第65話 ストレス発散
新ダンジョンに調査隊が入り始めて二日目の夜のコアルームにて。
「しずく〜。調査隊が二日目も無事に帰っていったね。流石にあの人たちだと事故も起きないかな?」
「ちぇ〜!まあしょうがないか〜。とっとと帰ってくれたほうがありがたいのかな〜。流石に合同調査隊は精鋭達だったよね!転送門をランダム転送にしておいて良かったよ。下手したらボスまでたどり着いていたかも知れないよね」
そう。この新たに地上に出現させた4つの転送門は1つ1つが現在は10個の出口にランダムで繋がるようになっているようだ。そしてまだ雫の頑張り次第では増える可能性もある。
今現在雫は10の迷宮ダンジョンを制作済みだ。1つのダンジョンに出口が4個。なので合計40の出口を4つの入口と繋いでいる。
なので10日で同じダンジョンの出口に出れる可能性があるという事になる。だが雫が飽きない限りは増え続けてしまうのでどうなってしまうことやら…。
ダンジョン内には地下というのもあって天井があるのだが、リ・アース上には天井はないので、クネクネの迷宮が地表に描かれているのがはっきりと見える。調査中のダンジョンは6層になっているがこちらには1面の迷路になっている。
これが10面あるのだ。これは余り見栄えが良いものではないので、迷宮を重箱の様に重ねて行くことにした。
さて何段になることやら…。なんか他の国にも門を出現させると息巻いていたのだが…まあ、日本の迷宮ダンジョンが完成すれば後はコピーするだけなのだが、リ・アースにもそれが重なってくるのだよ?
もう最後にはエアーズロックの様に一枚岩で囲んでしまおう。俺はそう決断した。
もう、お兄ちゃんは心労で寿命が縮まっちゃうぞ?まあ不老不死なんだけど。
★★★★★
調査三日目最終日だ。昨日の夕飯ではまた五ツ星の二人とストレス発散の為に飲んで歌いまくった。キョウは冷酷で他人に興味が無いのだと思っていたが、案外ダンジョン以外では人間味があるように感じた。何というか周りに気が利いて、実は優しい人なのかもしれない。
昨日はそんな発見があったのだが、またこのダンジョンに入るのかと思うとやはり気が重い。
もう出て来る敵も分かったのだし後何を調査すればよいのだ?どうせ昨日と同じなので帰らせてくれ…。
そんな事を考えながら調査に入る。やはりまた違う作りだ。俺達はそのまま1日本気で調査して4層半ばまで行ってから帰ってきた。
今日は木製と鉄製のチェストを見つけ開けてみた。1つは何も起こらず、もう1つはまた爆発した。油断の出来ないダンジョンだ。
そして1つ目の転送門の調査が終了した。来週は大阪に行くのか…。どんなダンジョンなのだか。
俺とタケは明日の飛行機で東京に戻るのだが、五ツ星の二人は今日帰るようなので、来週の挨拶をして別れた。
俺とタケは本当に今回は何もやっていない。魔法も結局最初のキュアのみだ。なのでストレスを発散させるために夜の街に繰り出すのだった。
★★★★★
「マサ、今回の調査でイソのジョブは分かりそうでしたか?」
「いや〜お嬢。ジョブどころか攻撃魔法1つ撃っていませんぜ。あれでは探れやしませんよ」
「そうですよね。あんな手応えのない敵だと知っていたら私はこんなところに来ませんでしたわ」
「まあ御上のご指名ですから。なかなか難しいのではないですかい?」
「まあでもヒントは貰えたわよね。何かの薬品だと言う事でしたわね。うちが今のところ2層で見つけた薬品は3種類。この中にあればよいのですが」
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俺とタケはトウキンに帰ってきた。たったの4日ぶりだが懐かしく感じてしまう。今日は探索部で報告をしたら業務終了である。だがこの3日間の探索記録が気になったので読ませて貰うことにした。
まずは2期の25人が1層の中層域を探索し始めたようだ。もう少しで魚人エリアだ。そろそろ
そして2層に居る1期のメンバーは…お、もう亀の里は余裕っぽいな。そしてまた七色の薬品が出たようだ。
アキが試しに飲んだ結果報告が乗っている。どうやら全ての能力が平均で5上がるようだ。
これは規格外な数値だ。俺の予想だと平均で3だと思っていた。それでも全能力なのだから破格だと思っていたが。まあ多いに越したことはない。これから先に進むのであれば強化されるだけ有り難い事である。
後は進化の薬がどんどん出て来てくれれば申し分無いのだが。そう簡単には出ないのだろう。俺がラッキーだっただけだ。
俺とタケは事務所を出て探索中の皆が帰ってくるまでの時間、会社にある訓練施設へと向い身体を動かしに行く。なんせ出張ではただ歩いていただけなので身体がなまってしまっている。
そこで模擬戦をしながら1時間ほど汗を流してからそろそろ時間なのでミーティングルームに向かう。模擬戦で俺はタケには勝てなかった…。悔しい!数値に出ない強さというものが存在するのだが俺には無かったようだ…。明日1日暴れるだけ暴れてやろう。俺とタケはそう約束した。
ミーティングルームで暫く待っていると皆が帰ってきた。そこで今日の探索の内容を聞き、俺らの福岡の新ダンジョンの報告をする。別に口止めされている訳でもないので構わない。
そこで俺は性格の悪いダンマスの罠や道が変わることなどを報告した。今まで上野ダンジョンでは罠らしい罠は無かったので皆びっくりしていた。今後はこちらのダンジョンでも罠が有るかも知れないから注意が必要だ。
そして明日探索に参加してから次は大阪に行く事になる。気が重い…。報告も終わり皆で寮の食堂へ場所を移して宴会だ。酒を飲みながら新ダンジョンの事をグチりまくって夜は更けていく。
翌日金曜日。俺とタケは予定通りに暴れる。俺は攻撃魔法など使わずに最前線に出て二刀流で斬りまくった。
亀の里でも俺はボス1体と斬りあった。ドデカイ棍棒を振り回しながら向かって来るボスはかなりの迫力がある。
俺は身体強化のスキルとフィジカルアップの魔法を掛けて何とか互角だ。多分ボスも身体強化を使っているのだろう。最初は俺が押していたのだが途中から突然強くなり、互角となった。
まあ俺の我儘で余り人を待たせるのも悪いので、ソロ討伐は諦めて皆で討伐した。それでも5分くらい撃ち合って力と素早さの能力がちゃんと上がっている。
そしてチェストを開ける時間だ。昨日俺が罠について説明したので皆、急に緊張しているように見える。
開ける役は1班のメイン盾のヒサだ。しっかりと防御系のスキルを使ってから開ける。当然俺の強化魔法も掛かっている。
パカッ。特に何も起こることはなくいつも通りだった。中には何と七色の薬が2本も入っていた。今、七チーム35名で討伐しているので皆に行き渡るまで初日に1本で飲んだのが1本、そして今日のも入れて残り31本だ。
初日のはロッカーに置いてあるそうなので取り敢えず今日の分を2班と3班に渡してロッカーのは4班に渡すようだ。
そしてチェストには他にもスキル「身体強化」とまたあの黒い珠が。しかもまたCだ。
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