第4話

 真っ先に・真っ直ぐに駆けだしたオレは、男の顔を掴み、そのまま突き飛ばすように押し倒す。

 大きな林檎を掴んで叩き落とす、そんなグシャとなった手ごたえ。



「・・・まだ生きているか?兜のお陰か、どちらにしても・・一人目、排除」

 意識を集中しろ、集団戦は囲まれたら終わる。


 顔を上げ、扉の脇に立っていた男の横に滑り込み、引きずり出すように腕を掴み引いた。

 驚いた男が反射的に体重を引いた、

 オレは腕を掴みながら、重心が後ろに下がったヤツの背後に回り脚を蹴り上げた。


 背後からの腕がらみ・そして素早く男を蹴り転がしたオレは、受け身のとれずにうつ伏せに転がった男の後頭部を踏む。。


(二人目・・あと二人)




逃げようとしている一人を無視し、混乱して立ち往生している男にゆっくりと歩き近づく。

敵が現れ近づいて来る時、動物の行動は二つに分かれる。

逃げるか、立ち向かうかだ。




 男が反射的に振り上げた槍をオレは歩く速度を上げて内側にもぐり込み、そのアゴを打ち上げた。

 切れない銅の剣は鈍器だ、あごを打ち抜かれた男は膝を崩して倒れていった。


「大丈夫か?ピョートル、大丈夫ならオレに[回復]を」即座に[回復]が掛かる。

 面倒な事になる前に逃げるぞ。

 こいつらは雑魚だったが、アレは筋力を鍛え上げたとか言っていたからな。


「勇さん、さっきのあれは・・」


 毎夜幻覚のように現れ罵る[ののしる]クソ戦士を伐ち倒すための工夫だ。

幻覚の中で立つ戦士を掴み、ヤツならどう抵抗するか・どう攻撃するかを想定し、

 まぼろしと戦い続け魔物でためし続けた結果の産物。


(まだ遅い、ヤツはもっと早いし・もっと力が強い、それにタフで一瞬の勝負感が強い)オレはまだヤツには勝てない。


「・・逃げるぞ、一人逃したから直ぐに戻ってくる。」


「誰が戻って来るんだ?」

 足音も立てず大扉の間から半裸の男が顔を出し、ぬるっと現れた。


「・・なんだ?客か?それとも入団希望か?」

「入団希望?」


「[カン田盗賊団]改め、カン田怪盗団だ!

これから有名になると聞きつけて入団希望に来たんだろ?」


・・・・・


「でなきゃ、あれだ・・?城の兵士には見えないな、なんだ?おめぇら」


「ちょっと道に迷って・・トイレを借りに、って言っても信じないだろ」


「おもしれぇなお前、面白いヤツは好きだぜ。

ただし、こいつらの落とし前は付けてもらうがな!」


 カン田の大斧が床を砕き、左手に掴んでいる大扉が鍛えられた握力できしむ。


(ただのハッタリだ、恫喝はこいつらの使う初歩の交渉術だ。

怖がるな・恐れるな・・・)


ふーー「落とし前ってなんの事だ?こいつらが酔っ払って勝手に転んだだけだろ。

大将のあんたも酔っているからわかるだろ?」よく見ろよ、と。


「やっぱりおもしれぇなお前、だが残念なことに、おれは酔ってねぇんだよ。

盗賊の大将が酒に酔わされ捕まるなんて、面白く無い話だからな」

酒は呑んでも呑まれるな、ってことよ!


 ズシズシと足音を立て勇者の前に立つ大男は、マントで隠した顔の奥で口元を歪めて笑う。


(でかい、前の時よりデカくなってる・・)


「・・こいつらは・・死んでねぇみてぇだし、半殺しで許してやるよ!」

 オレの体がやつの巨体に威圧され体が固まった瞬間横殴り!

 棍棒のような張り手が顔を打った。


!!!ツッ!頭がぐらつく!


「へぇ?今のに耐えるのか。

まぁ俺的には軽く撫でただけだが、普通のヤツはぶっ飛んだがな」


 おれの奥歯に血の味が染みる、体がガタガタと恐怖で震えだすのがわかる。


(コレは・・負け犬の怯えだ、体が恐怖でもうすでに負けを認め始めているんだ)


ハァハァハア

(・・もう・・それは、この感覚はもう知っている。何度も経験しているんだ)

 だから、もう負けるか、負けてたまるかよ!


 剣を向け、柄を握った。

(おれはお前より強いヤツを、お前より嫌なヤツをもう知っている)

 だからこいつには負けない!


「ピュートル!さっきと同じだ、自分の身を守れ!」

 オレは叫びと同時に飛び掛かった。


 ガキッン!

 手応えは鉄の壁、重く巨大な岩を殴ったような手の痺れ。


「いい一撃だ、だが一撃じゃやられねぇよ!」


 頭部への一撃を右手の斧で防いだカン田は勇者の一撃を振り払うように弾き飛ばし、斧を構えてニヤリと笑う。


「オイ!お前らもいつまでも寝てるんじゃねぇ!

起きろ!新入りにきちんと挨拶してやれ!」


 カン田の大声!

逃げ出していた一人の男が寝ている男達を揺り起こし、薬草を与えて回復しさせ始める。


(一人たりとも逃がすべきじゃなかった・・・・仕方無い)


「ピョートル命令だ、オレが倒れたら直ぐに逃げろ。

塔の魔物にまぎれて逃げたら後は好きに生きろよ」契約解除してやるよ。


 おれもこんな所で死ぬ気はないが、囚われの魔物がムリしてオレを助けようとはしないとしても、黙って逃げられたらむかつくからな。

 逃げるタイミングを与えておかないと。


 兜の中の表情はわからない、顔も見た事が無いヤツだが今まで便利な魔物だった。

適当なタイミングで逃げとけよ。


(そんでまずこっちは先制の[火炎線]だ!)

 ヤツの部下が回復するのを待つ気は無いからな!


「うわぁ!」

 二度目の炎で炙られた盗賊が倒れ、勇者の集中を邪魔するようにカン田の斧が肩口を襲う。


ガシィィィ!!

 激痛、意識が飛びそうな痛み。ぎりぎりの所で銅の剣で防いだが、剣ごと斧が体を打ち叩く!


「・・回復」ギリギリ出せた声に反応して体に[回復]が掛かる。

「もう一回・回復だ」二度目の回復で体に力が戻る。


「なんだ?魔物?

 アレお前のか?魔物を飼ってるのかよ」


「さぁな!」

 ピョートルに注意が行く前に体勢を戻し、銅の剣で飛び掛かる。


 素早く!更に素早く!脚を動かせ。

 頭を使え、体より先に思考を回転させろ。

 敵よりも、、だれよりも早く情報を処理し、誰よりも早く答えに到達させろ!


 誰が言っていたのかは忘れた。

 今は敵の数を減らす、その為に目はカン田に・意識は部下に。


「もう一度だ!火炎線!」

「クイレバーって言うのか?つまねぇ戦いをしやがるな。

弱ったヤツばかり狙いやがって!」

 オレから攻撃の意思を感じ無いカン田は、大振りの攻撃を繰り返す。


(それを言うならクレバーだ、斧の大振りなんか二度も当たるかよ!)


 最初に逃げた盗賊だけは体力がある、こいつも[炎]を食らえ!!。


「させるかよ![加速]!」


 カン田の[加速]は部下の動きも加速させ、跳び蹴りが勇者の体を直撃した。


?!(なん・げほっ・・だと!?)

 こいつ魔法なんか使えたのかよ!!?


「驚いているな?驚くなよ、オレは盗賊の頭だぞ?

オレが今までどれだけ兵隊から逃回っていたと思っているんだよ」


 この変態姿の男、カン田の捕まらない理由はこの[加速]か。


(息が出来ない、クソッ頭が・脚が・・)

 ふらつく体に[回復]の輝きが、回復の命令なんて出してない・・が、助かった。


「勇さん、大丈夫ですか!」ピョートルが駆け寄り[回復]を続ける。


「・・ありがとよ・・油断しただけだ、もういい。身を守り続けていろ」

 こいつ、なんで今逃げなっかったんだ。絶好のタイミングだったろ。


 オレは弾くようにピョートルをどかし、カン田の方を見返す。


「痛テテテ、この速度で跳び蹴りなんかする物んじゃねぇな、体中擦り傷だらけだ。さぁ続きだ、続き、ガンガン行こうぜ!」


 素早さの上がったカン田の動きに翻弄[ほんろう]され、残った盗賊の動き速度が上がってうざい。


(どうする、全く手が無い訳じゃないが、集中する時間をどうやってとるか)


「勇さん!協力しましょう!ボクはあちらの男だけなら足止め出来ます!」


「・・・?」何を言い出しているんだ?たかだか薬箱のくせに、戦うだと?


「勇さん!勝てるなら手段を選ぶ事は無いはずですよ勇さん!」


「ピキィ!」 ピョートルとスライムが叫ぶように声を上げた。

『負けたく無い』と言っているように。


 すぅぅぅ・・・はぁぁぁぁ・・


(判断しろ、冷静な判断を。

 こいつらは魔物だ、信じるな・・・だが戦いに負けたく無いのは人間も魔物も同じ・・か?)利用しろ、人も物も魔物も・感情すらも利用しろ。


・・そうだな、負けたく無いなら手段を選ぶ事は無い。


「わかった、先ずはあの盗賊を相手しろ。ただし足止めだけにしろ、深追いするな・必ずカン田を一撃で倒すから」


 勇者の言葉でピョートルが走り出し、盗賊の前に立ち向かう。


「じゃあ、お前はオレの相手か?楽しくやろうぜ!」

 カン田は右手の高速の斧と、左は捕らえようと手の平を開く。


 ただ早いだけの直線攻撃、よく見て判断すればそんな物・・早いだけだ。

 ただの1歩、勇者は恐れず進み、開いた手をかわしその腕を掴む。


 [一本背負い!]

 背負うように頭と体を曲げ、勢いを殺さず前転させた。


 一瞬、世界は回転し背中に強い衝撃が走る!

 カン田の体重と加速が加わった石床への叩き付けだ!

 その衝撃は下敷きになった男が無ければ、骨が折れていただろう。


(お前は後だ、待ってろピョートル!)


 ゴワン!カン田の激突で地面が揺れる。

その中から立上がった男に驚き、盗賊の動きが止った。


 男は倒れたままのカン田を無視し、いまは自分に目を向け歩き出している。

 そして足元には魔物が逃げようとする動きを邪魔する。


「死ね」ドゴォォォンン!!


 勇者の体が一旦沈み、盗賊の脇腹が爆発した。

 熱く強く激しい衝撃が一瞬で男の意識を吹き飛ばす。


倒れる瞬間、自分を殴った男の拳から煙が上がっているのを見た気がする。

(はぁはぁはぁ・・・熱ッ!、なんとかなったな・・)


拳を当てる瞬間に魔力を開放、使った魔法の約4倍くらいの威力はあるっぽいが、

実戦で使うには敵が止っている必要がある勇者の隠し技。[魔法拳]


(まだ・・未完成だな、いずれ動いている相手にも使えるようにしないと)

 不発なんかしたら、自分の拳だけ焼くことになる。


「さて、待たせたな、1体1だ。カン田、起きているんだろ?」


「ピョートル助かった、今からは回復だけしてくれ」


「へっ、知ってたか。さっきの技はなんだ?すげぇ威力に見えたが?」


「教えると思うのか?」


・・・「「へっ!」」二人の男が笑い、大男が立上がる。

 男は斧は捨てて拳を固め、勇者も武器を捨てた。


「斧を持ってたらお前ぇには当たらねぇからな、そっちは持っててもいいだぜ?」


「無手の相手に武器を持って勝つ、それで強者を名乗れるのかよ?」


ガッガツ!

 男共の拳がぶつかった。

 筋肉の塊を勇者が打ちのめし、巨大な拳が勇者の顔面を打ち抜く。


 正面からなら・・くると解っていれば耐えられる!


 歯を食いしばり、気迫と気合いで痛みを精神で凌駕[りょうが]させる!


 根性だ!ここで退いたら、おれはもう自分より強いヤツとは戦えなくなる!


「倒れねぇよな、おまえは」


「そっちこそ、なんて堅さをしているんだよ」マジでただの筋肉か?

 勇者は鼻血を親指で弾き、拳を固めた。


 骨がきしみ・奥歯が悲鳴を上げ、拳が硬い石を握るように開かない。


ガツ!ゴス!ガキッ!グシャ!


 オレはなんど殴り、殴られただろう。

 頭が真っ白になるほどの時間、オレ達は殴りあった。


[回復]・・体に柔らかい光が掛かり、失った痛みが体によみがえった。


「・・・すまん。ちょっとたんま、だ」


 ?カン田が不思議な顔でオレを見た、すまん。水入りだ。


「ピョートル、回復なんて言ってない・・・『なんで勝手なことをした』」


「勇さんがボロボロだったので・・倒されると思って・・殺されるのでは無いかと思たので・・」


・・「わかった、親切か・・そうだな・・わかった・・」


(そう言えば・・『回復だけしてくれ』って言ってたな・・そうか・・そうだった)


 この感情をピョートルに向けるのは間違っている、それは解っているが。


「カン田、すまない。仲間が水を差した、二回だ、オレを二回殴れ」


「へっ良い仲間じゃねぇか、そう邪険にしてやるなよ」


(解っている、解っているが。男の喧嘩が解らないのか、と思っただけだ)


「いい顔だ、二回だな。

 歯を食いしばりな・・・・・と思ったが、・・オレも・・もう限界だ・・・」

 カン田の緊張が解け、巨体が前のめりに倒れたのだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「やっぱりな、思った通りだ」


 目を覚ましたカン田は、天上を見ながら自分の状態を確かめるように腕を上げた。


「なにが思った通りだよ、勝手に倒れやがって」


 オレは倒れた盗賊の一人に包帯を巻ながら、ようやく起きたカン田の声に顔を向けた。

 鎧と武器を剥いだ盗賊をぐるぐる巻にして転がし、[回復]は使わないからしばらくは起きる事が出来ないだろうが、死にはしない・・と思う。


「オレに勝ったくせに、城に突き出さないってな、信じていたぜ。

そんな目をしていたから、そうだろうなとは思ってたが・・・オレの感も鈍っちゃいねぇってな」


「なにを言ってやがる、アレはお前の勝ちだ。カン田お前、本気じゃなかっただろ?」


[加速]も唱え直さず、ただの殴り合い勝負・それも横槍が入っての結果だ。

こんな勝利をオレが認められるかよ!


「何を言ってやがる・・か、勝負ってのは最後まで立ってたヤツが勝者って決ってるんだ。

だから、オレこそ『何を言ってやがる』だ。

お前こそ、あの痛そうな拳・使わなかったくせによ」


・・・『勇者はレベルがあが』

「ウルセェ!クソッ!男の話に口出しするな!クソッ」

 イラつく、そんな事のために・・戦ってたわけじゃないんだ・・


「大丈夫か?」急に声を上げたオレにカン田が心配して声を掛けた。


「勇さんは、時々ああなるんですよ。」


 いきなり大声を上げた勇者の行動に、言葉少なくピョートルが説明した。

 多分それ以上の説明をされたら、怒りが再発していたかもしれない。


(カン田が敗北を認めたから・・か?、それともオレが勝利を確信したからか・・)


 自分が勝ったなど、思っていない・・とは言えないと。

心の奥底で勝ったと思ったからか?

 誰か、何者かが、自分の深層を覗かれているようで気持ち悪い。


「なぁカン田、なぜ[加速]を唱え直さなかったんだ?

それにそれ以外の魔法も・・あるだろ?」


[加速]だけを憶えるなんて事は無いはずだ。

「・・[加速]か、オレの魔法はあとは[幻惑]と[鈍足]しか使えねぇ。

もしそれを使ったら・お前、

本気を出していただろ?」


・・「本気だった・・・さ」本気、[人に向ける力]としての限界だった。


「やっぱりな、お前の本気はソコに寝ているヤツらを巻き込む・・だろ?」


「チッ、仲間思いが!」


 おれはイライラした頭を掻きながら舌打ちをした。 

が、そのカン田[らしい]言葉になぜかイライラが消えるような気もした。


「休む」


 起きた時縛られていたり、牢に入れられていたらお前ら殺す。とは言わなかった。

 多分大丈夫だと・・信じて・・

(信じて?だと?このオレが他人を?・・意識が切れる、くそ、眠い)


 次ぎに目を覚ました時は、ベッドに寝かされていた。


(手足は・・無事、縛られていない。周りも・・普通の部屋だ!)


どうなった?ここはどこだ?

 飛び起きた瞬間、頭がグラ付く。貧血か、それとも毒か?


ベットから這うように歩き、扉に手を置いた。


(・・その前に武器だ、なにか・・なにか無いか?)


 ベットの脇に銅の剣が・・まるで呪いだ、よく探せば盾もおいてある・道具袋も。


(なかは・・薬草と毒消し・・あと金も・・)・・・「どうなっている?」


 扉を開けるとピョートルが扉の横に座り、扉を開けたオレを見上げていた。


よく見れば鎧は汚れ、疲れ切っているように見えた。


「起きて下さいました・・か・・」 スライムの上からピョートルが崩れ落ちた。


(意識を失ったのか?なぜだ?)


・・よほど疲れていたのか、決してスライムから落ちる事の無い騎士がスライムから落ちるなんて。


「交代だ、お前はベッドに寝ていろ」


 魔物が寝てる所を襲うヤツは・・多分いない、まだフラフラする体を床にもう一眠りする事にする。


 ぐぉぉぉぉ・・・


 きゅるるるるるるる・・・・


死ぬ・・死ぬ・・・・


(うるさい・・なんだ・・なんの音だ・・) 遠くから聞こえる僅かな悲鳴に目が覚めた。


(・・体の熱がとれてる、まさか・・こいつが?)床に転がるスライムがやったのか?

・・まさかな。


 扉を開けるとそこには・・・死屍累々、包帯の生物がいくつも転がり呻いていた。


「ミイラ男か?」


「ハァハァハァ・・この・・ままじゃ・・そうなる・・ぞ・・」

 大男[カン田]が呻く[うめく]一体なにがあった?


「もう・・2日も、水も食い物も・・無い。

・・腹が・・減って・・動けない・・んだ」


どうやらオレはあれから丸2日間、眠っていたらしい。


「食い物は・・食料はどこにしまってあるんだ、あと水も」

 アジトだから、それくらい置いてあるだろ?


「水は・・瓶の中だ・・が・・う・動けねぇんだ・・」

 と言うことは、動けないから食い物も・・


「わかった、水と食い物だな。待ってろ・・死ぬなよ?」


「苦労をかけるなぁ・・すまない」


「・・それは・・言わない約束だろ?・・・って以外と元気なんじゃないか?」


「あと・・喰わせてもらって悪ぃが・・味が無ぇな」


「飢餓状態の胃袋には刺激物は毒なんだよ!」オレの腕が悪い訳ではない!


ヘヘヘ、「そっちは[回復]で体力も傷も回復してるんだ、冗談くらい付き合えよ」


「回復で体力と傷が治っても、その分疲れは出るんだ。状態的には同じくらいなんだよ!」


 オレは残りの盗賊にも粥[かゆ]を喰わせ、起き上がらせた。


(けっこうぎりぎりのヤツもいたな、そいつには[回復]をかけておいたから

もう大丈夫だろうけど・・)


 塔の魔物を殺しスライムに与えると、丸呑みしてシュウシュウと消化していた。


オレとピョートルは鳥系魔物の足を焼いて喰う。

 血が作られる感覚、胃が食料を待ち構えていたのがよく解る。

ああ、本当に疲れがとれる・・そんな感じだ。

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