第40話

「でも、隆二のファンの子も言ってるし、その通りだと思うよ、僕はお芝居も下手だし、料理も下手だし、顔もイマイチ、それなのに隆二と一緒にいるって隆二の品格まで落とすって僕は僕は……。私服ダサイって、その通りだね、下手な芝居も止めればいいのに続けてるとか5分で飽きたとか下手糞とか、こんなんで金取ろうとしているのとか……その通りだよ僕は僕なんか台詞もまともに覚えられないし、僕……」


「馬鹿、こんなの見るな!」


 隆二さんはパソコンの電源を落とし真っ直ぐこちらを見た。少し怒った顔をしている。


「なんだ? さっきから、お前の振る舞いといい、作る料理といい、なんなんだ!」

「だって、隆二は、隆二は……このままじゃ僕嫌われちゃう……」

「誰が嫌うんだよ。大体なんだその髪型に格好。はっきり言うぞ、似合わない! 普段着てるナチュラル系の綿の服はどうした?!」

「あんなの捨てたよ! あんなのダサいってみっともないって!」

「誰がそんな事言った! 今のお前の格好の方がよっぽどダサい、こんな物脱げ!」


 隆二は怒りながら僕の服に手をかけた。


「ヤダ! 嫌われるから嫌だ、あんな服捨てた、嫌だ!」


 隆二はゴミ箱に僕がめちゃくちゃに放り込んだ服がそこからはみ出しているのを見て苦い顔をした。


「こっちのが似合わないんだよ、脱げ!」

「イヤ!」


 上着を脱がされると、僕は抵抗してリビングの方に逃げた。でもソファの上で捕まって更に隆二が服を脱がそうとする。


「ダメ、止めて、ヤダ!」

「煩い、こんな似合いもしない物、誰に吹き込まれたか知らないが、こんなもの俺が脱がしてやる」


 後ろから羽交い絞めされても僕はしばらく抵抗していたけど、連日の疲れや脱力で隆二に力で敵うわけもなく。

 僕は隆二に押さえ込まれて動けなくなってしまった。


 流石に僕のおかしさに気づいたのか、隆二の押さえつける手が少しづつ緩んできた。

 不意に顎を掴まれ僕の頬を長い指が触れる。そしてそっと囁いた。

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