第12話 今だけそっと 想わせて

夕暮れ時のあかね空

グラスにそっと映し出し


闇入る前に躍り出す

鳥たちの群れと別れても


今日の終わりの時告げる

砂時計すら忘却し


本棚の隅へと追いやって


あなたは今日もまぶたを閉じる


小さな窓に見入る影

愛しき背中の猫のよう


カタカタと

すべる指さえ遠くから


月光のごとく 照らす君


今日もかなたの緑地より

ほんのわずかなつながりを


頼みと想う逢瀬時


私をあはれと想うのならば


今だけそっと 想わせて


グラスの氷が消えるまで




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