第31話 俺たちが水族館作戦の計画を立てるまで
一応水族館に入ってすぐの進行方向とは違う左の空きスペースで一旦人混み(あまり多くない)に紛れつつ、邪魔にならない+バレないように端っこに集まる。
「2人は何時くらいに来るんだ?」
「もう来ると思う。さっきラーメンの画像送られてきたから」
梨花は茨木さんにデートのことが知りたいから逐一報告して欲しいと連絡したらしい。
だから大体の行動パターンと時間はこれで予測できる。
しかし、デートにラーメンなんか行くんだな。
多分渡辺さんセレクトだろう。
「それってどこのだい?」
「どこって言われても……これだけど」
梨花は芦屋に急かされるようにしてスマホの画面を見せる。
「ほう……これは。龍神のラーメンだね。センスがいいな」
本当に詳しいですねあなた。
「早く来ないかなー。うちら探偵みたいで超かっこよくね。むちゃドキドキするわー」
「なあ、今更なんだけどさ。バレないようにしなきゃ行けないのに結構服装目立つくないか」
特に梨花。
「た、確かに」
気づいて無かったのかよ。
俺も今思ったからあんまり強く言えないけども。
「一応みんなの分の帽子なら持っているけど使うかい?」
「え、どうしてあるの?」
「いや、一応こういう時使うかなって思って。ほとんど新品だし、別に使ったら貰ってくれてもいいよ。全部男女どっちでも行けると思うしね」
「いやいやそんなの申し訳ないよ」
「それ芦屋のものなのか?」
「一応家にあったやつだけど、どうせ僕のやつだからね。まず、僕はあまり帽子を使わないし、無駄にあっても勿体ないからさ」
こいつの家どんだけ金持ちなんだよ。
想像を遥かに超えるレベルかもしれない。
あとこいつすぐ色々くれるな。
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて。私はこの水色のラインが入ってるやつがいいな」
「私この高そうなやつー」
「安倍くんはこれでいいかい?」
「いや、全然構わん。まじありがとな」
「翔満くん。ありがとう」
「ありがと」
「どういたしまして」
「ねえ、後ろ」
梨花が指をさした先には例の2人の姿があった。
2人を見た瞬間俺たちはすぐに手にある帽子を被り、顔を2人から背ける。
「思ってるより早く来たね」
「うちももうちょい遅いと思ってた」
「龍神からここまでは電車ですぐだからね」
「それでキヨアキくん。どういうプランで邪魔するの?」
「今日2つ主なイベントが開催される。だからその2つで渡辺さんが失敗する所を見せなければいけない」
「なるほど」
「まずひとつはイルカショー。そしてもう1つはカワウソのえさやりだ。多分その2つが2人の行くメインイベントだ」
ここで1つ俺は嘘をついた。
残念ながら2人はイルカショーを見に行くが、カワウソの餌やりには行かない。
それをなぜ分かったかと言うとさっき
ちなみにその未来では俺たちはただイルカショーでの邪魔が思いつかなかったのかただ見るだけになっていた。
だが、今は違う。
その視た情報から俺たちは渡辺さんのプランを崩す。
そのヒントを俺は逃さない。
色々水族館のことを調べていると、まあまあカワウソの餌やりで荷物を落とすことがあるらしい。
つまり、そこが絶好の渡辺さんポイントだ。
「でも、カワウソの餌やりは2人が行くとは限らない。だから、絶対に2人がそこに行くように仕向けたいんだが、何か良い方法はないか?」
残念だが、方法までは思いつかなかった。
渡辺さんをドジらせるには多分ここが1番良いはずなんだが。
「難しいね」
「ねえ、今回のプランって色々
「そうだろうな。だから渡辺さんの現状のプランを崩さなければいけない」
「うーん。別にカワウソ以外にもドジらせポイントある気がするんだけど。どうしてそんなにキヨアキくんはそこにこだわるの?」
「カワウソの餌やりの場所が結構荷物を落とす人が多いらしい。つまり、渡辺さんがミスしないわけがない」
「ひどい!?」
「それに渡辺さんは今回のデートを完璧にこなそうとしているはずだ。だから余計にそこには行かない可能性が高くて」
「結構詰んでるんだね」
「そうなんだよな」
「うーんなるほどー。よし分かった。あーこに行かすよう仕向けよう」
「茨木さんに?」
「うん。一応携帯見るかわかんないけどカワウソがおすすめって連絡してみる」
「確かにそれはいいかもな。でも、先にあるのはイルカショーだから、一旦それまで待とう」
「それでイルカショーはどうやってドジらすの?」
俺の入念な調査と俺が視た未来からイルカショーあるあるのドジらせを完璧に遂行する。
「まあ、任せとけ。確実に決め切れるはずだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます