第8話

「守くん気をつけてね、私たちも目を光らせているんだけど、隆二さんのファンが入り込んでる可能性もあるから」

「ええっ! な、なんで?」


 僕がポカンとしていると本世屋くんがちょっとイラつくように身を乗り出してきた。


「もう、だから言っただろ、滝川隆二に接する事ができるのは幹部でも一番上の連中が主で、下の連中は必死でその上の幹部になろうとしているわけ。

 直接は幹部が厳しくて近寄れないから、守くん経由で近寄ろうとしてんだよ、ホントに鈍いなー心配だ」

「イルカのチケットも取りにくくしてんのあいつ等のせいだぜ、隆二さんが観に来てるの知ってるからさ、いつくるかわからないから 全日押さえて、来ない日はネットで投売りだぜ、ほんと困るんだよなそういうことされると」


 余程いままでため込んでいたのか、みんな口々に言い合い口を尖らせた。


「慶子、あんた隆二さんのファンクラブ一般だけど入ってるわよね?」


 ショートカットのボーイッシュな雰囲気の烏丸さんが宮慶子さんに問い詰める。


「ええ、でも私は一般会員ですから、特に問題ないかと……」

「でもー! 守くんとのこういう会に参加できてて、かつ隆二さんのファンクラブに一桁代で入ってるってのはあんたしかいないからね、かなーりレアな存在だから、あんた目つけられてるかもしれない」

「ま、まさかー幹部ならわかりますけど、私は隆二さまに関してはその他大勢のファンの一人ですし……」

「でも一般でも古参でしょ? 隆二の幹部で守くんの一般ならいるんだけどね、隆二さんのファンにとってはあんたが今一番羨ましがられるポジションにいるんだよ? 幹部に呼び出されたりしないように気をつけなきゃね……」

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