第3話 5月
「5月ってさ、おもしれーって日がないよなー
え、何? ゴールデンウィークゥ~? いつもなら楽しめるけどさぁ~……。
嫌そうな顔になるのも当たり前だっての。だってさー、4月に勉強したらぜんっぜん追いつかないってのがわかったみたいでセンセーから『休み前に小テストするから、それが赤点だったら、ゴールデンウィークはつきっきりで追試だ!』って言われたんだぞ?
ったく、お前はいいよなー? だってさ、ふっつーのゴールデンウィークすごせるんだろ? ほんっとーに良いよな~?
わかったわかった? お、ってことは勉強教えてくれるのか? でも、お前もあんまり頭良くないよな?
…………え? ボクが入院してから、勉強して学年上位になった? う、うっそだー? じゃ、じゃあ、今度教えてくれよ!」
「おじゃましまーっす! ってことで、ゲームだ――あいてっ!? な、何すんだよ!?
え、今日の目的? …………え、えーっと……。
わ、忘れてない、忘れてないから! じゃ、じゃあ、教えてく……って、ナニコレ? テスト? どの辺りが分からないから、先にどれぐらい出来るか見たい?
わかった。じゃあ、ちょっと待ってろよ」
「う、うーん。うぅん? えっと、これが、こうで……えっと。うーん? ううん?」
(ぜ、全然わからねー……。けど、出来なかったらバカにされそうだし……。
……そういえば、こいつの顔をまともに見るの久しぶりだけど、1年前と比べて男らしくなったな。
ボクは女の子になっちゃったけど、こいつは男らしく。しかもイケメンの部類に入るし……。
そんな奴に告白なんてされたら、ドキッとしてしまうんだろうなー。ボクは全然しなか……あれ? でも、あの時、駅前でこいつが来たときにどう驚かそうって思ってたのに……ドキドキして、声が出なかったんだよな。で、悲しそうな顔をしちゃってたのを見てようやく動けたけど……。何でだ?)
「……うーん、わからん。あ、ああうん、テストの話じゃなくてちょっとしたこと――う、ちゃんと勉強します」
「やったーっ! 赤・点・回・避!!
お前のお陰だよ、ほんっとーにありがと~!
え、て……点数? え、えっと、えーっと……って何カバン開いてんだよ!? 乙女の秘密を探る気かー!? ま、まあ、乙女じゃないけどさ……って、面として言うなー!
……う、ギリギリ回避でした。すみません。
で、でも、ボクもゴールデンウィークが満喫できるようになったんだから、良しとしようよ!! ありがとうな!
あ~、本当に何しようかなー。ゲーセン行きたいし、カラオケ行きたい。漫画も読みたいし……ん? な、なに?
……え。遊んでもいいけど、一日一回は2時間ほど勉強の時間?
い、いやだ~~っ!!」
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