前のエピソード――第78話　衝撃の魔石

　俺は早速、闘技場の制作に取り掛かる。先ずは闘技場の舞台からだ。どうせここでは実際に戦闘はやらないのだ。なので30m程のサークルを作り、舞台は大理石のような見た目にする。そしてそこから3m位高い位置から客席にする。最前列から10列くらいはVIP席としても良いかもしれない。そして一般観戦者用の席を用意していく。数は当然10万席。上に行けば行くほど急勾配になっていくがこれはしょうがないと思う。

　そしてトイレは多めに、1番の肝は売店だよな。アルコールも販売して収入を得て行かねばな。現金もDPに変えられるからね。そうなると人型モンスターに売り子をさせないとな…襲わないようにしっかり言い聞かせないとだな。獣人にやらせてしまうと生前の魂の顔になってしまっているから知り合いなどに会う可能性も出てきてしまうし、変に勘ぐられてしまっても困るからなぁ。

　そしていつかはリ・アース産のワインや特産品なども売れたらいいな。特産品か…。まだ無いよなぁ。エデンの里を稼働させてからまだ3~4ヶ月だしね。そうすると俺か雫のプロマイドかな…。後はモンスターカードとか！格好良い魔物は沢山いるのだし流行るんじゃない？ゲテモノ好きな人用にキモイ魔物カードを作っても良いかもな。

　そしていつかはエデンで魔物のフィギュアを作って売ろう。これは木から削ったものでも良いと思う。里の住人達はこないだゴブリンやコボルトなどは見たのだから案外作れそうだよな。案外すぐに取り掛かれば用意できるのではないか？

　ただ手が空いている子供たちにやらせて将来「木工士」だらけになったらどうしよう…。でも精密作業だから器用の能力は上がるだろうな。

　なので1日1時間フィギュア作りをさせよう。そしてそれ以上の時間を将来なりたい職業の訓練の時間に当てる。後で巫女ちゃんに天啓で説明しないとな。上手く伝わると良いけのだけど。まあ実物を見せるのが一番早いか。

　それと各国ダンジョンギルドに招待状を送ろうかな。初回は大統領や国王などの国のトップを招いて盛大に執り行おう。門を繋げば何処からでも来れるのだから。

　それに魔導王や東京ダンジョン南の剣姫。そして魔導王が抜けてしまったが北にはまだオヤッサンがいるし、東の寡黙な重戦士と西のチャラアサシンも名指しでご招待だ。勿論パーティでの参加も可能としよう。他にも海外の特殊部隊の精鋭達にも参加してもらいたいな。動画でも人気の隊員もいるしね。

　後は当日参加も何組か認めて対戦相手の魔物は自己申告で召喚する形にしよう。そのかわり倒されれば魂は回収しちゃうけどね。

　とりあえず構想と会場はこんなところかな。ダンジョン省には直接手紙を持って行くから良いな。最近はお茶菓子も出してくれるしね。そして後はエデンの住人用のフィギュアの見本を作れば終わりかな。

　この間のエデン襲撃で色々と素材を手に入れていたからそれで小刀みたいな物を鍛冶師に用意させよう。最低でも住人一人に一本は必要だ。最初の見本は木工士に預けてもらおう。あんまり小さいと逆に作りづらいかもしれないのでサイズは15cmが良いな。

　俺は早速タブレットにゴブリンをスケッチし、それをリアに立体化してもらい木で形作ってもらう。ものの5分で完璧なゲスゴブリンが完成した。これを複製したら準備完了なのでは？俺が作ったほうが良いか？いや、エデンの特産品として売るのだからそれでは駄目だよな。

　一通り準備が出来た所で雫が起きてきたので全てを説明して意見を求める。雫は細かい所に目が届くのでとても助かっている。そうこう話してから俺はフルプレートアーマーを装着し、メガスライムに乗って霞が関のダンジョン省へ行こうとすると雫も付いてくると言うので一緒に行く。勿論雫も真紅のフルプレートスカートアーマー姿にメガスライムに乗っている。

　大臣室に直接行くこともできるのだが、いつもちゃんとエントランスから行く。ロビーに突然大きな門が現れ、そこからスライムに乗った人型が現れるのだ。当然警備や受付の人や周囲に居る人間は騒然とする。それが案外楽しいのだ。

　そして1番良い会議室に通されて大臣を待つ。この間にお茶菓子が出てくるのだ。雫と一緒にお茶を飲みながらお菓子をボリボリムシャムシャ。来た甲斐があったというものだ。俺と雫はおかわりを要求するとすぐに新たなお茶とお菓子が運ばれてくる。それを運んで来たのがダンジョン大臣だ。

　俺は持ってきた手紙と招待状を大臣に渡して追加のお菓子をバリボリ。大臣はそんな音など聞こえていないかのように手紙を真剣に読んでいる。開催予定日は1ヶ月後としてあるので結構急かな？今すぐに答えを求めている訳ではないのだが、大臣は大慌てだ。そりゃそうだよな。総理大臣にも話を通しておいて貰わないといけないからな。まさか陛下は来られないよな？

　その後、俺と雫は各国のダンジョンギルドを回って手紙と招待状を渡してきた。俺の前に君達のプライベートなど存在しないのだよ？俺はどんな所にだって現れることが出来るのだから。

　アメリカのギルドに行ったときに是非闘技場の戦闘に参加させたいパーティがいると言われたのでその人達用に招待状を新たに渡した。本人は出場の意志はあるのか？そこが謎だがどうやらその推薦者は今現在東京大森林ダンジョンの3層に居る特殊部隊の最精鋭メンバーのようだ。その中でも1番人気がある「処刑人」と呼ばれている隊員だ。

　予想通りだったがこれは楽しみだな。どうやら処刑人は魔導王とハイオーガの動画を見て激しく燃えているらしい。何と近々4層に行くと言っていたからね。やっと日の目を見ることになりそうな4層。良かった良かった。なんせ20層まではとっくに出来上がっているのだから。

　アメリカの処刑人が参加すると各国を回ったときに話すと、ウチの国からも是非にと勧めてくる。本人に確認しなくて良いのか？ギルド長が勝手に言っているだけだろ。まあ招待状だけは渡して三日後までに日本のギルドに書面で返答を送れと言って俺と雫はコアルームに戻る。

　流石に20ヵ国を全て回ったので1日が終わってしまった。エデンの様子を見てみると皆寝静まっている。そして里の大聖堂のメインルームには木から削り出した女騎士のフィギュアが…。ゴブリンはどこへ行った？ゴブリン拒否して女騎士のフィギュアなんか作りやがって。こうなるともっと女騎士の露出を増やさないと、これ誰？ってなってしまうじゃないか！

　そう考えると今日一緒にギルド巡りを女騎士姿の雫を連れ歩いたのは僥倖だったわけだ。後は一回デモンストレーションで魔物と戦わせて動画に上げれば人気爆上がりだろう。楽しみ楽しみ。

　後は売店の売り子をカタログから選ぶ。やはり女型が良いのだけどな〜、ん〜サキュバスか。買い手を魅了して売上アップか？でもこれは詐欺に近いよな…。そうなると女型のゴブリンやコボルトを作る方が良いのかな。能力はほぼ人間の平均と一緒にしてスキルは当然戦闘系は無しで「暗算」を覚えさせよう。