第4話

 仕事帰り、途中まで僕のマネージャーの絹美空良(きぬみそら)くんに車で途中まで送ってもらい、僕はその近くの最寄駅からすぐに地下鉄に乗り、待ち合わせの場所に向かった。

 最近スマホとか駅の構内で見ながら歩いている人もいて、危ないのかこの沿線の駅にはどこもホームドアがあるのが当たり前になってきている。


 今日は僕のファンクラブの人達との飲み会。僕は彼らとやり取りのノートの確認をしてホームに滑り込んできた電車に乗った。

 何故ノートを持ち込むかと言うと、僕は彼らと話をしながらこれからの予定内容や忘れてはいけない事をメモするためだった。

 またファンクラブの子に僕のインターネットのサイトで一方的に発信しているブログという物の代筆してもらうため月に一度日記を渡している。

 毎日は書けないので、週に一回とか月に一回とかだけれど、それでもいいということだった。

 ネットは隆二がパソコンを持っているけど、僕は操作がよくわからない。決まったサイトは時々見ている。

 隆二が選んでくれた物で可愛い犬や猫の写真とかが載っている物。飼い主さんの愛が凄くて僕もそれを眺めるのが好き。

 

 僕のファンクラブについては話すと長くなりそうなのだけど、元々僕が所属している小劇団のイルカを見ているファンの人たちが作ってくれて。

 僕は自分のファンクラブなんてと最初は躊躇したのだけれど、みんな気さくで話しやすくていい人だちだったのでお願いすることにしてしまった。

 事務所の方でも代表の子が話し合って進めてくれて公式に立ち上げることになった。と言っても年に一回会報のようなものを出して、それからあとはその制作に関わってくれた人などと飲みに行くという流れで特に大きなイベントも今のところない。


 飲み会は劇団イルカの話が中心だった。この小劇団は不定期に行っていて日程を2日間とし、昼間と夜公演している。


 僕はドラマがあったのでここ半年で久しぶりに復帰、参加したのだけど、そもそも生活基盤ができてなかったというのが主な原因だ。


 劇団をやっているからと言ってもほとんどみんなにギャラなど入らない。

 みんな各々芝居以外にアルバイトをして生計を立てつつ、集ってお芝居の会場や互のスケジュールを調節して会場を抑え、それぞれのノルマのチケットを安くしてでも売って、観に来てもらうのだ。

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