第81話 東京大森林ダンジョン4層

 バトル大会の方の準備はほぼ終わったのでまた全てのダンジョンをチェックする。俺には必殺スキルがあるのでいっぺんに何画面見ても全て頭の中で情報処理が行われる。これは魔導王の並列思考の上位スキル多重並列思考だ。これは流石に人間では覚えられない伯爵級のスキルとなる。はっきり言ってこのスキルがないと今の数多あまたあるダンジョンの状況を全て把握する事は不可能だ。


 日本はもう夜なのでダンジョン内の人はかなり減っている。ダンジョン自体は24時間稼働しているので何時でもはいれるのだが、やはり夕方から一気に人が減る。中には会社帰りに少しの時間だけ入ってくる副業探索者や完全にヤンキーの集まりが深夜にやって来る姿も有るのだけど…。


 なので他の国の状況を見てみる。まだ日中の国やこれから朝を迎える国と色々だ。その中でもアフリカ方面の探索者の装備の拙さが気になるな。中国のように自ら素手で戦うのとはわけが違いそうだ。


 服装も短パンにTシャツ。ビーチサンダルの人までいる。そして1層や2層のフロアボス部屋に長蛇の列が出来上がっている。スキルブックや魔法のスクロールで一攫千金を狙っているのか?別にそれは良いことだと思う。俺もそれを推奨さえしていたくらいだから。


 能力の数値は一般人よりかもは少しだけ高いが本格的に能力上げをしたわけでは無さそう。ただボスとの戦闘を見てみると彼らの身体能力の高さが飛び抜けているのが分かる。数値に現れない部分だな。そして出たスキルを速攻でギルドに売りに行っている。今ならまだ良い値段が着くだろう。良い仕事だ。


 他の国のダンジョンは今日も大盛況となっているようだ。そして処刑人達が遂に東京大森林ダンジョンの4層に現れた。ここからは岩山越えとなり、出てくる敵はA級〜S級の翼のある魔物だらけとなる。A級の大鷲や大隼、そしてS級のドラゴン亜種のレッサードラゴンやワイバーンまで出る。空の猛者達だ。ここからは出るスキルや魔法などのランクも上がってくる。


 この4層からは集落や魔物の巣などはなく、ただひたすらに強い魔物と戦っていくだけである。ただ当然魔石と素材は大きくなり、余り数多くは持てなくなるのではないかな?まぁそれは各部隊で考えてもらうしかないからまぁどうなることやら。良い感じだったら週末の動画確定だけどなぁ。


 そして試練ダンジョンでもアメリカ方面のソロ忍者が4層のフロアボスに挑んでいる。ここは既にCランク下位のフロアボスになる。体高が2m程ある灰色狼だ。ソロで大丈夫か?ボス戦は一対一だから隠密は使えないので不意打ちも効果が無いのだぞ?


 ただこの人スキルが増えているな。やはりソロだから全部独り占め出来るのが強みか。ここら辺のランクではほぼ最強クラスのスキル縮地と身体強化を持っているのか。縮地なんてほぼ瞬間移動のようなものだしな。本当に引きが強い。魔導王の最初の頃を思い出すな。


 ただやはりスキル保有上限は定めたほうが良さそうだな。けど3個は少ないかもしれないかな。総合能力値に併せてスキル上限が開放されるようにしても良いのかも。


 そんな事も考えているとソロ忍者は身体強化を使い、Cランク下位のフロアボスと良い戦いをしている。アドレナリンジャンキーなのだろうなきっと。楽しそうだもの。


 それにしても後続一般探索者の中では群を抜いて強くなっているソロ忍者。今後どんなジョブとスキルが与えられるのか楽しみだ。とりあえず週末の動画行きだな。


 一通りダンジョン内を確認してからエデンの里の様子を見る。あの襲撃以来、里を囲む柵や門が強固になってきている。どうやら防衛の大切さを覚えたようだ。そして見張り台のような建物を何箇所か作っている途中だ。そして里の中心辺りに2m位の女騎士の木像が作られている。まあ俺はまだ里の住人に見られたことが無いのだけども…。俺のも作ってほしい!


 そういえばまだこの里には通貨というものがないのだがフィギュアを作るのに掛かった労働時間に何かで報いてあげないとな。売上で里に役立ちそうな何かを買ってきてあげたら喜ぶかな。何が良いかなぁ…まあじっくりと考えよう。これで働くと何かを貰えるということを覚えてもらえるな。


 エデンの里はまだまだやることがいっぱいあるがまぁ焦らずじっくりとだね。それよりも魔導王パーティの持っているアレは今日辺り使ってくれないものかな。明日の夜に上げる動画のネタにぴったりなのだけどな。


 魔導王パーティは先日の迷宮ダンジョンのクリア報酬で箱からバトルエリアのトリガーを取っていた。ランクはS+。これは騎士級のバトルエリアだ。俺自作のカイより1つ上になる。でもカイと戦わせて見たい気もするのだが…。牛太郎は論外ね?


 カイは実力的には騎士級なのだが、魔石はS級なんだよな。試しにカイをコピーして騎士級の魔石を入れて見るかな。ここら辺は色々と試してみないとね。


 するとカイの背中から二本の腕が生えた。きっと上位ランクの魔石から溢れたエネルギーが腕として具現化したようだ。だが、ん〜ちょっとイメージと違うかな。


 腕を押し込むと今度は額に第3の目が現れ角が伸びた。何これ、そういうシステム?昔のDVDで見た事のある、出てる引き出しを押し込むと他の引き出しが出てくる的な?例えが下手?


 だがサードアイはカッコ良き!なんかチャクラ的なアレがアレしそうな所が良き。こうなると尚更魔導王にほ負けてほしくないな。俺の愛を込めてギリギリまでカイ改を賢さを中心に強化してあげた。


 これ流石にやりすぎたか?魔導王を殺しちゃうかもしれないので雫の牛太郎と模擬試合をさせてみると、また牛太郎に瞬殺されてしまった…。S級の癖に…。


 でも魔導王にも進化の薬の更に上の薬品が出ていたから丁度良い勝負になるかな?スーパーレアな薬品なのだが気付けば良いのだけど…案外魔導王は後先考えずに薬品を飲んでいるから近々間違いなく飲むだろうな。パーティメンバーの誰が飲むかは分からないけど全員にさらなる進化の可能性はある。これは面白くなりそうだ。


 今の所人類で1番ランクの高いジョブは剣姫の狂戦士バーサーカーだ。このジョブはもう進化の余地はない。俺としては一発目の進化で最上位ジョブを引くとは思わなかった。俺の予想だと剣姫はこのご時世に幼い頃から血の滲むような稽古をしてきたのだろう。そうじゃないとあの短期間に狂戦士に就くなんて有り得ない。


 だが今、魔導王パーティには剣姫に近づけるチャンスが来ている。是非このチャンスを物にしてもらいたいものだ。そしてバトル大会で俺の対戦相手になるのだからしっかりと強くなって楽しませて欲しい物だ。


 

 


 


 


 


 


 


 

 

 


 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る