恋人の娘が可愛すぎるのだが。

第2話 朝、台所にて

おはようございます……。早く目が覚めちゃった。

すごい寝癖。

洗面所に寝癖ウォーターあるから使っていいよ。

朝ご飯用意したけど、ママ、寝てるよね。昨日今日休みだから。

休みの日はお昼まで寝てるから私が朝ごはん作るんだけど……。

ああ。その、これはね……。

こんな焦げた目玉焼き、食べれませんよね。私、これ食べるんで作り直します。

って。

えっ、そんな……食べ……ちゃった。

美味しいって？

あんなに焦げた目玉焼きなんて……お世辞にも程があるよ。

私の分は自分で今から……え、作るだなんて。台所も汚いし。

あ、ちょっと待って。

ああ……そうか、雇われてたんですもんね。いえいえ、寝坊は誰だってあるし。明日からはお願いしてもいいですか？　あ、お願いするまでもないのか……。

てか……そのーやっぱり汚いよね、台所。

ママ、仕事大変だから掃除もなかなかできないし私も、その、掃除が下手というか苦手というか。

卵、はい。

ウインナー？　ありますよ。ママはウインナーは切らしたくないって。

よかったら冷蔵庫の中身どうぞ。たいしたものはいってないし。

ちょっと今日買い出し行った方がいいかも。いつもネットスーパーか、ママが適当に安い見切り品買ってきて。

やっぱり汚いよね。冷蔵庫の中も。

……笑ってるし。あ、それいつのかわからない。

何作ってくれるの？　昨日もビーフストロガノフ作ってくれたし。

男の人なのに料理するだなんて珍しいー。って調理師さんだったもんね。

男性の人が家事とか料理してるの見ると珍しいっていうかいいなぁって思うの。

パパは一切やらなかったんだから。

……あ、あまりママにはパパの話はするなって言われたけどさ。ずっと会ってないの。離婚はしたけど、ママが面会断ってるみたい。

寂しくはないけどね、うん……。

てか、すごぉい。包丁さばき。

……ごめんごめん、うるさいよね？

手つきも慣れてるし。

……すごぉい。だったら尚更この汚い台所いやでしょ。

あ、昨日はママの前でさぁ……ママの彼氏さんだし、アレかなぁと思って言わないけど。これからここに一緒に住むならいいかなぁ。

え？　何って？

昨日のビーフストロガノフ、めっちゃ美味しかった。初めて食べたんだけどね。

ふふ。

照れすぎだよ。本当のことなんだから。

えっと、時雨……さん。

うーん、ママはそう呼んでなかったね。

じゃあ私もママと同じように呼んでいい？　いいの？　

じゃあ……時雨、くん。ふふふ。

あ、また照れてる。わかりやすいー。

あ、焦げてる。