天に在らば比翼の鳥地に在らば連理の枝

「ノア……。もう終わりだな……」

「ええ……ゼオン。もう……これで最後ね」


「色々と楽しかったな……」

「私も……楽しかったわ……」


「別々の道を選んだわけだ……」

「仕方ないわ……」


「ノア……恨むなよ……」

「ゼオン……貴方こそ恨まないでね……」


「……ありがとう……」

「……こちらこそ……」











――正解は! 『○』!!


「くそぅ!!」

「ほら言ったでしょ! 私の勝ちね!!」



◇◇◇◇◇◇◇



「あと少しだったのに……もう終わりだ……」

「そこまで落ち込む……? ただの『○✕クイズ大会』じゃない。お祭りイベントよ? あの後、私も駄目だったし……。本戦は……猛者ばかりね。王立魔術研究府 アカデミア獅子のたてがみのクイズ王に四天王は、伊達じゃなかったわ……。けれどゼオン? 他にも色々あるけれど、なんであの景品に執着するの? 」


「あの液体の入った瓶……見覚えがないか?」

「あっ……! 嘘っ!」


「嘘じゃない……」

「私が作った、魔術人形複製液・極フエールリキュールキワミじゃない!」


「そうだ……」

「あの液体は、かけた相手をベースに魔術人形ができる! ってところまでは良かったのよね」


「何をどう作れば、あんなのができるんだ!」

「知らないわよ! と、『魔術人形複製液・極』まで増えるなんて……」


「数多の俺が出来た時は、流石に吐いたぞ!」

「地獄絵図だったわね……無表情のゼオン人形集団は……」


「全て破壊するのに、一週間かかったしな……」

「あれは、事故ね。あの後、『魔術人形複製液・極』は全て滅却したのに……。何であるのかしら」


「研究室に転がってた物を見つけたんだろ。どうせ、カリフが持ち出したんだ。クイズ大会の協賛に出すものを探してたしな」

「あのポンコツ教授ね? 余計な事をしてくれるわ! まったく」


「とにかく、事故になる前に回収だ!」

「そうね! バレたら終わりよ! 殺られる前に殺るしかないわ!」


「何か、犯人みたいな台詞だな……」

「ゼオン! 貴方も共犯よ!!」


「違うと思うが……。ん? 悲鳴が聞こえないか?」

「向こうかしら。行ってみましょ!」



◇◇◇◇◇◇◇



「くそっ! 何で俺の周りはトラブルメーカーばかりなんだ!」

「ゼオン……貴方がそれを言う?」


「そうですよゼオンさん! そんなことより! 走ってたら、人にぶつかって……。そしたらなんかビシャって濡れて。――僕が増えてたんです!」


「ぶつかったのか……」

「増えたわね……。でも良かった! 『魔術人形複製液・極』は増えてないみたいね!」


「そうか……?」

「あれ?」


「もう二人、僕がいる……」


「何だこれは?」

「イレギュラー……ね。……複製から複製ができてるのね。二倍に増えていく感じかしら……」


「とりあえず……片っ端から破壊するか!」

「無表情のロイドを殴れば問題ないわ!」


「なんだろ……心が痛い……」



◇◇◇◇◇◇◇



「増えるのが早すぎるだろっ!」

「知らないわよ! それよりも私達しか狙われてないわね。何なのかしら……まさか! ロイド! 私達に恨みでもあるのかしら!!」


「いえ! ありません! 断じて有りえません!」


「まあ、それは後回しだ!」

「仕方ないわね。今は目の前に集中よ!」


「なんて日なんだっ!!」


「魔闘技壱ノ型、紅蓮闘神!!」

紅蓮火炎弾クリムゾンフレイム! 黒風雷光弾ブラッドサンダーストーム!」


「あと何体いるんだ!」

「かなり減ったはずよ。それに、複製効果も落ちてきたみたいね。複製速度も遅くなってきてるわ! あ! ゼオン! 後ろ! 危ない!!」


「ぐはぁっ…………ほ……本物……です…………」


「ロイド! お前の敵は……俺がとるっ!! 許さんぞ偽ロイド!」

弟子ロイドの死に直面する師匠! 感動的最終局面クライマックス! 燃えてきたわっ!」


    」


「ややこしいから黙れ!」

「ロイド! 邪魔よ」


「ですね……」


「ノア! 背中は預けた!」

「任せて! 八裂き祭りよ!」


「何で僕まで攻撃してくるんだ! 同じ僕だろ! … …ちっくしょぉぉぉぉぉ! お前ら!! 消炭にしてくれるわっっ!!!」


「ロイドがゾーンに入ったな! 面白くなってきたそ!」

「やるじゃない! ロイド!」



◇◇◇◇◇◇◇



「片付いたか?」

「ええ! でも何かしら、この突き刺さる視線の嵐……」


「気がついたら負けだ……。退却するぞ!!」

「そうね! 逃げるが勝ちよ!」


「ほんと……息がピッタリですね……」

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