第68話 新ダンジョンの秘密

 16:30。俺達はダンジョンから出てきてダンジョン省の職員とミーティングを行っている。結局、縮地のスキルブックはタケが使った。


 今日の探索の結果とレアポップモンスターとの遭遇。そしてその魔物から出たバトルエリアのトリガーの扱いなどを話している。


 ダンジョン省としてはトリガーは使ってもらったほうが助かると言ってくれる。そりゃあ魔石がいっぱい取れたほうがダンジョン省としても良いに決まっている。


 俺らが東京に帰るまでに使って下さいと頼まれたので予定通りこのまま入る事にする。まあDランクなら余裕だろう。



 前回のゾンビは匂いはヤバかったが、強さとしては大したことなかった覚えがある。そして今回はジョブ持ちが2人も居るのだ。


 結果だけ言うと今回のバトルエリアの敵はホブゴブリン達だった。合計すると20体程だったが4~5体でパーティを組んでいた。俺達は難なくクリアー出来たが…まあ言ってもしょうがない。


 そして今回の敵の魔石は10cm大が20個。ゾンビの時は8cm大が99個に10cmが1個だった。何か制限でも有るのかな?


 そしてチェストの中には前にも出た金属製のガントレットとブーツが入っていた。勿論両方共魔石防具ではない。魔石防具では無いのだが謎の金属はとても軽くてなぜか蒸れない。


 これの扱いはどうすればよいのか…。一旦持ち帰って聞いてみよう。普段は素材や装備品は会社に提出しているのだが、今回は調査なのでスキルや魔法のスクロール以外は全てダンジョン省へ提出している。


 でも装備品などダンジョン省で手に入れてもどうすることも出来ないと思うのだが。防衛省で使うのか?まあまだ分からないのでとりあえずは持ち帰ろう。


 俺達は強制排出されて地上に戻ってきた。そして報告と提出をする。装備品はどうやら一旦持ち帰るようだ。


 今日はダンジョンが作り変わる様子を見るために夜中にダンジョン内で待機する予定だ。俺らの想定では夜中の0時に変わると思われている。


 実は俺は少しワクワクしている。どのように作り変わるのか。一瞬なのかゴゴゴゴと道が変わるのか。楽しみだ。


 そしてこの夜中の調査をすることで明日の調査は無しということになった。というか残り2日間共無しで良いと思うのだが。これ以上の調査は無いだろうよ。


 とりあえずは夕飯だ。一旦宿で着替えてから五ツ星の2人と合流し食事をする。こういう時はマサが物凄くよく喋る。しかも話が上手でとても聞き入ってしまう。


 しかも子供の頃のキョウの話など腹を抱えて笑ってしまって本人にこっぴどく怒られてしまった。当然これからまたダンジョンに入るので飲酒はしていない。


 それでも楽しく夕飯が食べられたのはマサのおかげだと思う。1時間程で店を出て解散し一旦ホテルに帰る。まだ3時間は有るのでホテルでくつろぐ。


 着替えの隊服は3着持ってきているので新しい隊服に着替えてから集合時間になったのでタケと一緒にホテルを出る。


 時刻は22:00。簡易ギルドには煌々と明かりが点いていてまるで日中のようだ。そこにはまだ五ツ星の二人は来ていない。なので俺とタケは少し様子見で転送門を通ってダンジョンに入ってみる。


「あれ?これって…」


 最初の角を曲がったあたりでおかしい事に気付いた。既にダンジョンが変わっている?気のせいではない。タケも気付いているようだ。俺達は一旦地上に戻る。


 そこにはギルド職員と五ツ星の2人も居たので俺は今見てきたことを説明する。皆驚いている。そして4人でもう一度入ってみると今しがた入ったダンジョンとも違っている。


「イソ、これってまた?」


 とタケが声を掛けてくる。どういうことだ?1回入るごとに新たなダンジョンにでも転送されていると言うことか?ダンジョンが作り変わっているわけではなく?


 こうなってくると話は変わってきてしまう。なぜ俺達4人は同じダンジョンに飛ばされているのか。バラバラに別のダンジョンに飛ばされても良さそうだが。


 バトルエリアの様に最初に入った人から1分間は同じエリアに飛べるのか?そこら辺を伝えて調べてみようという事になった。


 やり方は2分ごとに入るという方法だ。まず俺が1人で入る。その後俺はダンジョンの中で6分待つ。念の為7分後に俺は地上に戻る。やはり誰も俺の所には転送されてこなかった。


 次は50秒毎だ。これで最初の人から1分か最後の人から1分かが分かるかな?バトルエリアは最初の人から1分間だったが。


 すると俺の次のタケまでは同じダンジョンに来ることが出来た。そしてその次に入ったキョウカの所にはマサが転送されて来たようだ。


 ということでやはり最初の転送者から1分間は同じダンジョンに飛ぶことになるようだ。そうすると知らない人どうしなら1分間開けたほうが良い事になる。


 わざわざ敵の数に限りのあるダンジョンで知らない人と取り合うなんて嫌だろうし。その代わり何かトラブルがあっても助けに行けないというリスクもある。


 ちゃんと許可を得た探索者ではなく、ただただノリで一般人が入れるかは分からないが、本当に入るなら自己責任になってくる。


 これでは日本政府はOKは出さないだろうな。ダンマスが出て来ない限りは…。なんせ最近はダンマスにおんぶに抱っこ状態だ。ダンマスが黒と言えば黒になってしまう。もう既に日本はダンジョンに依存しないとたち行かない所まで来てしまっている。


 なのでダンマスの発言はかなり尊重されてしまう。今回の新ダンジョンはダンマスがドンドン入れと言っていた。そうなると最近の世論の流れからして本当に訓練を受けていない素人も入れるようになるかもしれないな。


 まあ俺の知ったこっちゃない。とりあえず今回転送されたダンジョンで0時まで待機することにした。その時間に何かが起きるかもしれないしな。0時までまだ時間があるので俺はダンジョンの中を散歩することにする。あわよくばチェストでもあれば良いのだが。


 スキル超音波を使って周辺を探ると、少し先に敵影が見える。このスキルは3Ⅾポリゴンである程度敵の形も分かるのだが…。おかしい、今まで見たこともない魔物だ。ここは1層だよな?なんかトカゲ人間のような魔物がいる。そいつはサメが持っていたような三叉の槍を持っている。


 俺はスキル隠密を使いそのトカゲ人間の様子を探ってみる事にする。向こうはまだこちらに気づいていない。何か感知スキルが有るのか、そこらへんも調べておきたい。


 俺は身体強化に魔法のF-アップを使い、後方から一気に近づき不意打ちヘヴィショットで敵の首を刈り取る。つもりだったがなんと気づかれて後ろ向きのま槍で受け止められてしまった。達人かこの蜥蜴野郎!





 


 


 


 

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