第24話 魔法の統合
ダンジョン探索8日目。
今日も今日とてダンジョン探索である。それが我々の仕事だから当然である。
ただ今日は他の班のスクロールとウチの班のスクロールを交換してもらえる事になっている。
まあそれは今日の探索が終わってからになるので、いつも通りにまずは蜂の巣討伐からである。
ヤマが隠密を使い、スズメバチの後ろを取り、ヘッドクラッシュを使って見る。
ナイフで頭を刺すと、頭が弾け飛ぶ。
おぉまさに頭がクラッシュしたぜ!
ヤマも満足気であるので何よりだ。
俺も次の雑魚で、エアプレッシャーを使ってみると、敵が空中で押し潰れて魔石に変わった。
この押しつぶす効果が、どの程度の大きさ、硬さに通用するのかは、まだまだ実験が必要だ。
そんなこんなで色々試しながら、蜂の巣攻略はあっさり終わる。
雑魚からはいつも通りの魔法スクロールと武器スキルブック。ナイフ術と長剣が出たので、ここは!と思い俺が使う。いつかは前衛で斬って刺してとやってやる!
女王蜂からは「エアブラスト」の魔法が出た。
エアブラストは初日の全員で討伐したときの6cmの魔石ランクのボスが出した魔法である。
昨日のエアプレッシャーも少し上のランクみたいだったので、6cm大のボスとか関係なく、ある程度ランダムにボスからはこのランクの魔法が出るようだ。
これも俺が使うんだけども…。
楽しみの宝箱だ。
昨日が、あの珠だったから、今日も期待してしまう。
パカ
お!ポーションが5本と魔法「キュア」のスクロールが入っていた。
キュアは生命力は回復しないが、毒とか麻痺とかの状態異常を治すことが出来るやつだと思う。ヒールは出ないが、ポーションが増えて、状態異常回復魔法が手に入って、今日はツイてる。
魔法は頂きます…はい。
ちなみに今の俺のスキルと魔法は
スキル
ナイフ術
長剣術
蜘蛛の糸 2/5
魔法攻撃力小アップ
魔法
アイスアロー 4/6
ストーンバレット 5/6
エアプレッシャー 2/4
エアブラスト 4/4
キュア 4/4
結構揃って来てはいるが、派手な攻撃スキルが欲しい……。蜘蛛の糸はどちらかといえば動きを封じるデバフの方になると思う。
雑魚から出る魔法は、使いたい人が居ればどんどん使ってもらう。コズも少しは賢さをあげよ?と言ったら、「わたしは賢さ11あるから良い!」と言われてしまった。
11はウチの班では一番下で、2番目のアキは14ある。と言うと、急いで今日出た「ウィンドカッター」を覚えていた。「ウィンドウォール」はアキが覚えるみたい。
2人共、やっと魔法持ちになったね。
俺が把握している限りの他のメンバーのスキルと魔法は、
片桐 梢
ヘヴィショット
格闘術
縮地
ウィンドカッター NEW
遠藤 寿人
硬化
短剣術
アイスブレード
プロテクト
山田 健人
超音波
隠密
ナイフ術
エアバレット
ウィンドカッター
ヘッドクラッシュ
安藤 アキナ
二段突き
格闘術
槍術
パワースラッシュ
ウィンドウォール NEW
こう考えると、みんなもっと魔法覚えた方が良いじゃん!と思う俺。
まあ 無理にとは言わないないけど。
後はゴブリン討伐で何の火魔法が出るのかが楽しみだ。
ワクワクしながら今日も残り時間を消化して、門で待ちあわせなので、門に向かって歩いて帰る。
門の前には7班が待っていて、ミドリが手を上げて挨拶している。
俺も軽く手を上げて、今日の戦果を聞いてみる。
「良いのが出たぞ、フレイムと言う魔法だ」
フレイムといえば火と言うより、火炎のイメージで、火よりうえのランクであろう。
「おーいいね!火炎系か」
と言って、ウィンドカッターのスクロールを渡し、フレイムのスクロールを受け取る。
早速使おうとスクロールを持つと、
『魔法フレイムと魔法エアプレッシャーを統合して、魔法フレイムバーストを覚えますか?』
と脳内アナウンスが流れる。
「………」
「ん?使わないのか?」
とミドリに聞かれたので、
「なんか俺の覚えている魔法と、この魔法を統合出来るって脳内アナウンスが…」
「!!!」
皆が騒然とする。
なんで俺ばっかり…。
「報告だな…」
とアキに言われたので、「……はい」と答えてギルドに帰る。
空気を圧縮する魔法に火炎を合わせたら大爆発間違いなく無い?気体を圧縮すれば熱を持ち、それが空気なら火も着きそう。名前も火炎爆発みたいな感じだし、俺の今の賢さで1回でも使えるのかが問題だけど、奥を目指すなら、奥の手としても使えそうかな?と考えながら着替えて会社に戻る。
ミーティングでは、俺の報告に皆が驚いていたが、
「という事は、下級の魔法でも統合できるものが有るのか、もしくはある程度のランクの魔法同士ではないと統合出来ないのか、まだまだわからないことは沢山ありますね」
と探索部部長の有馬さんが頭を抱える。
そりゃあまだ探索8日目ですからね、とは言えない。
その後も、他の班の報告を聞いたあと、有馬部長があの件について話し始める。
「昨日のバトルエリアの件について、本社で会議してきた内容を伝えたいと思います。まず結論から言うと、侵入の許可は出ました。条件として、佐藤顧問も責任者として一緒に参加してもらいます。これは佐藤顧問も了承済みになります」
と言って佐藤顧問を見る。みんなも一斉に見ると、顧問は頷いている。
なんせ失敗したら死であるバトルエリアに顧問クラスが責任者として侵入するということは、何かあった時は、ダンジョン省やマスコミに管理が甘いとか、安全基準がどうのと会社に乗り込まれても、死しても顧問に責任を押し付け、責任逃れをする事を意味する。
「それと、侵入予定日は来週金曜日の午後1時半という事になりました。何名侵入出来るかわからないので、念の為全員でその時間にダンジョン側の転送門に集合してください」
「顧問には、戦闘に参加せずに記録映像を撮って来て貰います」
これは
これならフレイムバーストなる魔法を覚えておいたほうが良さそうだ。起死回生の一手になるかもしれない。
翌日、朝の朝礼の後に、フレイムバーストを覚えようと思っていることを皆に告げると
「それが良い」と賛成してくれたので早速統合する。
俺の賢さは23で、トウキン探索部の中でも1~2位を争う賢さだ。
それでもフレイムバーストは1回しか使えない。それだけでなく、エアプレッシャーとフレイムが無くなっている。まあそうなるわな。
でも1回分は使えるなら使ってみたいと思うのが人間である。
蜂の本隊の先頭に向かってフレイムバーストを撃って見る。
まるで周囲が切り取られたかのように、あきらかに空気が蜂の先頭に向かって圧縮されているのが目で見える。中心が直径50cm程一瞬輝いて見えた後、一気に20mほどの範囲に炎が広がり、その後爆風が迫ってきた。もうなんと言うか大爆発である。ヘルメットにシールドをしていてもわかるくらい熱が伝わってくる。そして爆発の衝撃波が内蔵に響く。半径10mくらいは地面がエグれ一瞬で燃え尽きて灰になってしまっている。この魔法はヤバいな。
「まだ、耳鳴りが止まないよ〜」
とコズが嘆いている。
「俺の方が、コズよりもっと爆心地近くだったんだけど?」と内心で愚痴る。脚はガクガクブルブル震えて止まらない。ん?ちょっとチビっちゃったかな?
皆も熱は平気だった様だが、ヘルメットをしてても耳をやられてしまったみたいだ。
能力値を確認すると、1回で賢さが2も上がっている。それほどに脳に負荷が掛かったと言うことだ。それでもフレイムバーストはまだ1回しか使えない様だ。
昨日は派手な攻撃スキルが欲しいと願ったら、ド派手な攻撃魔法が手に入ってしまった。
会社に報告したら、また実験に付き合わされてしまうだろう。
今日の蜂の巣は、コズが行くみたいだ。
昨日のアキの威力を見て、敵対心を燃やしているみたいだ。
流石に魔石武器と張り合っても勝てないよと想っていても、口に出さないのが紳士であろう。
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