第54話 偵察部隊
今回持ってきたドローンは高速ドローンと呼ばれるものだ。これは小型ながら、キレイな映像も取ることが出来、名前の通り飛行スピードもかなり早い。
それを打ち上げてから縦横無尽に操縦して、狙いを定めさせない様に動かす。
なのにまた撃ち落とされた。ただ、俺は今回は弾の軌道が一瞬だが見えた。そして俺は即、ダッシュしてその方向10m先にある低木の茂みを目指す。
俺の予想だと向こうからこちらに射線は通っていないと思う。前回も地上の我々は攻撃されていない。
俺は茂みから感知を使うと、ギリギリの位置に一体敵がいる。50m先という事だ。そしてここから先には腰高の草藪しか無い。そしてその藪に潜んでいる敵の姿がこちらからは見えない。
ウォール魔法で敵の攻撃を弾ければ良いのだが、とりあえず皆にサインを送り、こちらに合流させる。
そこから感知スキル持ちのメンバーにも敵の位置の確認をさせてから盾役を先頭に矢尻型で進んでいく。すると移動してすぐに更に3体、計4体の反応があるが全く動く気配がない。スナイパーの様な奴らだ。
当然こちらは敵の攻撃範囲内に居るわけだが、こちらからはまだ攻撃範囲外だ。あと15mは近づきたい。すると我々の向かう方向の真横辺りの50m先に新たな敵の反応が現れる。
こっちの反応は移動している。厄介だな…。多分遠隔攻撃の敵とは違う種類なのだろう。そしてこちらも次々に反応が増えていく。合計4体だ。
「これは一旦後ろの茂みまで戻ったほうが良さそうだな」
そう提案して皆で茂みまで下がる。茂みまで戻ればとりあえずは遠隔の敵からは狙われなくなる。残すは移動している敵の一団の方だ。
これは逆にこちらに釣ったほうが安全に思える。もちろんやり過ごせるならそれが一番なのだが…と考えていると既に気づかれているようだ。
俺らが下がったときにこちらに付いてきている。これなら釣る必要もないか。更に下がって迎え撃つ準備をする。
俺が盾役にとりあえずフィジカルアップをかける。敵のいる方を見ると、藪がゴソゴソしているのが見える。確実に近付いてきている。残りは30mといったところだ。
これなら後衛の魔法は届く。早速低級魔法で牽制を始める。すると敵の移動速度が加速し藪から飛び出してきた。ムカデだ!そして当然デカい!全長で2mはある。触覚は鬼の角のような見た目でせわしなく動き回り、顎がヤバイ!
うげ〜!っという声が聞こえてきたが俺の反応は違った。足の動きが美しかった。ウェーブが起きているかのようだ。
まずはヒサが敵からのターゲットを一身に受ける。その隙に俺の蜘蛛の糸。
能力が上がっているのでしっかりと敵を捉える事に成功する。だが2匹だけだ。初見の敵なので色々と試させてもらおう。残りの2匹の内のキムが相手している方を皆で叩く。
だがこれがまた硬い!この距離だとF-バーストは使えない。皆を巻き込んでしまう。なので俺は皆に声をかけてライトニングランスを使う。
上空から、
敵も騎槍が刺さった場所がぽっかりと穴が空き、周りが焦げているが、まだ生きているようで魔石にならない。だが俺の魔法は通用するようだ。こっちの敵は任せて俺はフルスキル、フル強化でヒサが相手をしている敵に斬り込む。
俺は節と節の隙間を狙って斬りつけると、背板ほど硬くはない。だがフル強化のヘヴィショットでも身体を切断することは出来なかったが、手応えは有った。
声と言うより顎を擦り合わせて「ギーギー」と音を出している。皆が一匹めを片付けてこちらに来る。そしてトドメを刺して魔石と素材に変わる。魔石の大きさは多分12cm。ヘルハウンドの弱い方と同じ大きさだと思う。
素材は背板4枚と顎。この背板一個で俺の胸から腹を覆い隠せるほどの大きさだ。これを前と背2枚合わせてクッションを敷けば良い防具になるのではないか?加工次第ではヘルメットにでも。メッチャ硬いけど穴って開くのかな?
砕いてコーティングに混ぜるよりもこの素材は軽くて硬い。衝撃緩衝性さえどうにかすればかなり安心して探索が出来ると思うんだけどな。
残りの2匹も隙間を狙って皆でトドメを刺す。そして魔石と素材を回収してから茂みに移動して次の作戦会議だ。背板が16枚もあるのですげー邪魔なのだがすげー軽い。
相変わらず先程の敵は動いていない。距離50mなのでフル強化で本気で走ればこの草藪だとしても多分3秒。ただスキルや魔法は有限だ。まだ2層に来て30分位しか経っていないのに色々と起こり過ぎだ。
それに俺ばかり目立って居てもいかんよな。ここは盾とアタッカーに任せよう。身体能力だけなら俺よりも上のメンバーばかりだからな。
作戦はやはり各班の盾役を先頭に矢尻形で進んで行く。すると急にヒサの盾が弾かれた。そして他の盾も同じように弾かれた。合計4発。何かが飛んできているようだ。だが盾を貫通する程の威力は無さそうかな?
感知では距離30mを切った。感知持ちがマーカー代わりに魔法を撃ち込み、そこへ後衛も撃ち込み始める。俺はフリーズを撃ちながらウチの班の後衛ミウにF-バーストを撃つように指示をする。
藪が邪魔なので一緒に燃やしてもらおうと思った。ミウが皆に声をかけて俺の指示通りの場所を爆発させる。多分先頭の反応は消えたので倒せたようで残りは3体だ。
そして草藪が吹き飛んだお陰で敵の姿が
人型のカメだ!まるで映画の忍者カメのキャラクターのようだ。そしてそいつ等が手にスリングショットを持っている。あれでコチラのドローンを撃ち落としていたのか?嘘だろ?パチンコだぜ?何かのスキルが合わさっているのか?
まぁ良い。ネタがバレればもう怖くはない。もう既に手負いだ。ヒサとキムが一体ずつ受け持ってくれている間に、2班の盾役と一緒に残りを倒しに行く。俺も両手に長剣を握り後に続く。
すると目の前で敵が消える。ん?皆一瞬止まってしまう。その隙を敵が見逃さず、俺の前に現れ、前に居る盾役の背後から頭にナイフを突き刺そうとしている。隠密のスキルか!
俺は右手の剣で、今まさに突き刺そうとしている敵の右手を斬り飛ばした。結構ヤバかったな。そして左手の剣で敵の首を飛ばそうと斬りかかるが、背中の甲羅が邪魔をする。
カッチカチだ。この甲羅は剣ではキズ一つ付けられないかもしれない。それでも更に右手の剣で逆側から首を斬り飛ばすのに成功する。敵は消えて魔石と甲羅が残った。そしてスキルブック。凄い、隠密のスキルだ!
とりあえずスキルブックはリーダーに渡して残りを片付けに行く。まずはキムの相手を倒して、ヒサの相手という順番だ。
無事に全てを倒しきり、魔石と甲羅とまたスキルブックが出た。今度は「狙い撃ち」というスキルだった。このスキルでドローンを撃ち落としていたのか。コイツ等は優秀な偵察部隊のようだな。
これは良いスキルっぽいな。あれ程の命中率が上がるのならこれからの探索に非常に役立ちそうだ。
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