第8話
霧の中に一軒の家が見える、もれ出す明かりはだれかが住んでいる証拠。
オレは家の扉を叩き、ニッコリと笑顔を作る。
・・・返事が無い、家屋の中からはゴソゴソと人間の動きと足音が聞こえる。
(予想通りか・・さて、中はどうなっているんだ?)
・・「なんだお前は、新聞はいらんぞ?
薬の押し売りか?それとも何かの行商か?返れ帰れ!ワシは忙しいんだ!」
髪の薄い男がバタバタと走り、怒鳴りながら部屋の奥に走って行く。
・・・同じか。
博士のあとを追い、人形がぶら下がる部屋に入った。
「なんだシツコイぞ、金は研究が終わってからだと決めていただろう!
成果が遅いからといって邪魔しに来るんじゃ無い!」
博士は振り向かず背中を向たまま、忙しい忙しいとせわしなく歩き続けていた。
「最近の金貸しはお前みたいな男も雇うのか・・はぁ、若い男の仕事が金の取り立てなど・・」ブツクサ言いながらも手を動かし、ネジ・ゼンマイ・ボルトをガチャガチャやっては紙を覗く。
「金の取り立てじゃない、博士に見せたい物があるから来たんだ。
コレに見覚えは無いか?あんたに必要な物だと思って持って来たんだが?」
ポケットから魔石の欠片を取り出して博士に見せる。
「こっこれは!コレをどこで!・・出自はこの際どうでもいい、コレをワシに譲ってくれ!
礼はする!必ずあとでする!くれ!そうだ、殴るのだろう?殴らせてやるからコレをくれ!」
博士はオレの手の平から鉱石を奪うとどこかへ走り去り、金属の箱を持って戻って来ると、バタバタとガラクタに押し込んでゴチャゴチャやり始めた。
「すまん今は本当に忙しいんだ!
用はあとにしてくれ!そうだ、ワシの部屋を使っていい。
そこで休んでくれて構わん、とにかく今は手が離せないんだ!」
埃っぽいベットと部屋の床に積もった埃、同じ・・か?
(少し寝る)
埃を払い、ベットの上に寝転がると眠気が襲ってきた。
ガタガタと壁の向こうで作業が続く音が聞こえる、ゴソゴソと走る何かとバサバサと紙がこすれる音。
まばたきの間に闇と光が繰り返し、本能的な感がオレを覚醒させた。
「?起きて来たのかね?
どうだいキミの持って来てくれた魔鉱石のお陰で、ついに動き出したぞ!
この姿こそ私の夢の第一歩だ!」
天井からぶら下がる人形は自ら足を動かし、手をばたつかせて動きを見せていた。
「まだ自分で歩く事は出来ないが、それも改良していけば人の様に自分で歩きだすぞ」
がちゃ・がちゃ・がちゃ・
クインッと足を滑らせ、ヒモに絡むように引っ掛り転び浮かぶ。
「・・やはり、バランスが・・クソッ、いくら歩かせても直ぐに・・おかしい、私のロボがこんな所でつまずいたら駄目なんだ・・」
頭が大きく、足が細い。
人間に近くしたせいで、重心が上にあがり過ぎたロボは何度も転びヒモに絡んでしまう。
「・・四つ足」だったよな?たしか。
「?・・今、なんて?」
思わず口にした言葉に博士が食いつく、オレが知っているのは4つ足のロボだ。
「!・・そうか・・四つ足か・・!
なるほど!!確かにそうだ!最初は4つ足、次ぎに二本足、
最後の3つ足・・・ロボだから老いはしないから3つ足にはならないが・・・
確かに今の段階で二本足にこだわる必要は無いんだな!」
飛び上がり掛け来る博士が勇者の手を掴み、痛いほど強く握るとブンブンと音が出るほど強く上下させる。
「直ぐに取りかかる、先ずは設計から見直しだ!そんな物は直ぐに出来る。
私以外には出来ないだろうが、私はこのロボの設計に何年かけたと思っているのだ!」
博士は自らを奮い立てるように声を上げ、机に向かい筆を走らせた。
「すまない!今は頭にある形を!設計を書き出すのに精一杯なんだ!
感謝と礼はあとで必ずするからな!待っていてくれ!」
・・・・・まぁ・・いいか・・眠気がひどい、頭に霧がかかる、なんだ・・か・・
遠くで何かの声がする、鼠のように床近くからゴソゴソ這い回るような足音。
『上手くいったな もっと強く 設計図は 改造 観察 』
不快な声がする・・なん・・だ・・
声が頭にこびりつき眠れない、起き上がり頭を振ってこめかみを押さえる。
(チッ、クソ城下のヤツらから聞こえてきた陰口と同じだ。
誰かを小馬鹿にするヤツがする、口元を上げて横目でオレを見てたヤツらと同じ
話し方しやがって・・)
壁を打つガツン!ガツン!
明らかにロボを改造する金属音では無い音で意識が覚醒した。
(おれも壁を打ちまくったけどな、コレはうるさ過ぎるだろ)
四本足のロボが壁にぶつかり、激突すると反転し壁にぶつかるまで歩いて激突していた。
・・なんだ?これは?
「ああ・・もう・・駄目だ・・確かに動かす事も出来た、歩く事も。だが制御が出来ない、なぜ思った通りに動かないんだ・・・」
・・・この男・・ガワだけ作って、動くと思っていたのか、、実は馬鹿なのか?
「人間もガワだけじゃ、動かないだろうに・・」
・・?・・?・・!「そうか!魂か?魂が足らないのか?この子の中には魂が入ってないからワシの思いに答えてくれないのだな?」
ハハハッ・・「魂か!ならば私には解らなかった訳だ!ならこの子に魂をそそげば」
「・・人の魂を入れようって事なら、今オレが止める。当然魔物の魂でも同じだ」
「魔物の魂だと?そんな物が私の子に相応しいはずが無い!私の子には・・私の子には・・・」
「・・ヘぇ?じゃあ、あの神ってヤツの魂でも入れたらどうだ?あちこちに有るらしいし」
『神はどこにでも存在し、どこからでも全ての人々を見守っています』って言ってやがったぞ?多分嘘だろうが。
「お前も神の信仰者か、ヤツらはワシを・ワシの技術や発明を異端と見なし裁判にかけようとする。全く・・・人の可能生を信じないヤツらが!忌々しい!」
・・・「?・・神・・の魂だと?・・そうか!そうだな!
神の魂だ!『万物に宿る』と言われる神の魂なら取り出してロボに入れても、いやロボにも魂が・・」
少し考えさせてくれ、ボソッと博士は呟き棚の本を開き何かを探し始めた。
・・・・また、オレも眠い、、クソ。
異臭と共に目が覚めた、ダイニングから漂う生ゴミを煮込んだような悪臭。
「・・おは・・よう・・ございます」
「やあおはよう!きょうもいい天気だ!さぁ席に座りたまえ、スープの時間だよ
今日のスープはなんだい?」
鍋を前にナニカを煮込んでいるロボが振り向く。
悪臭の元は緑と灰色の煙を上げ、赤色の液体を皿にそそぎ始めた。
「ハカセ・キョウハ・ミミズとスコップモグラ・クワガタ・・デス」
・・・
「ハハハ、みみずは滋養強壮に効くらしいし、モグラはほ乳類だ。きっと美味しはず」
博士もひきつきながら、[手を震えさせて]笑っていた。
「・・?ロボ?なんだ?」
ロボの目が勇者をじっと見つめるように顔を近づけ、固まった。
「?アレ?キミには言って無かったか?この子の中に入った精霊との契約で
名前を与えているんだよ?アレ?」
博士もオレも記憶が混乱しているように頭を捻る。
「キミのアイデアで魂を入れる手段を探した結果、魂では無く精霊を宿らせる事で
人間とのコミュニケーションをとれるようにしたのだよ」
『父と子と精霊の名において』と言うじゃ無いか。
笑いながらスープにスプーンを入れ口にアレを流し込む。ゲホッ!ゲホッ!
天罰でもくらったように顔の色がみるみる変る、(やっぱり神ってヤツは・・)
人間にひどい事しかしないようだ。
ゲホッ!「そうだな、ワシ、ガウスの一人息子プロト。
料理はアレだが働き者で人間の友となる機械の体を持つ、最初の隣人だ」
・・・・チッ、
「キミのアイデア、発想、そして生命まで与えたのだ。
プロトはまだ人間の区別が少ししか出来ないが、キミの名前くらいは憶えさせてもいいだろう!聞かせてくれ
『君の名は』」
「・・・勇だ」吐き気がする、このスープの匂いだけが原因じゃない。
「ガウス・プロト・勇・・よし!プロト、大事な名前だ憶えておくのだぞ?」
プロトと呼ばれたロボはオレの顔を覗き込み、U・U・UUU・・
数度オレの名を声にすると、黄色い目の点滅が青に変った。
「U・スープ・U・スープ」
正直食べたくない、何かないか?この毒物の摂取を回避する何かが。
「そう言えば、スープの具材もそうだけど。変った事は無いか?
たとえばこの周囲も魔物達が攻め込んでくるような」
「ハッ、ソイツ等は全員スープの具材にしてやるわい!
プロトは単純な家事だけでなく戦闘も出来るように設計しているからな・・・・」
「・・他にも、何かあるんだな?」
口を濁した博士に食い入るように聞く、
(博士はスープを食いながらでも良いんだぜ?おれは・・またの機会って事・・
にはなりそうにないか・・)
ジ~~~~と光る目と起動音が近い、顔が近いんだよ!待て、あと少しだけ待ってくれ。覚悟を決める時間を下さい!
「・・まあアレだ、設計図がどこかへ行ってしまったじゃ。
といってもプロト本体がここにいる訳だし、ひとの為のロボが増える事に異存がある訳でなし。
改造のアイデアも、この先の改良計画も頭の中にあるのだから、何も問題無いといえばそうなのだ」
いわゆるパクリか、発明の権利をどこかに取られて馬鹿を見る。
研究一筋の人間はよくそんな目に合うらしい。
「粗悪な模造品が作られる前になんとかするべきだな、オレが調べておくよ」
それじゃっ、立上がろうとしたオレの肩をロボ・・プロトが掴む。
ジィィィ・・「スープ・・U・スープ・・」
「解ったよ、調査は喰ってからだ。」手加減を頼む、神と精霊の加護がありますように
・・・ガメオベラ!ブヘッ!・・・
誰かがチーンと鐘を鳴らす。
やはり神は駄目だ、今度からは別のモノに祈る事にしよう。
そう強く心に誓った。
目が覚めた時、シーツは埃が溜まりベットの板が割れ・・
(・・・同じ・・か)
割れた木の板の扉のノブを回し、金属をこすって鍵が開く。
灰色の空・・・か。
リビングルームに行くと、ギコッ・ギコッ・ギコッ・・
「ハカセ・・ハカセ・・ハカセ・・」
ベットの上にある白骨、なぜか毛布を掛けられ汚れがその場所に溜まって虫が湧いている。
ギィ・・扉を開け、ロボがスープを運んでくる。
「ハカセ・ゲンキ・ナイ・・スープ・・スープ・・ゲンキ・ナル・・ハカセ・ハカセ」
スープはハカセと呼ばれた白骨の口にそそがれ、ベットのシーツを汚していく。
「ハカセ・ハカセ・ベット・ヨゴレタ・・ベット・ヨゴレタ・・」
ロボはオレには気が付かないのか、シーツと毛布を取り替え白骨を戻して去って行った。
空洞の眼窩は何も写さず、開いた口に残った歯はスープで汚れている。
頭の髪も抜け落ち体も骨がぎりぎりで残っていた。
白骨の横にある小さな机、その中にしまわれた本・・日記を取り出し、博士の文字を目で追う。
・・・魔王が現れ世界は変った、男は魔物と戦い、傷付き倒れ、畑は荒れ森も川も海も奪われ、大人も子供も苦しんでいる。
(書き始めは・・同じか・・・)
・・・・・・
男がやってきた、そいつは私の求めていた物を持って来たと言う。
何と言うことだ!神に祈りが通じたのか!ああ神よ!私は今日を忘れない!
重心の問題も男の言葉で解決した、もうこれでガラクタなどと言わせんぞ!
ああ・・ああ、歩く事は出来ても動く度、何かさせる度に命令をしなければならないなんて・・これでは糸が外れただけの操り人形ではないか・・どうしたらいいのだ。
悪戦苦闘の日々が続き、私は部屋を歩いては壁にぶつかるロボに自分の姿を重ね見る・・
壁・そして壁だ。
進んでも壁、戻っても壁ばかり、そんな時に魔鉱石を譲ってくれた男が現れた。
一晩私の話を聞き、翌朝ロボを見た男は言った。「魂が入っていないと」
そうだ!魂だ!その発想は無かった!
ワシは早速、ものに魂を宿らせる方法・その事例を探し始め、ついにその技術を組み込む方法に成功した!
呼び出した精霊と契約し、ロボに命を吹き込んだのだ。
そしてロボとなった精霊に[プロト]と名付ける。ああ、我が子よ!プロト!
今日がお前の産まれた日だ!
私は真っ白な我が子[プロト]にあらゆる事を教えていこう。
そうだ!先ず私の名前とお前の名だプロトよ、私の鉄の子供プロト。
我が盟友!我が協力者!
彼の名を知らなかったとは、私ももうろくしていたと言う事か!
プロトの心臓と魂と足を与えた男ユウ!
彼には可哀想な事をした、プロトのスープは慣れるまでは少し難しい味なのだ。
すまぬ。
・・・・
おかしい・・なにかおかしい、私の家に何かが起こっている事は確かだが、それが解らない。
だが私にはプロトがいる。大丈夫だプロト、お前にも私がいるのだから。
目をつぶると這い回る鼠の足音、部屋は掃除されシーツは洗濯されているのに部屋の中に残る不快感、なんだこれは?
・・・
ついに立てなくなった・
歳だと思いたいが、どうもそうでは無さそうだ。
この日記を探すような声が私が眠る度に聞こえる。恐い。
プロトよ、お前を残して逝くのが恐い。
ああプロトよ・・私のプロトよ・・
・・~~~==ーーーアレは・・なんーーーだ・・アイツは・・な・・んだ・・
く・・そ・・ーーにげーーろ・・わ・が・こ・・よ・・
ジッ・・ジジッ・・頭に小さな火花がはじけ、まばたきしてしまう。
(ああ・・そうか、そうなんだな・・ああ・・)
「勇さん!大丈夫ですか!」
「ああ・・大丈夫だ・・」
「勇さん!オレも戦います、指示して下さい!」
「ああわかってる。少し集中する、力を貯めるまで時間を稼いでくれ」
「勇・・さん?」
いつもと違うオレの様子にピョートルが息を飲んだ、多分氷りのような
表情をしていたのだと思う。
「頼む・・説明はあとでする」
集中に入ったオレは目をつむり、体中の筋肉を緊張させる。
「わかり・・ました、私は時間を稼ぎます。行くぞ!」
ピョートルの気合いの入った声と、スライムの体を逆立てるように波立つ体。
(たのんだぞ、ピョートル)
オレの体の筋肉が固まり、心臓がバクバクと強打つ。
血圧は上がり、普段使わない筋肉にまで血を廻らせる。
目の前ではピョートルが懸命に跳び回り、挑発と防御と牽制を繰り返しプロトの腕をかわす。
ハァ・・息を吐き出し全身の力を[抜く]、脱力した筋肉は硬直していた時に送られた酸素を使いたいと訴えその瞬発力は普段の全力を超える。
「かわせ!」魔法の[加速]と同じくらいの速度で走り・距離をつめ、拳に集中した魔法を打ち込んだ。
一瞬プロトと目があったような気がする、すまない・・
火炎の閃光と爆発・衝撃はコアである魔鉱石を砕き、核を包んでた金属の容器を貫通させた。
・・・・
「勇さん!」
「まだだ!気を抜くな!」
いるんだろ?この茶番劇を用意したクソッタレが、出て来いよ!
[爆破][火炎線]二つの魔法を周囲に放ち、揺れる木と落ちる木の葉をにらむ。
「やれやれ・・もうばれちゃったか、勿体ないなぁ。あの鉱石は貴重なんだよ?」
木の葉と木の陰に隠れた影から、子供のような声がする。
三つ叉の槍を持つ小さな悪魔が影から現れ、オレを笑うように口元を隠した。
「クフフフッ、普通はプロトタイプに殺されるか、霧に囚われて向こうで死ぬんだよ?キミは何者かな?」
「・・人に名を聞く時は自分からだ・・が、そんな物はどうでもいい。
なんのためとか、どうしてとかもどうでもいい。殺す」
『相手の力量が解るまでは突っ込むな!』誰かの声が足を止める、
オレは鱗の盾を構え銅の剣を手にジリジリと距離をつめた。
「おや?慎重だね、そっちの騎士は・・仲間に頼まれたかな?キャハハハ!
そうだね名前なんてどうでいいって言われると、名乗りたくなるのが悪魔さ!」
リトルサタン、子供の悪魔は種族の名前を言うと、口から冷たい冷気を吐く。
(これが、霧の正体か・・)
冷たい息は徐々に強さを増し、盾の内側まで冷気が届いてくる。
「勇さん、私が盾になります、先程の技をもう一度!」
「さっきの技?キャハッ!いいね!
見せてよ!ほら!どうしたの!さあ!」
リトルサタンは冷たい息を止め、からかうように両手を振り上げて誘う様子を見せる。
オレは挑発に乗るように、集中し拳に魔力を込めて構え腰を落とした。
「バァァァァカアァァァァ!死ね[大火炎線]!」
炎の柱が横倒しで降り注ぎ、地面を焼き焦し空気を燃やす!
ごほっ!げほっ!守りに徹していなければ燃えていた。
中級魔法だと?こんな悪魔が?
「大丈夫かピョートル!」
「守ってましたので大丈夫です!
勇さんの技は警戒されているみたいです、どうしましょうか!」
「警戒?そんなのしないよ?で・も、
せっかくの仕掛けを壊されたのはムカついているんだ。精々苦しんで死んでもらうよ!」
ゴウッ!今度は最初から吹雪を吐き出し、地面の炎を消しながらオレ達の体力を奪いに掛ってくる。
(飛び込めば[大火炎線]、離れていたら吹雪か・・・まだあるな)
・・・「ピョートル、少し盾になれ」
「了解しました!」
オレの命令に躊躇[ちゅうちょ]なく答え、前に立ち盾を構えて踏ん張る。
投擲・それは、この戦いに最初から最後まで使う戦術だった。
バキン!
そこに落ちていた石は、本気の投擲で速度を増し吹雪の中心に飛び込み何かを砕く。
「御まぇ!石を投げるなんて・・くそ!
知ってたのに、お前の技は全部知ってたのに!
お前なんかオレの餌になってたらいいのに!くそ!くそ!」
悪魔の口から緑の液体を垂らし、前歯が足らない口でいかる。
(観察と吸収・・その為の霧の結界か・・)
「そうだ!今度はお前の心臓を核にして結界を作ってやるぞ!
お前は永遠に死と幻の間の迷路で迷いながら、殺されるまで苦しみ続けるんだ!」
「そして開放されるまで、何度も何度も殺され続けるんだよな?」
二カッ「良く知っているじゃないか」牙の抜けた小さなサタンは嬉しそうに笑う。
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