第25話 今後の方向性

 これから蜂の巣をコズが壊すみたいだ。


 フレイムバーストだったらどうなるんだろうと考えながら、コズが動き出すのを目で追った。

 

 確か前々回はヘヴィショットのみで巣の前面を吹き飛ばし、前回は二日前で縮地も使って2/3を吹き飛ばしたコズである。


 巣の周りにもまだ雑魚がへばりついているが、雑魚を倒さず一気に行く気みたいだ。


 縮地を使い、一瞬で巣の目の前まで移動し、ヘヴィショットを乗せた右ストレートをメリケンサック付きのグローブで殴りつける。


 女王蜂以外は全て吹き飛び魔石に変わっている。女王蜂も瀕死なのでコズがそのままサクッと討伐して終了。


 2日間でチカラと素早さがいくつか上がったのか、あきらかに威力が上がっている。みんな確実に強くなっていると実感出来る。


 今日の戦利品は、雑魚から魔法2冊、ボスからはエアカッターが出た。ウィンドカッターの上位魔法になる。

 風の刃より高威力な空気を圧縮して飛ばす斬る刃の様である。


 ひょっとしたらまた統合が有るかもしれないからと、俺が取り敢えず使う事に。


 そのうち魔法は皆に行き渡るくらいは出るのかわからないが、攻撃スキルブックよりはよく出る。そしてボス技スキルブックは得に出にくいみたいだ。


 そして宝箱からは能力値アップ液のチカラ

素早さ、体力が出た。


 チカラはコズが、素早さはヤマが、体力はヒサが使うことで皆合意する。


 来週の金曜日までまだ鍛えられるので、万全を期すため、個人個人の能力値の底上げも必要になってくる。


 ただ、ここらレベルの敵をちまちま狩ってもそこまで能力は上がらなくなってきている。もうちょっと奥まで行けないか相談して見るしかないか。


 俺は完全に賢さ狙いで上げていくのが良いと思う。フレイムバーストが3回位撃てるようになれば、かなりの戦力になると思う。

 賢さが上がれば魔法攻撃力があがり、魔法の回数も増える。それでまた魔法を使って賢さを上げる。


 コズだって縮地を使っていれば素早さと器用さが上がるし、ヘヴィショットを使えばチカラと器用が上がる。その2つが上がればヘヴィショットの威力と使用回数が上がる。


 ここのところ蜂の巣は1人で中身ごと吹き飛ばして居るので、残りの人は雑魚で上げるしか無くなってしまいま、能力値上げの効率が悪い。


 それでも我々は企業に雇われているわけで、勝手はできない。もどかしいね。


 明日でダンジョンの探索を始めてから10日目になる。キリも良いし、来週の金曜日にはバトルエリアへの侵入イベントも控えているので、ミーティングの時に中層への探索許可を出してもらえないか聞いて見よう。


 今となってはほぼ瞬殺となってしまった蜂の巣討伐の後に奥を探索出来れば、会社としても2cmの魔石よりはもっと大きい魔石の方が価値は有ると思ってもらえれば。


 大は小を兼ねるかはわからないが、世の中には小型家電などで小さい魔石も必要にはなってくる。


 まだ自衛隊がダンジョンを調査していた時に、5cm大の魔石と同じ体積になる様に2cmの魔石を集めても、発するエネルギーは5cmの魔石には及ばないという結果が出ている。


 魔石を割る技術が確立されれば、5cmの魔石を半分に割って形を整えて2cm大にしたときに発生するエネルギーの量は、普通の2cm魔石とどの程度の差が出るのか、今まさに研究されている所である。ちなみにまだ魔石は割れていない。割ろうとすると爆発するらしい…。

 

 それでも5cm魔石の使い道が増えれば、当然需要が増えるわけで、ちまちま雑魚狩りで集めなくても奥で大き目の魔石を得たほうが良いと思える。


 今日は残り時間を雑魚刈りに費やし、ギルドに戻る。


 ギルドに着いて魔石を渡し、装備品の収納部屋で脱いで居ると、蟻討伐を担当している5班のリーダーヤスが話しかけてきた。


「おう、お疲れイソ!今日蟻の巣の女王から二冊目のヒールが出たからお前らに渡そうと思ってたんだ」


 と言って「ヒール」のスクロールを俺に渡してくる。


 確かヤスの班は、ミユが蟻の巣討伐初日に出た「ヒール」を覚えて居たはずだ。


「え?いいのか?ヒールはかなり貴重だろうに」


 と聞き返すと、


「ウチの班は1名ヒール持ちがいるし、バトルエリアに入るなら必要になってくるだろうよ」


 とヤスが言ってくれるので、


「それじゃあタダじゃ悪いから、明日以降良さそうな風魔法が出たら渡すよ」


 と言って、有り難くヒールのスクロールを貰い、うちのメンバーに報告する。トレードの件も快く了承してくれた。そしてスクロールはどうやら俺が使うみたいだ。まあ明日使おうと装備品と一緒に置いてから、会社に戻ってミーティングに備える。


 ミーティングでは、今日考えていた中層エリアの探索を懇願しておいた。まだ保留にはなったが手応えはあった。これには他の班も同意してくれて、良い方向に進んでくれそうだ。


 きっと明日、本社の会議で話をしてくれるのだろうと期待して待つしかない。


 そして例の検証結果が出たらしく、データを渡された。難しい事はわからん。


 ただ、わかりやすいデータも乗っていた。スイングスピードである。


 ノーマルの状態で、  320km/h

 2cmの魔石セットで  560km/h

 3cmの魔石セットで  820km/h

 4cmの魔石セットで  1260km/h


 とんでもない数字である。魔石のサイズで約2倍 3倍 4倍と上がっていくのかな?


 運動エネルギーは最大で約82万J(ジュール)8万3千kgf・m…よくわからないが、コズのフルパワーの右ストレートで48万Jだから……うん。今日も良い天気だ!


 アキのデータはあくまで武器の質量での計算見たいで、コズのは全体重による式になっているっぽい?アキが助走を付けたらもっと上がりそう?


 皆にもデータを見せて数字の大きさに一喜一憂している。わかってるのかな?俺はわからんよ。賢さと頭の良さは ≠ ですから。


 ミーティングも終わり食堂へ移動し、みなでワイワイ今後の話しなどで盛り上がる。


 ゴブリン討伐隊の方にまた「フレイム」のスクロールが出たらしく、エアプレッシャーが出たら、何かと交換してくれと頼まれたので、5班の後でという事で了承した。それならと土蜘蛛班と蟻班も参加して、土魔法と氷魔法の交換も頼まれる。どれも欲しいので大歓迎である。


 みんなが色々な魔法を覚えて、統合されていく組み合わせがわかれば、この先の戦力拡大に大いに役立つだろう。


 そのうち風系魔法と何かで雷みたいな魔法が使えるようになるのかもね。氷系が可能性が高いかな?どちらにせよ楽しみである。完全に魔法使いの脳になってきている。


 そのあとは統合された魔法の威力を説明し、大いに盛り上がった。





 

 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る