第44話
僕がちょっと顔をしかめると隆二さんはふっと微笑んだ。
「それにしても……。お前は俺のことなんにもわかってないな。俺がいつも君の事どう思ってるのか、何を想像しているのか言ってやろうか? 知ったら呆れるぞ。君の少し苦しそうな顔が好きなんだ。苦しそうな中に気持ちよさが出てくると最高に好き。優しいふりをして、その顔を見るとぞくりと刺激される。そして何もかも貪り尽くしたくなる……君が超絶対的Mだとしたら俺はSかな」
意地悪く笑う隆二に僕は反抗した。
「僕、マゾじゃないよっ」
「嘘つけ、こうしてもらうと嬉しがるくせに」
そういうと隆二は僕の手首を掴み両手で押さえつけて僕の上にのしかかってきた。
僕が抵抗して腕を離そうとしても離してくれない。
そして胸に唇を這わせてあちらこちらを前よりキツく吸ったり噛んだりした。
僕の体はびくんと跳ねぶるっと体が震えた。背中がぞくりとして声が出ないようにくっと唇を噛む。
「ほら、今凄く感じてる」
隆二は少しだけ意地悪く笑った。
「あっうっ、嘘つき。僕を護るって言ったのにっ……」
「馬鹿、それは他の誰かからだ。お前を好きにしていいのは俺だけだ」
そういうと胸の突起に突然吸い付いて強く吸った。
「はっ、うっ」
「お前が俺に呆れて離れたいと言ってももう無理だぞ。もう泣いても暴れても、二度と離さないからな」
「……あっ、はっ」
「もう俺のものだ、離さない。どんな事があっても」
隆二はぞっとするくらい嬉しそうに笑うと、僕の両手を痛いくらい押さえつけて、馬乗りになった。
隆二が外出先で穿いていたスラックスがベッドに放り投げてあって、それのベルトが目に入ると、すぐにそれを抜きだした。
僕は両手をベッドに乱暴にくくりつけられる。
ああ、そんなにしたら痛いっ。
「ちょっと、待ってっ! あっ、いたっ」
僕は額から汗が滲んできてしまう。
でも隆二からされる痛みが、僕の中で変な化学反応を起こして、体の中心がかぁっと熱くなるのを感じてしまった。
「どうやらお前は俺がどれだけお前を愛しているかわかってないみたいだな。ちょっと今まで優しく抱きすぎたかな。俺自身腹が立ってきたよ。そんなに俺たちの絆は脆い物なのかって」
隆二は普段物腰が柔らかいだけに、僕にだけ時折こうした一面を見せる。
でも今夜のはまた違う。
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