第5話 異世界への扉
この美しい容姿で魔法力1200だから、次の人生はなかなか楽しめそうだ。
楽勝だな、と津島は思った。
「名前はどうなるのですか?」
津島は素朴な疑問を聞いた。
声も綺麗な女子の声だった。
「好きな名前を自由に決めてください」とパスカルが明朗快活に答えた。
津島はしばらく考えた。
どうせならカッコイイ名前がいいと思った。
ふと津島は部屋の本棚の本にあった作者の名前を思い出した。
「ダザイにします」
「ダザイですね。登録完了しました」
「ところで前世の記憶がほとんどないのですが、忘れてしまうのですか?」
津島は少し不安になって聞いた。
「前世の記憶があると生まれ変わりが上手くいかないことが多いので、記憶は全て消去しています。しかし人によっては徐々に思い出していく場合もあります。何かきっかけがあって思い出す人もいます。特に本人にとって強烈な記憶ほど完全に消去するのは難しいですね」
津島には辛い記憶の方が多い。でもすべてを忘れたいわけではない。でもこれは成り行きに任せるしかないと思った。
「ちなみに僕はポイントを魔法力に全振りしてしまったのですが、他のステータスはどうなるのですか?」
「基本的に前世の死んだ時点のステータスが引き継がれることが多いですね。ただし老衰によってヨボヨボで死んだ場合は、戦闘力などのステータスが極端に低くなってしまうので、その人の最盛期のステータスが適用されます」
「それは何ですか?」
ダザイはパスカルの持っている赤い手帳のようなものを指差して言った。
「これはダザイさんのパスポートです。ポイントの記録などに使います。大切なものなので、絶対に失くさないようにしてください」
「分かりました」
「それではこのパスポートと求人票を持って、廊下の奥にいる入星審査官に渡してください」
「ありがとうございます」
「好運を願っています」と言ってパスカルがお辞儀をした。
ダザイはパスカルに言われた通りに、廊下の奥まで行って、扉の前に立っている審査官にパスポートと求人票を渡した。
審査官はダザイのパスポートにスタンプを押した。
まるで海外旅行に行くみたいだ、とダザイは思った。
「ダザイ様。いってらっしゃいませ」
審査官がダザイにパスポートを返した。
そしてパスポートを受け取ったダザイは扉を開けた。
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