第39話 第三回?ダンマス会議

 ダンジョンの一画の怪しい部屋、コアルームの中で大きなスライムに身を委ねた男女二人がモニターを見ながら話している。


「あちゃ〜もう攻略されちゃったか〜被害ゼロとかあり得るの?」


「残念だったね兄ちゃん。やっぱりあの女の人尋常じゃないんだよ。だってあのモンスターってDランクで制作したんでしょ?」


「うん、ボスはDランク中位で取り巻きが下位だったんだよ。それを死者出さずに討伐するだなんてね」


「でも結構ギリギリだったんじゃない?これでCランクのバトルフィールドに入ったら全滅は必至だよね~」


「今のままなら確実に全滅だろうな…。ただ怪我人も出ているようだし、すぐには来ないだろうな」


「そんな事よりも兄ちゃん。この討伐も動画アップロードするの?」


「勿論するよ!ただ他の企業も討伐終わったらね。だってネタバレしちゃうでしょ?同じ敵が居るんだからさ!」


「まぁそっか〜折角オリジナルの敵を兄ちゃんが作ったのにね!それよりもアッチは進んでるの?」


「ん?エデンの事?エデンなら既にこの広さまで広げて、家もウサギエリアから少しだけ離れた所に建てたよ、ほら」


 俺はコアを拡大して雫に見せてあげる。大森林の裏側に広さはざっと1km四方のエリアを作った。ここのエリアはダンジョンでは20層に当たる。そして人型生物が住むエリアと食料になる予定の動物エリアを北から南に川を流して分断している。


「わあ〜カワイイ家!ゴブリンの集落とは大違いだね!」


「あ〜あれはね…雰囲気も大事じゃん?だってゴブリンがこんな可愛い家に住んでたらどう思うよ?」


「………嫌だね。とてつもなく!でもまだ誰も住んでいないんでしょう?」


「あぁ、まだ人口はゼロ人だ。だってまだ環境が整っていないからなあ。魂の回収も15で止まっているしね。ウサギで2つ使ったからな」


「ふ〜ん。それよりさ、このウサギに角か羽根を生やそうよ!そのほうが可愛いよ?」


「なるほどな。可愛いかどうかは分からないけど、地球の生き物と同じにする必要は無いかもな」


「そうだよ!人型もさ、動物人間にしたりとかさ!その方が絶対に可愛いよ!」


「確かにそれは悪くないな!獣人が支配する星か!オラ、ワクワクすっぞ!」


 雫にジトーッとした目で見られてしまった。それよりも今後の展開だよな。エリアはまだいくらでも広げることはできるのだが魂の回収が中々捗らない。もちろんまだ2週間しか経っていないのでしょうがない事なのだが。


 人型も自然に繁殖するようになるまではものすごい時間が掛かる事だろう。それまでは回収した魂で生物を作って行かなければならない。


 一応実験で人型を雛形から作ってみたのだが人間の魂1つで大体同等サイズの160cm〜180cmの人型を1体作ることが出来る。そして入れた元の魂の体格に引っ張られるように変わっていく。


 半分のサイズだと2体になるのだが、どう見ても子供型になってしまう。小さい大人型は作れないようだった。やはり魂を入れる生物は、繁殖という概念が有るので年齢とともに成長していくようなのだ。


 魂1つで人型の赤ん坊型なら5体作れるのだが、当然赤ん坊は1人では生きて行けないのでボツとした。


 1番良いのは子供型を作る事なのかな?これなら現在でも26体は作ることが出来る。


 食べ物は肉以外にも有るので、飢えることは無いだろう。


 今後は海や山を別の階層で作って張り合わせて行こう。同じ階層で違う気候には出来ないので階層を分ける必要がある。


 どうせ探索者はまだまだ1層で時間が掛かるだろうからな。世間では真ん中の建物に俺が居ると思ってるんだよな?そんな事あり得ないでしょうに…。コアルームは今や21層にあるっつうの!

 

「兄ちゃん。もちろん最初はリンゴの木でしょ?エデンと言えばね?うふふ」


「そうなるのか。禁断の果実だけど遠慮なく食べてくれるといいんだけどね!あはは」


 アダムとイヴの誕生は間もなくなのか?

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