第5話
だから僕みたいに借金を抱えてた人間は生活ができてなかったので一時劇団を休んでいた。
それでも過去を振り返ると色々な役をやったなぁと。中でも思い出深いのはペテン師の役。
僕自身悪役があんまりなく、近所のいい人とか、交番のお巡りさんとか、弟の役とかの兼任が多くて……。
(つまりその他大勢的な楽な役)準主役はこの間の隆二さんとのネットドラマくらいで。
脇役の割とすました青年が多かった。
なんで僕はそういう役が多いのかなぁ……。
と、いう訳でペテン師役は面白くて、今でもセリフを良く覚えてる位だ。
ファンの人にも好評だったみたいで、ファンクラブ幹部代表の本世屋(ほよや)くん達みんなも楽しい! と言ってくれて僕も嬉しくなった。
僕には彼らはもう友達みたいで、会報制作の集まり以外にも時々飲みに行く仲間だったりする。
彼らには本当にお世話になっていた。可愛らしいカフェ風なサイトを作ってもらったり、先ほど話した日記というのも本世屋くんが打ち込んだり直したりしてくれている。
時々僕の写真も載せてくれている。
メールは本世屋くんたちが整理して僕にプリントアウトして見せてくれる。
質問も本世屋くんたちが選んだ物を僕が答えるという流れになっていた。
ネット関係は僕はよくわからないので、本世屋くんが管理運営してくれているのがありがたい。
それでも彼らの中には決まり事があって、個々では僕と会わない。むやみに僕のプライベートを詮索しない。という物らしい。
いつもの集まりで僕らは居酒屋の和室を一部屋借りていた。
目の前には色々なお酒や焼き鳥やサラダなどのおつまみが並んでいる。
未成年の子の前にはジュースやウーロン茶があり、みんなそれぞれ好きなものをつまんでいた。
ここでも色々決まりごとがあり、僕はお金を多めに出そうとするのだけど、ダメと言われ割り勘だった。
「守くん、今度のイルカはどんな役になるの?」
ファンクラブの一人野嶋明子(のじまあきこ)さんに聞かれた。
「うーん、とね今回はどんな風になるかな? これから話し合いがあるからまだわからないんだ」
「悪役だといいね!」
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