと辺りを見回していた。
商店街はメンロパークという、かわいい名前が付けられていた。
街並みは中世のようだが、なぜか電灯だけが、やたらと近代的だった。
商店街に並んでいるのは、どれもこれも面白そうな店ばかりだった。
特に「伝説の品物屋」に売っていたアリアドネの糸はキラキラと輝いて、とても綺麗だった。
古本屋にも面白そうな本がたくさん置いてあった。
ユリウス・カエサル著「ブルータスに復讐する方法」、エヴァリスト・ガロア著「二十歳で決闘で死ぬ方法」、ハンニバル・バルカ著「ゾウでアルプス山脈を越える旅の全記録」など、たくさんの本が店先に積まれていた。
古本屋で夢中で立ち読みをしているダザイはラプラスに腕を引っ張られて、ようやくギルドに到着した。
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