第2章 メノール伯爵領都
第14話 いざ領都へ
◇◇◇◇◇
短い滞在であったが、人生リスタートの地、大陸最南端サウルの街。いよいよ出発です。
馬車で片道半月の行程。
ゼータだとどれくらいかかるだろう?
いくつかの森を抜けていく必要はあるが、道は一本道で迷うことはないとのこと。
リオ:「マリムさん、クーちゃん。短い間だったけど、お世話になりました。」
マリム:「こちらこそありがとね。
これ、お弁当だよ。元気でね。」
クリム:「リオ!また会おうね!」
リオ:「うん。また会おうね。」
ヌルメ亭を出発して、街の外に出る。
ボン!
リオ:「ゼータ!今日もよろしくね!」
ゼータ:「ワオ!」
リオ:「ひと回り大きくなったね。」
ゼータ:「ワオ!」
ゼータはシルバーウルフ+1になって進化していた。これなら4、5人乗っても大丈夫なくらい大きくなってる。でも、相変わらず可愛い。
リオとリンドウはゼータに飛び乗った。
リオ:「うわー、前より景色が高いね。」
リンドウ:「そうね。」
リオ:「それじゃ、ゼータ!北の領都に行くよ。
あの道をまっすぐ行ってね!」
ゼータ:「ワオ!」
ゼータは軽々と加速していく。
リオ:「わー!すごい速い!」
リンドウ:「これはすごいわね。」
ゼータはどんどんスピードを上げて進んでいく。途中、領都から移動中の馬車とすれ違うも一瞬ですれ違う。同じ方向に進んでいる馬車群も一瞬で追い抜いて行くので、驚いていた。
道中、移動する人たちは歩きか馬車しかないので、シルバーウルフで移動するのを初めて見たのだろう。
それから、いくつかの森を抜けて、だいぶ進んだところで、ゼータが何か知らせるように声を上げ出した。
ゼータ:「ワオワオ!ワオワオ!」
その森を抜けて開けたところで、前方に魔物がいるのを発見!
リオ:「ゼータ!ストップ!」
ゼータ:「ワオ!」
リンドウ:「あれはオークだね。Dランクだよ。結構いるね。ゼータはこれを察知してたんだね。
すごい察知能力だよ。」
リオ:「ゼータ!ありがと!」
ゼータ:「ワオ!」
オークも集団で群れを作る習性がある。
リンドウ:「それじゃ、討伐しましょう。少し残しておくから、リオも頑張るのよ。」
リオ:「はい!」
リオとリンドウはゼータから飛び降り臨戦体制に入った。
リンドウは先に進み、オークたちを瞬殺して行く。そのうちの何匹かをスルーしている。
リオの方に流れて来たオークは3匹。
これがリオのノルマということだろう。
ファイアボール!
リオはファイアボールで攻撃するもオークに避けられた。
狙いは合っているのだが、距離があって避けられてしまう。
1匹目のオークがリオに攻撃を仕掛けたが、リオはその攻撃を避けて次のファイアボールを打った。
ファイアボール!
ボフ!
オーク:「ブモー!」
やはり、ファイアボールは当たれば一撃でオークは消滅した。威力はすごい。
2匹目のオークの攻撃も避けて、次は剣で斬りつけた。
オークはそれを後ろに避けたはずだが、真っ二つに斬られた。
オーク:「ブブモー!」
リオ:「え?」
リオの斬撃は避けられたのだが、神剣から斬撃が飛んでいったのであった。
飛ぶ斬撃である。
試しに近づいて来た3匹目のオークに向かって剣を振ってみると出なかった。
その隙に攻撃されるも、それを避けて攻撃すると、またもや斬撃がオーク目がけて飛び、オークに攻撃される前に真っ二つに切ってしまった。オーク消滅。
リンドウの方はすでに戦闘を終えてリオの戦いを見学していた。
リンドウ:「リオ。お疲れ様。
飛ぶ斬撃なんて使えたの?」
リオ:「えーと。使えましたね……。」
リンドウ:「これって神剣+1の効果ってやつじゃない。これは使えるわ。」
リオ:「そうですね。へへへ。たぶん、さっきので出し方もわかりました。」
リンドウ:「戦闘もだいぶ進歩してるわよ。
それじゃあ、魔心を拾って行きましょ。」
リオもすでにランクDの魔物を討伐できるくらい成長している。成長速度が異常。
リオ:「ゼータ!また、お願いね。」
ゼータ:「ワオ!」
ゼータに乗って、さらに北上を続ける。
ものすごいスピードで領都を目指す。
◇◇◇◇◇
リンドウ:「リオ!もう少しで日が暮れそうね。
このまま行ってもいいけど、どれくらいで着くのかわからないから、森を抜けたら、今日は野営で一晩過ごしましょう。」
リオ:「はい!冒険者ぽいですね。」
リンドウ:「そうだけど、しない方がいいんだけどね。」
そう言われて、リオも納得するが、野営はしてみたかったので、楽しみが勝っている。
リンドウ:「この辺なら大丈夫かな。
ここで野営しましょう。」
そう言われて、リオとリンドウはゼータから飛び降りて、野営に良さそうな場所を選んで準備する。
高級テント+2を召喚。
ものすごく立派なテントだ。
というか、馬鹿でかい!
しかも自立式なので、すぐに使えそう。
置くだけでびくともしない。
リオ:「ゼータは外で待っててね。これエサだよ。」
ゼータ:「ワオ!」
ゼータは収納しようとしたが、リンドウから、ゼータは察知能力が高いので、見張り役で活躍してもらうことにした。
ゼータにエサを3個置いておく。
大きくなったので、1個じゃ足りない。
お腹が空いていたのか、凄い勢いで食べている。なので、もう3個置いておいた。
リオ:「ゼータ!見張りをお願いね。
魔物が来たら教えてよ。」
ゼータ:「ワオ!」
ものすごく、良い子だな。
ゼータは僕の弟ということにしている。
ゼータも喜んで了解してくれたので、ゼータ公認だ。僕はお兄ちゃんです。へへへ。
リンドウとテントの中に入った。
リオ:「わー!広い!」
+2の強化なのか、バストイレ付き。
元の状態も知らないが、2段階強化で何が起こったのかすらわからない。
もう、普通に家やん!
部屋の中で使えそうな、無限ランプ、高級ベッド、高級椅子を召喚!
リオ:「わー!ベッドも椅子もふかふか!」
リンドウ:「本当ね。これは野営って感じじゃないわね。
お風呂とトイレがあるのはビックリね。
とにかく、お風呂に入って仮眠しましょ。
あとで、私はゼータと交代するから、リオはゆっくり寝るのよ。」
リオ:「僕も見張りするよ!させてよ!」
リンドウ:「ふふふ。それじゃ、お風呂でどうするか決めましょうね。」
それから、2人で急いでお風呂に入って、食事を取る。初めてのカード食糧を食べた。
これはすごい。この世のものとは思えないおいしさだった。これはなんという料理なんだろ?
飲料はたまに飲んでたので、その時も薄々感じてたが、カードのアイテムは、とにかくすごいものばかりだった。
見張りについては、リオもすることになったが、リンドウが先に仮眠を取るので、その間にゼータと一緒に見張りをするというものだった。
それ以上は、リンドウが許さず、渋々そういうことになった。
無限ランプを持って、ゼータの元に。
リオ:「ゼータ。一緒に見張りするよ。よろしくね。」
ゼータ:「ワオ!」
ゼータと一緒だとそんなに怖くなかったけど、たしかに、一人で見張りは怖いかも。
でも何もかも、初めての体験でそれはそれでリオには新鮮で心地良かった。
◇◇◇◇◇
そんなに時間は経ってないと思ったが、リンドウがテントから出てきた。
リンドウ:「リオ!ゼータ!お疲れ様。交代よ。」
ゼータ:「ワオ!」
リオ:「リンドウは大丈夫なの?」
リンドウ:「大丈夫よ。リオは中で休みなさい。日が明けたら起こすからね。ちゃんと寝るのよ。」
リオ:「うん。わかった。ありがとう。」
リンドウ:「ゼータは悪いけど、大きすぎて中には入れないから、そこで寝てね。」
ゼータ:「ワオ!」
というわけで、リオは起こすまでぐっすり眠ってました。まだ13歳。
ゼータもぐっすり眠ってました。
結局、魔物が現れることもなく、朝を迎えることができた。ちょっとちょっと幸運。
リンドウ:「ゼータ。朝よ。起きて。」
ゼータ:「ウー、ワオ!」
リンドウ:「リオ。朝よ。起きて。」
リオ:「うー、はい!」
この辺の反応は、兄弟ぽいかも。
初めての野営。
◇◇◇◇◇
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