第18話 能力値アップ
「10班の安達です。本日の報告ですが10班エリアの森を入って5kmほど入った所で、
これには一同唖然として、誰も口を開かない。
下手したら100体以上居るかもしれないし、上位種が居たら、攻略難易度は跳ね上がる。
もともとゴブリンは武器を持ち、使うことが出来るモンスターで、その上位種となると知能が上がり、雑魚を指揮し、作戦を練って襲いかかってくる可能性がある。
これは全てweb小説調べだが、そんなに遠くはないと思う。
どうやら明日、7~10班プラス、佐藤顧問がゴブリンの集落の調査に行くみたいだ。
ウチの4班は単独で蟻退治、5班が2班と合同で蜘蛛退治と決まった所で本日は解散となった。
5班のメンバーを呼び止め、スキルブックと魔法スクロールの分配の相談をする。
こちらが「蜘蛛の糸」と「ストーンバレット」、その他残りを5班に。
蜘蛛の糸とストーンバレット両方ともなぜか俺が使うことになったので有り難く使わせてもらった。なんか俺、後衛になってきてない?
でもこういう敵のスキルぽいのってかなり期待値が高いのは俺だけじゃないはず。
そのうち吸収とか、コピーとかいうスキルが出てきそうな予感。
そんな事を考えながら部屋を出ようとしたところで、コズとアキが、探索部の部長と何やら話し、一緒に部屋から出ていくのが見えた。少し気になったが夕飯を食べに食堂へと向かう。
食堂では5班のリーダーのヤスとメンバーの盾役キムが話しかけてきて、親蜘蛛の戦い方を色々聞かれた。うちの場合、スキルフル活用だったから参考にならないかもだが、ヤスもスキル持ちだし、「不意撃ち」が新たに加わるからきっと大丈夫。
俺らだって明日は単独で蟻の巣退治だから、そっちの方が心配だ。
体調を整える為に早めに部屋に帰り、シャワーを浴びて就寝。なんとも健康的な生活である。
探索5日目の蟻広場手前、取り敢えず観察を始める。まずヤマがドローンを操作して蟻を釣り出す。後ろ向きになっている所で、背後から10体位を一気に倒す。
今回も援軍は出て来なかったので、俺のアイスアローを蟻塚の入口に打ち込むと、わらわら出て来るので、新技「蜘蛛の糸」を使ってみる。
すると直径5mくらいの粘着性の投網が開いた状態で現れ、蟻3匹を地面に固定した。
蜘蛛の糸はかなり使い勝手が良さそうだ。
身動きの出来なくなった蟻は放置し、向かってくる蟻に、ストーンバレットとアイスアロー、蜘蛛の糸をローテーションで撃っていく。
今魔法は一つにつき5回撃てるようになっている。今の所合計10回撃つと賢さが1上がるペースだ。
蜘蛛の糸も、賢さと器用に補正があり、能力が上がると任意で網が大きく出来るようになるので、使い勝手は非常に良さそう。
働き蟻と兵隊蟻を10体ほど地面に固定して他の殲滅は終わる。
網を見てみると、兵隊蟻の強靭な顎でも噛み切れない様だ。今後も安心。それを確認してから、全てを殲滅する。
ここで一旦ドロップ品を回収する。今回はスキルブック2冊だけだが、格闘術と初めて短剣術が出た。
短剣は、多分ナタに効果ありそうだけど、斬属性だからナイフほど使って居ない。
ただナイフより長く、重いので今後使い所はあると思う。
格闘はアキが希望したのであげる。得意のハイキックのキレが増した。
短剣はヒサが使いたいと言うので許可した。どうやら盾を構えながだと、ナイフよりナタのほうが戦いやすいと言う事だった。
そして蟻塚の番だ。今日はコズに大ハンマーにヘヴィショットを乗せて撃ってもらう予定である。
「右ストレートじゃダメ?」と聞かれたので本人もやりたそうだから
「試しにやってみても良いよ」とOKを出す
コズは嬉しそうにナイフを握り、渾身の右ストレートを打ち込む。
するとコズのこぶしを中心に、半径1.5mくらいの範囲で陥没した。みんな唖然とするが、コズだけハイテンションで、もう一発同じところに右ストレートを撃つと、陥没していたところが吹き飛んだ……拳は平気?コンバットグローブでしか保護されてないのに痛く無いのかなぁ。
そんな心配は必要なかったようで、楽しそうにしている。そして吹き飛んだ穴から、女王蟻が出てきたので戦闘開始。
女王蟻は動きが鈍いので、二回目にしてすでに怖くない。ヒサが注意を引き付けている間に皆でタコ殴り、回復してもタコ殴りにして終了。魔石と素材の顎がでる。そして魔法スクロールが2冊落ちている。
魔法「アイスブレード」のスクロール。
魔法「プロテクト」のスクロール
アイスブレードは読んだまんま、氷の刃であろう。何か蟻は氷系が多いのかな?アイスアローも蟻だったし。そして女王蟻は後衛なんだろうな。ドロップがサポート系が多い。まぁそのうち被り始めたら他の班と交換してみてもいいかもな。
なんせ俺の予想だと、このレベルの敵だとそんな強力な魔法スクロールは落とさないと思うから、同じのが出ることも有るだろう。
そして「プロテクト」は防御系の魔法だろう。防御力が上がったり、何回か透明な何かで攻撃を防げるとかそんなものかな。
なんせ事例がないので全てが手探りである
そしてアイスブレードとプロテクトは盾役のヒサが覚える事になった。プロテクトは、他人に使えるかわからないので、確実に必要なヒサに使って貰う。魔法を使えるようにしようと言う流れだ。アイスブレードは、いつか盾から手を出せなくなったとき用に、覚えておいたほうが良いと思い、使ってもらうことにした。
それと、女王蟻から出る素材の顎だが、他の蟻のそれより硬い。何かの武器や装備になったら強力だと思う。これも昨日から研究され始めた。
そして蟻塚の破壊した穴から見えていた、鉄の宝箱を引っ張り出す。
盾を借りて大ハンマーの柄頭でノックをする。返事がないので開けてみる。
パカ
箱の中には黄、紫、緑、色の違う液体が入った3本のビンが入っていた。
「これは流石にわかんね」俺は愚痴る。
「イソ飲んでみてよ」アキに言われる。
まあいつか誰かが飲まないといけないのなら、ここで俺が飲むのも悪くはない。
検証するならまずはステータスの確認からだ。
磯山 幹久
生命 78%
チカラ 22
体力 21
素早さ 22
器用 23
賢さ 15
スキル 蜘蛛の糸 0/6
魔法 アイスアロー 0/5
ストーンバレット 0/5
まずは黄色から行くと、なんと賢さが3上がり18に。これで探索者以外の人類で1番賢くなったかも。
次に紫は器用が2上がり25。
最後に緑は素早さが3上がり25。
これ凄くない?能力が直接上がるなんてかなりレアなのではないか?これは報告して情報の共有をしないとな。
ヒサにも「プロテクト」の事を聞いてみると、決まった時間内、透明な膜である程度のダメージを肩代わりしてくれるらしい。これは体力と賢さに補修があるようで、効果時間と肩代わり率が変わって来るみたいだ。
これで盾としても一段階成長したよ。
なんかこういうのも悪くないと思えてきた。トライアルアンドエラーである。
エラーはまだない。まだ5日目だしね。
土曜、日曜は休みなので、今日は残り時間ギリギリまで雑魚刈りをしてギルドに戻る。
ゴブリンの集落も気になるし、ひょっとしたら能力アップ薬が出ていて、悩んでるメンバーが居るかもしれないしね。
この時の俺らは他の班の悲劇など、まだ知らなかった。
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