第71話 重大発表

 チェストから出たらアイテムはどれも興味深い物であった。その中でも最も皆が興味津々な物が進化の薬だ。それを早速ヒサが飲んだ。さあなんのジョブになるのやら。タンクっぽいジョブなら何でも大歓迎なのだが。まさかいきなり生産職にはならないだろうな?


 薬を飲んだヒサが輝き出してその後、光は収束していく。進化が終わったようだ。きっとジョブはガードマンに違いない。


「すげー!俺のジョブ、ガーディアンだって!なんかかっちょええな!」


 ヒサは大興奮している。まさかのジョブ「ガーディアン」だとは。守護者としての認識がある。守ってくれる人でもある。盾役にはピッタリの職業だと思われる。


 そしてエクストラスキルが「ホーリーライト」と言うらしい。ここに神聖っぽさが加わった。これだとパラディンっぽくなった。


 名前だけだと俺のスキル「暗黒」と対極の様なスキルっぽい。きっと俺の陰キャとヒサの陽キャも合わさっているのかもしれないな…。見てるねダンジョン。


 そして次にスキル「エアリアルスラッシュ」の行方だ。結局飛ぶ斬撃の正体は風だったということか?風圧よりかもはもっと鋭利なイメージなのでやはり斬撃なのだろう。そしてそれを協議(アミダ)の結果サトが勝ち取る。すげーなサトは。


 このスキルはタケが使う事に。タケの火力はこのトウキンの中でも相当な所まで来ていると思う。師匠のサトの指導もあるが、やはり新ダンジョンでキョウカと活動を共にしたのが良い影響を与えたようだ。


 そしてエマヌエルの剣だ。実際にゾウガメが持っていた物よりは少し小さくなっている。それでも我々は一般人とはかけ離れた能力を持っている為普通に振り回すことは容易だ。


 これに魔石をハメて振り回したらどうなってしまうのか。スキルが無くても斬撃を飛ばせそうだけどな…。まあ今のところアキが斬撃を飛ばせていないので、きっと物理的に無理なのだろう。


 これは会社に提出するのだが、そろそろ何本かは探索者に回して欲しいものだ。どうせ構造は一緒なのではないのか?それに設計図を獲得するにも良い武器は必要だ。


 そして黒い珠。ランクはB。ここでも進化の薬が出たら加速度的に攻略が進むだろうな。それほどにジョブというものが画一的という事だ。多分五ツ星はチームΑに集中するだろうからな。そうなるともう追いつけないだろう。開発としても五ツ星に遅れを取ることになる。


 ただ今ならまだジョブ持ちの差も大差ないだろうから何とかなるとは思うのだが。バトルエリアのトリガーもこれでB,C,Dを所有している。これは月曜日辺りに入らせてもらいたい所だが早急過ぎるかな?判断は会社に委ねるしかないのだ。


 その後は亀の里をヒサのガーディアンのお披露目とタケの飛ぶ斬撃の試し打ちする。もう里の亀など怖くはない。皆もかなり能力が伸びているのだろう。


 ヒサはガーディアンになったことで体力が大幅に伸びたようだ。それにより耐久力が上がっている。そしてホーリーライトは1日1回効果時間5分間、敵からの特殊攻撃や魔法を無効化するらしい。通常攻撃は盾で防げるのである意味5分間はほぼ無敵になるようだ。


 こうなると5分間で倒せない敵に遭遇しないことを祈るしかないよな。でとこれで確実に戦力アップだ。なんせタンクがやられないという安心感は我々攻撃陣にとっては何よりも大切な事だったのだから。


 その後は里のチェストを開けて中から七色の薬とスキルブック。そして魔石武器のロッドが入っていた。ロッドは金属の棒の先端に重りの付いた武器になる。その先端の重りが六角棍のようになっていて小さな刃が各面に1枚ずつ計六枚付いている。殴りながら斬れるのか?こんなので殴られたら痛そうだな。


 ボスとノーマルの魔石を集めてから2チームごとに別れて2層の探索を続ける。うちの班は単独で移動する。7チームなのでどうしても単独班が出来てしまう。そしてもう甲羅は集めない。流石に会社の置き場所が甲羅だらけになってしまうので要らないと言われたようだ。


 その後はムカデやスライムなどを倒してギルドに戻る。そしてミーティングにてヒサが職業持ちに成ったことを伝えてから、バトルエリア侵入の許可を貰いたい事を伝えておく。そして食堂でいつも通りに宴会だ。深夜にまた魔王の動画が投稿されるだろうからそれまで騒いで待つことにする。



 土曜日0時。動画サイトに1本の動画が投稿された。そこにはまたギガスライムに乗ったダンマスが映っている。


「ダンジョンマスターである。本日は重大発表があるため暫くの間、皆さんの耳を拝借したいと思う。本日、日本以外の4カ国に魔石の取れる魔物ダンジョンへの転送門を繋げた」


「今までは、日本のみでしか魔石は取れなかったがこれからは他の国でも取れるようになる。私は日本の探索者の進行速度にはガッカリしている。なのでこれからは世界各国で魔石の研究を進めてどんどん魔石をダンジョンから持ち帰って欲しい」


「当然エネルギー抽出装置の設計図も各ダンジョンの何処かに散りばめてある。この設計図を取れたからとすぐに開発出来るようになるとは思わないが皆頑張って研究してくれ。私は期待しているぞ」


 ダンマスはそう言って転送門を繋げた国を世界地図上に示した。それは民主主義国家2国、共産主義国家2国。どれも強力な軍隊を持ち、世界の覇権を狙っている大国だ。この4国が本気を出したら我々の進行速度にすぐに追い付いて来るだろう。なんせ装備が違いすぎる。


 しかもダンマスは来週には更に別の国に門を増やすと言っている。これは相当日本にガッカリしているのだろうか?何が原因だったのだろうか…。まあ俺ごときが考えても答えは出ない。まあ今日のワイドショーが楽しみだな。



         ★★★★★



「しずく〜!これからどうなると思う?」


「ん〜、当然軍隊で来るだろうね。下手したら門の中に兵器組立て工場とか作って最終的に核兵器とか使ってきたりしてね!」


「そんな事になるかな〜?核兵器ごときで俺はれないぞ?それでもやっぱ違うよな〜あっちの軍隊は。この後はここら辺の中東と呼ばれるエリアにも繋げておこうかな。戦争してる暇があるならダンジョンに潜って欲しいものだよ」


 俺の話す言葉は全世界の言語に自動で翻訳される。相手の言葉もどんな言語でも理解できる。なので今の動画をどの国の人が見ても俺が話した事は理解されている。


 俺はとりあえず今までの大森林ダンジョンと迷宮ダンジョンを複製して4カ国に繋げた。リ・アースに森林はいくらあっても良いと思うのでどんどん広げて行きたい所だ。


 そしておそらく自国では魔石産業の開発は出来ないが輸出をして国を潤して欲しい国にも門を繋げる予定だ。そうなると全世界に門を繋げることになるのだろうか。


 でもこれでダンジョンに侵入してくる人間が飛躍的に増えるだろう。そうすれば魂の回収もはかどり、リ・アースの人口も増える。そして地球も魔石産業で潤う。最高じゃないか!これからは少し世界に目を向けてみようか。




   ーーーーーー第三章 完ーーーーーー



 次話からは大分世の中が変わっている所からの話になってくると思います。飽きずに読んでいただけると幸いです。


 例のごとく下書き期間の為、一週間ほど投稿をお休みさせて頂きます。またよろしくお願いいたします。

 

 

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