第45話
隆二は一体どれだけの顔を持っているのだろう。
彼を好きな気持に不安はないけれど、彼の違う一面を見つける度に自分自身も知らない自分が出てきそうで怖くなる。
「あっ、くっ、痛いっ、くっ……」
僕が腕を解こうとしてもきつく結ばれて取れなかった。両腕を頭の上でクロスさせられ、そのまま動かせない。
隆二は嬉しそうに僕を見下ろすと、僕の穿いていたスラックスも下ろして下着だけにしてしまった。
「すっかり俺と同じにブリーフ派になっちゃったな」
ああ、いつもみたいに少し照明を暗くして欲しい……。
このままじゃ恥ずかしいっ……。
でもそれよりも僕は一週間ぶりに彼に僕の裸を見られてる事で気持ちが高ぶってしまった。
隆二は僕の下肢を広げて割って入ってくる。上に覆いかぶされて身動きが取れない。
いつもより乱暴なしぐさに僕は確かに感じてしまっていた。その気持に気づかれるのが恥ずかしい。
顎を掴まれ、そのまま狂おしく彼の唇が額、瞼、頬と這い回り、耳たぶにそっと触れると軽く甘噛みをする。
そのまま乱暴に扱われた。
果実を食べるようにわざと音を立てて、僕の耳たぶを嘗め回したかと思うと、思い切り噛み付く。
「あっ、痛いっ、いやっ」
鋭い刺激を与えたかと思うと、今度は耳の中まで舌を滑らせぐちゅぐちゅと乱暴にかき回す。
痛みと滑った舌の心地よさで僕は意識が飛びそうになった。
もう彼と繋がっている時の感覚をよく知ってるからこそ、彼が中にいる時の感覚がすぐに想像できてしまい。
昂ぶりが止められなくなっている。僕の息は無意識にあがってきてしまっていた。
明らかに僕は感じている。
あっ、そこっ。あっ、ダメっ、嫌、嘘だっ。
「ああ、止めて! 止めてぇ!」
ああう、嘘っ、あふっ。耳だけなのにっ、隆二に嵌められてるみたい。
もうこの一週間何もなかったから余計欲情が引き出され、その感覚が蘇り、リアルに僕は抱かれてるのと同じような感覚になってしまっていた。
ああ、どうかしてるっ。僕おかしいっ。
もっと、乱暴にして……。
心のどこかでそれを望んでしまってる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます