第67話 レアモンスター
私はとんでもない魔法を目の当たりにしてしまった。今までに動画で1回だけ見たことはあったのですが、音は無く、敵の身体にはボカシが入っていたので実際に見るまで分からなかった。
それは今しがたトウキンのイソが放った雷属性の魔法です。そもそも雷系統の魔法自体が存在しないものだと思われている。
それをこの男は放ったのだ。涼しい顔をして。雷で出来た騎槍が雷鳴と共に敵を貫き、身体に大きな穴を開けていた。とんでもない魔法だ。
多分マサも驚いていることでしょう。何せイソの方を見て身動きしていない。しょうがないので私がホブゴブリンの戦士を切り刻んでおきますわ。
やはりこの人は凄い。この人とジョブを得た私が居れば、ウチのチームは何処までも進んで行ける。ダンジョンマスターを倒すと言っていましたが、それさえ阻止出来れば私がダンジョンマスターに近づくのも早まるかもしれない。そうすればアレも…。
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何だか視線が凄く痛い。そういえば合同調査でまともな攻撃魔法を使ったのは初めてだったか。ド派手にやりすぎてしまったか。
これは失敗したな。そもそもこの迷宮ダンジョンだと音が反響してしまうから凄まじい音が響き渡ってしまう。なので俺は一応謝っておく。
「いえ、多少は驚きましたが…それよりも先程の魔法は雷属性と見受けられましたが?そんな属性は存在していまして?ジョブの影響かしら?」
あぁ、そっちに驚いていたのか。確かにそうだ。俺が編み出してしまった今のところは俺専用の魔法なのだから。
俺はジョブは関係なく、スキルの影響で使えるようになった事を説明した。取得条件が不明なスキルなので、教えたとしても真似は出来無いと思っている。
ひょっとしたらもっと先でスキルブックが出るかも知れないけどね。そうなったら逆に喜ばしいと思う。
「並列思考ですか。そのスキルで同時に2つの魔法を発動させた訳ですね。そうすると新たな属性が生まれると…。そう言うことですか?」
俺は頷く。まさにその通りだ。この人は本当に頭が良いと思う。スキルの名前だけでここまで分かってしまうのか。
「とても良い情報が聞けましたわ。これは流石に貰い過ぎだと思いますのでこちらからも1つ情報を」
そしてキョウが口にした情報は俺を黙らせるには十分な話しだった。
どうやらキョウも進化の薬を使ったようだ。詳細は教えてもらえなかったのだが、どうやら得られたジョブが「
ちゃんとダンジョンは見ているのだな。
俺の勝手な知識だと狂戦士は戦士系統の最上位ジョブだと認識している。そんなジョブを得たキョウがこの先どんな速さでダンジョンを進んで行くのか。俺には想像が付かない。
まだその片鱗すら見せていないと思うが能力のボーナスも付いているのだろう。俺の様に賢さだけではなく、きっと複合的に上がっているはずだ。
流石は俺の目標とする人物だ。こうでなくちゃな。
手土産が出来た所で俺達は地上に戻ることにする。道順は完全に俺任せだ。右、左と支持を出しながら駆け抜けていく。3層に到着した時に面白い事が見の前で起こった。
それはリポップだった。俺達の眼の前に薄く
どうやらこの迷宮ダンジョンのリポップは3時間ということが判明した。だが俺は違和感を感じた。魔物が湧いた事にではない。3体湧いたオークの中の1体が明らかにサイズが小さい。
「なんか俺の目がおかしいのか?なんか1体違う感じがするんだけど」
皆も当然気付いていた。最初は遠近感の影響かとも思ったがそうではない。前方が小さいのはおかしい。そいつは多分1.5m程のサイズだ。そして小さい癖に他の2体とはオーラが違う。
オークといえば武器は槍なのだが、コイツはナイフを二刀流で持っている。
チビオークには当然皆も気付いている。なので俺は真っ先にマサに強化魔法を使い、キョウ、タケの順番で更に掛けていく。
マサも即スキルを使ったようだ。
異常に速い。俺には全く見えなかった。だがマサは対応出来ている。俺は取り敢えず邪魔になりそうな通常オークを低級魔法で倒しておく。
その間にキョウとタケも攻撃の体勢に入っている。キョウは敵の右から、タケは左から同時に攻撃をする。完璧に決まったと思われたが、何と奴は躱したようだ。
なぜこんな奴がここに湧いたのだ?ここ3層は旧ダンジョンの中層手前位の魔物しか湧かないと思っていたのだが。これはレアモンスターポップなのか?
でもどのくらいの確率で湧くかは分からないが、こんな浅層でこんな奴が湧いたら…普通なら皆殺しに会うだろうな…。
俺は攻撃を躱したチビに低級魔法で牽制するが、ナイフで切り落とされる。まぁあくまでも牽制だから良いのさ。その一瞬の隙さえ作れればね。
その隙を当然見逃さない人がいる。今度はチビの目の前にキョウが立っている。見ているだけの俺でさえ背筋が凍る程の研ぎ澄まされた殺気。この殺気は狂戦士のそれか?完全に何が起きたのか理解出来ていないチビオーク。そのままキョウに滅多切りにされて魔石に変わった。
実物のキョウはとてつもなく強い。これは紛れもない事実だ。そして当然まだ本気でもない。そんな本気でもないキョウの剣戟を俺は一切見えなかった…。
レアモンスターチビオークの魔石の大きさは10cm大。サメと同等のDランクという事だ。EランクのオークにDランクが突然混じる。これはかなり危険だ。
これも罠の一つなのか?こんなのが単独で歩いていたら背の高さなど気づかないかも知れない。そして所詮はオークだと手を出したらこの強さだ。恐ろしいな。
そして銀のチェストも出ている。魔物を倒してチェストが出たのは初めてだ。バトルエリアだとこのパターンだが、普段は巣の中などに置いてあることはあるのだが、敵を倒したら出るということはない。得した気分だ。
中には「縮地」のスキルブックと赤ポーション3本に、なんとDランクのバトルエリアの珠が入っていた。こういう時はどうすればよいのだ?珠は分けられないけどどちらかの企業に渡るには不公平が出来てしまう。なら使ってしまうか?
一旦出てからギルド職員と相談することにする。やるにしてもDランクならすぐにクリアー出来るだろうし。どうせ夜まで暇だしな。
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