小さなマスク

小さなマスク

作者 m.orion

https://kakuyomu.jp/works/16817139557964154825


 ママがつくった布マスクちゃんがミカちゃんをばい菌から守った話。


 こういう話は、幼稚園や保育園児に向けて読み聞かせるといいかもしれない。

 絵本や紙芝居にしたら、面白いものができると思う。


 三人称、マスクちゃん視点と神視点で書かれた文体。童話調でマスクが擬人化されている。


 からめとり話法に沿って書かれている。

 また、恋愛ものの流れ、出会い→深めあい→トラブル→ライバル→別れ→結末で書かれており、ラストは卒業で終わる。

 ミカちゃんのママが作った布マスクのマスクちゃんはミカちゃんのお気に入り。洗って支えてエコである。ある日、マスクちゃんは選ばれず、ピンクマスクちゃんを手に取っていった。自分が選ばれなかったことに落ち込むマスクちゃん。

 ピンクマスクちゃんが洗濯から返ってくると、みかちゃんが風をひいたと知らせてきた。ママがミカちゃんにマスクちゃんをtけると、ばい菌を寄せ付けないよう戦い続けて退け、みかちゃんは元気を取り戻す。

 二年も使ってきたマスクちゃんは、洗ってもばい菌を取り切れないかもしれない、とママは判断し、お別れすることをみかちゃんに伝える。

「マスクさん、ばいばい。今までいっぱい、ありがとう」ミカちゃんからお礼をいわれたマスクちゃんは、彼女を守ったことに誇りに思い、別れるのだった。


 コロナ禍でマスクを使う機会が増えたいま、消耗品とは言え、洗い替えマスクは重宝されている。

 そこに目をつけ、擬人化して物語にしたところが素晴らしい。

 ストーリーの展開もよく、最後の展開を迎えたとき、驚きとともに、布マスクも消耗品だったと思い出し、納得感もあった。


 病院に行くときは紙マスクを使うとある。

 紙マスクは一回きりなので、棚にいる紙マスクは、自分の番を今か今かと待っているマスクなので、マスクちゃんほどにミカちゃんへの思い入れが無いと思われる。

 ラストは、強くいい切ったほうが別れの悲しみよりも、達成感が強くなると思う。

 別れの余韻がある終わりだと、読後が物寂しくなる。

 どちらにしても、マスクちゃんはこのあとゴミ箱にぽいっと捨てられる。そんなマスクを思うと、マスクに限らず、ものや道具のありがたさ、大切さをあらためて感じさせてくれる。

 使うときも捨てるときも、ありがとうと感謝の気持ちは忘れないようにしよう。

 

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