第59話 輝く液体
まじで俺の魔法ぶっ放し動画の伸びが留まるところを知らない。特にライトニングランスの格好良さとダストランスを弾いたボス、そしてやはりF-バーストの桁外れの破壊力。
これがバズらないはずがない。土曜、日曜とずーっと俺の話題で持ちきりだった。俺と五ツ星の剣姫でパーティを組んで欲しいと言う意見がかなり多い。
実は今度組むのだぞ?とは言えないのがつらたん。
月曜日。朝礼で俺とタケが来週の月曜日から3日間、合同調査に参加することが皆に伝えられた。
それと今後は2層の踏破を目標に、設計図の残りを集めて欲しいとお願いされる。2層にまだ巣や集落が有るかどうかは分からないけど取りこぼす訳には行かないので、今後は亀の里の討伐前に魚人組が来るまで、各班散り散りに探索する方向で話がついた。
そして遂に魔法専用の杖を手にすることが出来た。これはそもそもウチの班が手に入れたものなので、当然ウチの班に使用する権利がある。
ウチの班は後衛が2名なのでどうするか相談した結果、合同調査が終わるまでは俺が使う事になった。
そしてなんと、タケが金曜日にボスからドロップした棍棒を使うと言うではないか。やはり五ツ星とパーティを組むことに対する焦りでも有るのだろうか?なんせ全探索者で1番の実力者だからな。
そんなご令嬢とパーティーを組むのだ。自分がどうすれば短期間で強くなれるのかを考えた結果なのだろう。あの武器は確実に戦闘力を底上げしてくれる。なんせ対峙した俺があの武器を見て、死を意識してしまったくらいだからな。
俺達は各自準備運動をしてから門を通っていく。1班2班5班は距離を空けて探索を開始する。俺らは門から出て右方面を探索していく。
2時間後。ひと班でこのエリアを探索するのは骨が折れる事が分かった。2時間掛けて戦闘しながらだけど7~8km程しか進めず、集合時間なので亀の里に向けて移動を始める。
そしてやはりこの杖はかなり凄い。威力が1.3倍位になるというのは予想以上に効果が上がる。そもそも俺は魔攻中アップがあるので、更に1.5倍だ。
俺の実験の結果では、魔攻中アップの1.5倍の更に1.3倍となるようだ。合計で1.8倍になるわけではない。確実に戦力アップを果たしているな。
そしてタケの棍棒も流石の破壊力だ。強度、重量があるので一撃の威力が高い。ムカデの背板は流石に一撃では破壊できないようだが、ダメージが装甲の中に伝わりやすいようだ。これで魔石武器では無いのだから、もう人間の技術では到底追いつけないと思えるほどだ。
それから1時間後、俺ら5班は集合場所に到着し皆の合流を待ちながら俺は偵察に出る。
狙撃手の位置は昨日と変わらず。敵の数も変わらないな。そうなると作戦も昨日と一緒で良いな。
それから皆と合流して里に乗り込んで殲滅。流石に金曜日よりも楽だ。あの時スキルブックが出まくったからな。それに1度体験済みというのも大きい。なんせ前回はかなりの激戦で皆軒並み能力が上がったからだろう。
今回は初討伐の時よりかは出るスキルブックの量は落ちている。これはいつもの事だ。
そして変わらずの銀のチェスト。リーダーが集まって空けていた。今回は虹色の薬品は入っていなかったようだが、何か光り輝く液体の入った瓶がチェストの中に入っていたようだ。
前回の虹色の薬品も早く解明しないといけないのではないか?なんせあんなの研究所に持っていったって答えが分かるはずがない。
あれは現場で調べないといけない代物だと俺は思っている。ただ一本しか無いので分配に困っているのかもしれない。なんせ7チームで獲得した物だからな。
何事も最初は有るわけで、無いとは思うが毒という事だって有るかもしれない。俺は毒を治療するキュアという魔法は持っている。即死したらそれまでと諦めるしかない。
なので調べてみたほうが良いのではないか?と俺は提案してみる。
するとリーダー達も納得してくれたようで、まずは今出た光り輝く薬品を試すことになった。……俺が。
はっきり言って俺は構わない。ただ虹色の方は何となく能力アップの薬品の気はしているのだが、今回の薬品は検討も付かない。
回復系だった場合は今現在怪我をしているメンバーは居ないので薬品が無駄になってしまうがしょうがない。
よし飲むか。何かあったら骨は拾ってくれ!ゴクゴクゴク。
『進化の薬を飲んだため、これから磯山幹久は適正職業に就くことになります。進化開始まで10秒前。なおこの進化は止めることが出来ません』
俺の脳内にアナウンスが流れる。そしてカウントダウンして行く。俺はなぜか冷静に状況を確認している。まず飲んだのは進化の薬。これはどうやら俺の適性のジョブを得ることが出来るようだ。
ただ、それにより人間ではなくなってしまうのは困るのだが…。もし人間のままジョブ持ちになれるのならとんでもない薬だ。
そしてこのアナウンスは俺の頭にしか届いていないようだ。
ここまで考えてもまだカウントはまだ9秒も残っている。
「どうやら進化の薬と言うらしい。俺は後8秒後にジョブ持ちに進化するらしい」
そして5秒前になったとき、俺の身体が光を発し出す。
皆「うわー」と言って腕で目を守っている。そしてカウント0。
『進化が完了しました。磯山幹久は職業ウィザードになりました。エキストラスキル暗黒を獲得しました』
俺の身体から発していた光が収まったので、皆が駆け寄ってきた。
そして「どうだった?」と聞いてくるので俺は「ウィザード」に就いた事、エキストラスキルで「暗黒」なる物を獲得したことを報告する。
まずエキストラスキルが何なのか。これはどうやら1日に1回使えるスキルのようだ。
そしてスキル「暗黒」は5分間「暗黒魔法」が使えるようになるようだ。
暗黒魔法が何なのかは使ってみないと分からないので保留となる。
ただ、この薬品は凄くヤバイよな。人間をダンジョン内ではジョブ持ちに変えてしまうのだから。
そして俺が当たり前のように後衛のウィザードになってしまっま事。日本語で魔導師だ。最近は近接も斥候も頑張っていたのに。別にウィザードになったからと言って近接が出来なくなるわけではなく魔法が得意になっただけなのだから気にはしないが。俺はガンガン前に出るよ!
そういえば五ツ星のご令嬢はジョブ持ちなのか?マズイマズイ、何か最近やたら意識してしまうな…。やはりライバルは必要だよな。そんな事を考えていると今度はダンジョン全体にアナウンスが響き渡った。
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