第69話 狩りダンジョン(仮)

「兄ちゃん、見て!あの人達があのダンジョンに飛んじゃったよ!もうバレちゃった…」


「あ〜またこの人か…。昼間はレアポップのオークを倒されちゃったしな〜。しかもこんな時間に何やってるんだ?」


 今現在、雫が作った迷路は30枚。途中からコツを掴んだのか凄いペースで迷路を書いていた。そして一枚の迷路だけ、出てくる敵は各門から繋がる通路に1体だけなのだがランクが違うのだ。これは探索者を狩る用のダンジョンとして作った様だ。その名も狩りダンジョン(仮)…。


 最近は全然探索者にトラブルが起きず、全く回収が捗っていない。「リ・アース」も食用の動物を増やすだけで魂を使ってしまうので、こういうダンジョンがどうしても必要になって来てしまう。


 今の俺と雫にとってはリ・アースの住人が一番大事なのである。なので今はメインの東京ダンジョンと迷宮ダンジョンをコピーしながら日本以外にも転送門を出現させる準備をしている。


 ウチの惑星はまだまだ空白地だらけだからね。そしてダンジョンポイントを使えばまだまだ惑星としても大きく成長出来る。


 当初は日本だけにしか門を作るつもりは無かったのだが、こうも慎重だと他の国にも頑張ってもらうしか無くなってしまった。


 別に他国の命の価値を言いたいのではない。場所が変われば探索の仕方も変わってくるだろうという考えだ。


 そんなで実は今回のランクの高いダンジョンは秘密にしておきたかったのだが…。まあ繋いでしまったのだから侵入される可能性はあった分けで。ただ、今回では無かったはずなのに…。


 あ〜何か実験で何回も転送されてたのか。無駄に10回位は転送されている映像が残っている。これではこの狩りダンジョンを引き当ててもしょうがないのか。


 これでひょっとしたら迷宮ダンジョンに探索者が入ってくるのも遠ざかってしまうかな?危険なダンジョンだと認知された可能性があるからなぁ…。早めに他国に転送門を出現させたほうが良さそうだ。


まあ後は世論を味方に付けて行くしかないな。入りたがっている若者は沢山居るのだからな…。


 

         ★★★★★



 俺はトカゲ人間から出た魔石を眺めている。多分だけど20cm大はある。Cランクの魔物よりも大きい魔石だ。ダンマスが人類にプレゼントしてくれた魔石とほぼ一緒のように見える。そして素材は皮と魔石武器の三叉の槍が出ている。スキルか魔法が出たら良かったのだが…。残念だ。


 俺は斬撃を防がれた後、魔法で倒したのだが、かなり危なかった。ランス系魔法でも一撃では倒せない程の強度があった。最終的に暗黒魔法で倒したのだが…誰にも見られなくて良かった。これはかなりの極秘で俺の奥の手だと思う。


 それにしてもこんな奴がなぜここに?これもレアポップなのか?色々と考えている俺の元へ轟音を聞き、駆けつけたメンバー。俺は魔石と素材を見せながら何があったか説明する。


「なんかこの槍を持ったトカゲ人間が居たから隠密で後ろから倒そうと思ったんだけど躱されたんだ…結局魔法で倒したんだけど、この魔石見てみてよ。今までウチで得た魔石で一番大きいぞ」


 この魔石はBランク相当になるのか。マサが言うにはこの魔石は18cmだと言う。そうなるとBランクの下位あたりになるのか?とんでもない強さだったがこいつが居るダンジョンは避けたほうが良いだろうな。


 ただ、出くわしてしまったら…。逃げられないだろうな。そしてトウキン調べでは人間を喰った魔物は進化してランクが上がってしまう。なので事故が起こってそのまま放置しておくと大変な事になってしまう。


 なのでこれは流石に目印を付けておいてあげようと思う。と言ってもどうやって?


 地面や壁に文字を掘っても0時で元に戻ってしまう。外に何か取りに行ってもここに戻って来れるとは限らないしな。ヘルメットか何かを置いておくか。それが有ったら引き返せとギルド職員にも伝えておこう。


 その後ある程度探索したが他に魔物は居なく、0時を確認したので帰ることにする。結局0時でまたトカゲ人間が湧いたのでそれを今度はキョウがガチで戦闘して倒していた。マジでこの人は…。とんでもない強さだ。タケなど開いた口が塞がらなかった。


 その後ギルドに報告し、注意喚起をお願いして本日の探索は終了する。


 最終日も何度か転送門を通ってあのダンジョンを目指したのだが夢叶わず…。五ツ星との合同調査は終了した。バトルエリアでドロップした装備品はどちらかに卸して貰えるならトウキンで使ってくれと言ってくれた。


 帰りがけにまた五ツ星重工業の探索者にと誘われたが丁重に断った。俺は今の探索スタイルが気に入っている。本当だったら五ツ星でキョウ達と探索したほうがダンマスに近づける可能性は上がるのだろうが。俺はキョウカをライバルとして見て居たいのだ。


 翌日俺達も東京へ戻る。ギルドに挨拶に行ったら丁度装備品の使用許可が降りたらしく約束通りウチが貰うことになった。コレこそ俺とタケで分けて良いのか?まぁ良いだろう、きっと。だが魔石武器は提出しないと駄目だろうな。そもそも魔石を補充するのもトウキンの許可が必要になるのだ。


 タケは今現在トウキンが開発したガントレットをつけているので篭手は俺にと。ではブーツはタケにと言ったのだが俺に使ってと言ってくれた。


 格闘メインで戦闘するタケにとっては今回のブーツは使いづらいと言っていた。


 俺達はトウキンに戻り、夕方のミーティングに参加して新ダンジョンでのレアモンスターのポップ、Bランクの魔物が湧くダンジョンがあった事、それを討伐した事を報告した。その後、皆の探索報告を聞いていく。


 どうやら今日、2層の亀の里入口付近にヤバイ奴が湧いていて里の攻略が出来なかった様だ。多分レアモンスターだろう。今回のはデカくて目立ったようだ。なので様子を見て引き返して来たというが良い判断だと思う。なんせCランクのレアモンスターならかなりの強敵となってくるはずだ。下手したら…。


 それにしてもここでも湧くようになったのか…。そうなると1層でも湧く可能性が有るので注意が必要だと2期に伝えておく。そしてミーティングは終了し解散となる。


 場所を食堂に移してBランクのモンスターの事を皆に聞かれたので色々と話す。トカゲ人間はリザードマンという名称も付いた。これは俺たちが勝手に呼トウキン内での通り名だ。そしてやはり皆気になっている剣姫の正体。これは流石に話せないのだがリザードマンとの戦闘については話してあげた。あの強さは一晩では語り尽くせないぞ?と言っても酒も入ってくるので結局は宴会になってしまうのだが…。まぁいつも通りという事かな。





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