第47話 覚悟

 ヒサが見せてきた動画には俺等のサメとの戦闘記録や、バトルエリア、そして各社のボス戦や同ランクのバトルエリアの動画が投稿されていた。当然酷いダメージを受けた部分はカットされている。


 ただ、五ツ星のご令嬢の動画が半端無かった。俺達よりも1日早くあのサメを5人で討伐していた。そしてその1週間後にはCランクのバトルエリアをやはり5人で討伐している。


 マジで凄いよこの人達は、あの犬も盾2枚で囲んで滅多切りの大爆発。後衛の人はフレイムバーストを3回は撃っているな。


 初めて見るもう1人の女性もお嬢様に負けず劣らず半端ない。身体の動かし方を熟知しているような数値には現れない強さがある。全員が全員、戦闘のプロだ。


 マジでこの人達には負けたくない。例え道半ばで命尽きようとも。俺は一度死と言うものを体験して、死と言うものが怖いものではないと知ってしまった。とても静かでとても穏やかだった事を知っている。なのでどうせ死ぬならダンジョン内でと心に誓う。


 気付くと俺は笑っていた。なぜだか勝手にライバル視しているようで、目標の偉大さに嬉しくなってきてしまった。俺は覚悟を決めた。


 そんな俺を見たヒサとアキは安心した顔をして「帰る」と言う。そして「待ってるからな」と言って部屋を出て行った。


 そこからの俺はリハビリに取り組む。1ヶ月間寝たきりだったのだけど、案外筋肉は衰えていなかった。探索者だからか?普通の人とはもう違うようだ。


 3日後には病院を出て梢の墓を訪れて花を供えて来た。そして墓前で「俺も愛してるよ」そして「俺は先に進むよ」と伝えた。


 ご両親にも挨拶をさせてもらった。俺は梢さんとお付き合いをさせてもらっていたと告げる。どうやら両親は動画で俺のことを見ていてくれていたようで、逆に大変お世話になりました、と涙ながらに御礼を言われてしまった。


 そして梢の遺髪を分けて頂いた。それで俺もお礼を言いながら泣いてしまったのだが。これはナイショだ。


 翌日にはヤマの墓を訪れて花を供える。俺はお前を絶対に忘れない、そう言い残してからご両親を訪ね、挨拶をしてから帰路につく。


 俺は上野のトウキンの探索部に帰ってきた。そして探索部の部長に挨拶をして、復職することを告げる。部長は大変喜んでくれた。寮の食堂でも伝説の男が帰ってきたと大騒ぎとなった。やはり探索者はこうでなくてわな。亡くなった人を酒のアテに涙ながらにドンチャン騒ぎで夜が更けていく。これが俺達流の弔い方だ。



       ★★★★★



 ダンジョン内のコアルームにて。


 部屋の真ん中に黒い球体がゆっくりと回転しているのを男女が眺めている。


 その黒い球体には所々色が着いていて、ドット絵の様に四角く切り取られている。それは緑だったり茶だったり青だったり。


「マジでカワイイな〜!やっぱり獣人にして正解だったかもな〜!」


「でしょ〜!ワタシのいう事聞いておいて良かったでしょ?あ、また転んじゃってる」


「よく転ぶんだよな…なんでだろうな?バランスが悪いのかな?」


 俺と雫とで作った獣人は大人型10、子供型10。手と足は獣のそれで、それ以外は人間と一緒の作りだ。頭にはそれぞれの種族の耳が付いている。まだまだ魂は有るのだが、現在は試作の段階である。


 顔は入れた魂に引っ張られる感じで、それぞれ個性が出ている。子供型は1つの魂を2つに分けて別の種族の体に入れている。種族は違っても似た顔が2体づついる。突然前世の記憶とか蘇らないでよ?フリじゃないからね?


 今は犬、猫、ライオン、トラ、クマの獣人を各4体づつ計20体で生活を始めさせた。


 そして何故かよく転ぶ。ん〜何故だろう…。この身体にあの獣の足だとダメなのかなぁ…。


 あっ!やべぇ…尻尾忘れてらぁ…。


 俺は一旦魂を抜いて器を作り変える。この抜いた魂は無くならない。尻尾のパーツを粘土のようにコネて伸ばして貼り付ける。そして魂を入れると臓器が出来上がり、血が通い始める。それをまたリ・アースのエデンに戻すと普通に動き出す。


  大人型はすぐに繁殖行動を取るのかな?これは覗かないでそっとしておいてあげなければな…。


 食料用の動物の方は順調に繁殖している。今はウサギに、角ウサギ、鶏のような鳥、そして川には魚。


 生活に困らない様に職業の振り分けもしておく。そして職業に合わせて武器スキルと戦闘スキルか魔法をランダムで持たせている。俺が勝手にリーダーと決めた大人のライオン型には騎士のジョブと鑑定のスキルを付けている。大人の猫型には斥候と隠密スキルを。


 他にも鍛冶、錬金、裁縫、木こり、木工、農耕、狩人、戦士、魔法使い、などなど。魔法使いには各属性の魔法使いを設定する。


 そして天啓を与えるために教会の様な建物も作った。そして子供のメスの犬型二人に、巫女の職業とヒールの魔法とキュアの魔法をそれぞれ与える。この娘達は1つの魂で作った双子の巫女だ。


 これで俺との意思疎通は出来るようになる。極力接触はしないようにするけどね。この娘幼いのだけど誰かに似ているんだよな…。誰だったっけ。


 まあここにいる新たな生命はダンジョンで亡くなった探索者だからな。動画でよく見た顔だったのだろう。


 家の周りには永久に取れる果物や野菜、穀物が植わっている。そのうち魔物も近くに放して魔石の使い道の伝授と、スキルや魔法をもっと使えるようにしてあげよう。もうちょっと生活感が出てきたら雫と変装して遊びに行こう。



 こんな感じで運営していくには、確かに不老不死でないと無理だよな。まだまだ先は長いな……。





 ーーーーーー第二章 完ーーーーーー



 ここまで素人の読みにくい作品を読んで頂き、応援までして頂き有難うございます。文才もなく見様見真似でここまで書いてしまいました。


 この話はまだまだ続きますが第二章はここで一旦閉幕となります。ここまで少しでも面白いと思って頂けたなら★を一つでもつけて頂けると励みになります。


 既に三章もある程度は書き溜めて有りますが、ストックが減ってくると夢にまで出てくるので暫くは書き溜めさせて頂きます。


 多分1~2週間で投稿出来ると思います。三章はいきなり何年後とかにはならず、次の日からの話になっています。飽きずに引き続き読んで頂けると幸いです。

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