第三章

第48話 帰ってきた男

 磯山 幹久 24才

 生命  90%

 チカラ 31

 体力  29

 素早さ 33

 器用  41

 賢さ  52


 所有スキル

 ナイフ術

 長剣術

 魔法攻撃力 中アップ   ☆ New

 並列思考         ☆ New

 蜘蛛の糸      10/10


 所持魔法 

 アイスアロー    15/15 MAX

 ストーンバレット  15/15 MAX

 ウィンドウォール  15/15 MAX

 エアーカッター   15/15 MAX

 ロックランス    12/12

 アイシクルランス  12/12

 フレイムランス   12/12

 フリーズ       8/8

 F-バースト       3/3

 キュア       12/12

 ヒール       12/12

 F-アップ        8/8


 俺は梢の遺髪をお守りの中に仕舞い首からぶら下げてから、久しぶりにダンジョンに入った。能力はあの戦いで「賢さ」が馬鹿みたいに上がっている。そして見たことないスキルと、魔法攻撃力小アップが中アップに格上げされている。これは報告しておこう。


 これは賢さが50を超えたからか?それとも脳が焼ける程酷使したからか?周りに賢さ50以上は居ないか聞いてみたが、まだそこまでは上がっていないと言われる。


 それだけあのバトルエリアは過酷な戦闘だったと言う事か…。


 そして謎の使用回数MAXという文字。15回で頭打ちだったのか…知らなかった。


 そして装備もだいぶ変わっている。まず隊服は見た目は一緒なのだが、どうやら蟻の顎や、蜂の針、蜘蛛の糸などを科学繊維に混ぜ込んで加工して作っているらしい。なので通気性よく丈夫なようだ。


 そしてプロテクターや盾、ヘルメットも中層の狼の牙やツナの鱗などを粉末にしてコーティング剤で塗り込んだ物に変わっている。


 ちょっとだけ重く感じるけど慣れれば何てことはない。


 そして武器のレパートリーが増えている。完全に西洋の長剣や短剣、先端に重りの付いたロッド、槍もアキが使っているハルバードのような作りの強度の高そうな物に代わっている。そして前にコズが開発と相談していたウォー○マン風のガントレットも用意してある。この武器の中には深層の敵がドロップしたものも含まれているようだ。それでも流石にまだ魔石武器は開発されていない。


 俺はリハビリも兼ねて佐藤顧問…いやサトの班に組み込まれた。この班にはサトを班長に盾役のキム、後衛のミウ、それにバックアップメンバーのタケを加えた5名となっている。


 サトは近接攻撃のスペシャリスト。タケもコズガントレットを嵌めての格闘近接攻撃担当みたいだ。そして後衛が2枚でこれから探索をしていく。手前の雑魚の巣は訓練中の新探索者達に任せて真っ先に中層エリアに移動して魚人の討伐と深層手前までの探索をすることになった。


 これがリハビリなの?と思いながら、皆について中層まで小走りで進んで行く。残念ながら当然後衛の俺が1番遅い。なのでペースを俺に合わせて移動してくれている。


 途中で出くわした魔物共を俺が長剣で倒して行く。一応長剣スキルを持っているし、剣を振るうのにも憧れていたので、ノリノリである。そして近接攻撃をしていると力や素早さ、器用が上がりやすくなる。


 途中で倒した魔物のオークから、近接用のスキルが出たので何故か俺にくれる。コレで俺の素早さを補正していこうという魂胆だ。


 もらったスキルは「身体強化」これだけで普通に早く走れそうだ。これに更にフィジカルアップを重ねられるので、俺は風になる。もう誰も俺に追い付けないだろう。


 と思っていたのだが、素が低いので、コレで本気のミウと並んだ位かな。その後も接敵する都度俺が斬り割いて行き、ツナ沼にて皆と合流した。


 今は7班35名なのだが、沼に対して左右からツナを殲滅していく。俺は今日は剣での戦闘を行おうと思っている。盾役が沼の付近に近づくと、ツナ達が勢い良く飛び出して来て槍や水球で攻撃をしてくる。


 それを盾役が一身にヘイトを取り、アタッカーと後衛で殲滅していく。


 俺もスキルの身体強化と 魔法のF-アップを使い、ツナを切り刻んでいく。メッチャ楽しい!これはリハビリには丁度良いな。そして殲滅が終わると、置いてあるボートに空気を入れて島へと渡る。


 島のツナはどうするのかと思っていたら、ボートから魔法で落としていく。もう今となっては本当に雑魚だ。


 建物の中のボスは、俺が開幕でF-バーストを撃つことになった。


 1ヶ月前のあの日を思い出す。感慨深いな。あの時、俺が一発で決めていればミドリは死なずに済んだのだ。


 俺は魔法をあの時と同じように建物の中10mを狙って撃ち込む。俺の魔法は大体30m位なら届く。俺の賢さはトウキンイチ。


 そして魔攻は中アップ。そして謎のスキル並列思考。これが組み合わさった時、俺の魔法は建物とボスと取り巻きを微塵も残さず消し去り、残っているのは直径50m程のクレータと銀の宝箱、そして魔石とドロップ品だけだった。


「イ、イソ…これは…」「……スゲー」

「いやはやなんとも、これは凄いの一言に尽きますね」


 何これ…俺ごと爆風で吹き飛んでしまったじゃないか…。何とか受け身は取れたので怪我などはしていないけど…。皆は大盛り上がりしている。


 そしてスキル欄の並列思考の効果がわかったかも。これ、魔法を同時に2つ使えるようだ。今回はF-バーストが2回発動している。魔法欄にもしっかりと1/3になっている。そして今のだけで賢さが3も上がり55になっているや。


 という事はF-バーストとフリーズだったりと組み合わせは自由だ。違う魔法同士で何か意味があれば良いのだが。


 例えばF-バーストに更に風を送るとか、更に火を足すとか。もしくはランス系同士を組み合わせるとか。色々と出来そうなことが増えたな。


 そんなことを考えている間に皆で魔石と素材、本を回収してから宝箱の時間だ。宝箱にはまた赤ポーションと何かの本とスクロールが入っている。


 俺は今はリーダーではないので分配には関わらない。なのでウチの班のもう1人の後衛のミウに質問する。


「ランス系の魔法で風属性ってあるの?俺、後風魔法でコンプリートなんだけど」


「おぉそうだったんだ。エアーランスがあるよ。中層では狼から風魔法出るからね」


 おーそうなのか。是非コンプリートしたいぜ。風と氷で雷。火と土でマグマ?火と氷で水?風と土で……何かある?


「ミウはコンプリートしてるの?」


「いや、ウチは特に気にしてないかな。でも一応F-バーストは撃てるんだよ?イソほどの威力は出ないけど…あれは反則だよね!今の賢さいくつ?」


 最後はヒソヒソ声だった。結構能力値は同じ探索者仲間の間でも聞くのはマナー違反な風潮がある。


「今さっき55になった所。スキルでも魔法攻撃力中アップと並列思考が勝手に生えた」


「何それどういう事?スキルって勝手に生えるの?それに中アップって…それであの威力が出るのね。ちなみにウチは今46だよ」


 今日判ったことは、1ヶ月のブランクでもまだ最前線でもやっていけそうだと言うことだ。




 





 

 

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