第45話 激闘の果て
梢の首が飛んでいる。
でも間違いなく俺と目があった。
そしたら梢は俺に向かって微笑んだんだ。
そして口が何かを言っている様に動いている。
もう声は出ていない。それでも口は何かを言っている。俺はそれを読み取って萎縮が解けた勢いで赤ポーションを
絶対に俺が奴を殺す!殺す!殺す!殺す!
魔法は使えば使うほど賢さが上がる。この強敵に使えばガンガン上がる。今の俺の威力で倒せないのなら、賢さを上げればいい。
もう1本赤ポーションを飲み干してからまた全ての魔法を撃ち込みまくった!シネシネシネシネシネーーー!!
視界が真っ赤になっているのに気付くが構わない!このあとどうなろうと構わない!だがコイツだけは俺が殺す!!
犬の後ろ足が飛んだのが見えた。そして犬がまた吠えたようだがもう俺の耳には届かない。
気付いた時には赤ポーションを更にもう1本空けていた。
そして犬っころの首が落ちる所だった。
そして俺の鼻と耳から何かが流れ落ちるのを感じた。血だ。
そんな俺に皆が何かを叫びなが近づいて来るが、何を言っているのかはもう聞こえない。
全てがスローモーションのように流れている。
ああ、俺は死ぬんだ…。
何故なら今までの人生を振り返っているからだ。これが走馬灯というやつなのだろう。大学までは何の変哲もない普通の生活を送っていた。なので決して良い人生だったとは思わない。
それでもダンマスが現れてからの俺の生活は活気に溢れ、そして最後に良い仲間に巡り逢えて俺は幸せだったよ。皆に最後にお礼を言いたかったな…。
そんな最後の瞬間に、ふと俺の頭に疑問が浮かんだ。ダンジョンで死ぬと魂はどこに行くんだ?ちゃんと地球には行けるのだろうか…?まあそんなくだらないことを考えてもしょうがない。魂など迷信だ。
自分の膝が崩れるのがわかった。
そして俺は暗い闇の中へと落ちていく。
倒れるときに機械オペレータの声で何かをアナウンスしているのが聞こえるが、俺の脳には届いていなかった。
★★★★★
「………ありゃ〜、これはやっちまってるなぁ…。こんな展開誰が予想できた?」
「ホントだよね兄ちゃん…。シービショップ初討伐のその日にCランクのバトルエリアに入っちゃうだなんて…」
「南のあの娘でさえ入らなかったのにね…。油断したのか、行けると勘違いしちゃったのかな?」
「なんかそんな感じでは無かったっぽいけどね…それでも結局この人がトドメ刺しちゃったね」
「あぁ、この人の『賢さ』入ったときは34だったのに最終的に52まで上がってるからね。Dランク上位〜Cランク下位の数値だからね」
「一気に上がっちゃったから脳がオーバーヒート起こしちゃったんだね。最後血を吹き出して倒れてたもんね」
「そうだな。生きていたとしても下手したら一生植物人間だろうな。可哀想に…」
「ヒールじゃ治らないのかな?脳が欠損した訳では無いんじゃないの?ダンジョンの中で治療をすれば良いじゃん」
「どうなんだろうな?脳の何処かが欠損した可能性もあるけどな…俺にはわからん…生きてるのか死んでいるのかさえ」
結局北側ではこの日、シービショップとバトルエリアでかなりの個数の魂を回収出来たのだけどね。なんかこれは全然喜べないんだよな…。でも「リ・アース」で大切に使わせて貰うよ。それが俺達の仕事だからね。
リ・アースの住人用の雛形は何種類かは既に作ってある。これをコピーして魂を入れていけは良いだけだ。後はジョブとスキルを与えれば勝手に生活してくれるようだ。
でも1つの集落に沢山の種族を一纏めにしてしまうのはどうなのだろうか…?変な確執が生まれたりしないだろうか?イジメとか起こったら嫌だなあ。
でも別けると侵略戦争とか起こりそうだしな…。でも最初から多様性が会ったほうが下手な差別は起こりづらいのかな?ダイバーシティだ!
イジメ、ダメ、絶対!って最初に啓示してしまうか?
まぁはっきり言って駄目だったらやり直すからね。遠慮はしない。それが神の怒りとなるのだろう!アッハッハー!
「大丈夫、兄ちゃん?なんかブツブツ言いながらイキナリ笑い出したよ?」
「え?嘘でしょ?色々と考え事をしちゃってたよ。リセットは有りだよなってね」
「あ〜戦争とか起こったらヤダよね…そうなったら降臨するしかないんじゃない?神としてさ。…というか国会の時みたいに最初に降臨しちゃえば?」
流石は妹!俺と考えが一緒だった。日本では魔王と呼ばれ、リ・アースでは神となる。まぁ実際に地球人の魂を集めてるんだから悪魔だよな…。でもちゃんと人間にもメリットはあるんだからね?その中で殉職した魂を再利用するんだから……って言っても再利用されてるとは知らないんだよな…。
だからどうせならダンジョン内で亡くなってもらいたいものだ。外の魂は持ってこれないからね。
いつかダンジョンの中で出会えるかもしれないよ。昔の仲間と。
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