愛してるのに、愛せない

愛してるのに、愛せない

作者 メープルシロップ

https://kakuyomu.jp/works/16817139554690115065


 彼女より自分を守りたい主人公は、好きな彼女の友達ポジションを守り続けていく話。


 片思いの人で、相手と仲のいい関係にある人なら、主人公が抱える思いを理解できるのではないかしらん。

 すべては臆病で自信がないから、行動できない。

 主人公にくらべて彼女は、いろいろな人と付き合い、好きな人に告白しては振られることも経験している。

「男は過去に生き、女は現在に生きる」を描いた作品ともいえる。

 二十代女性の九割は経験があるといい、対して二十代男性の四割はデート経験ないといわれるので、本作は現代の男女の差をよく現しているともいえるかもしれない。


 主人公は男子高校三年生、一人称僕で書かれた文体。自分語りの実況中継をしている。


 女性神話の中心軌道に沿うように書かれている。

 小学二年生のときから十年間、高嶺の花の彼女に恋をしている主人公は、自信がないため彼女と仲のいい関係をいつまでも続くことを願いながら、彼女の恋の手伝いをしている。

 彼女が付き合う度、死ぬほど辛い思いを味わってきた。

 好きな人に告白して振られた放課後、主人公はホッとして悲しみ彼女と川沿いに寄り添う。

 振られた彼女に「そっか……」としか言葉をかけられず、背中を優しく撫でる。抱きしめて異性として見てもらおうとも考えるが、彼女との仲のいい関係を失いたくないため、彼女より自身の保身を守るために告白せず、彼女の傍に居続けることを望んだ。


 仲のいい異性の友達は、実は片思いの相手でしたというのはよくある話かもしれない。

 異性間の友情は成立するのかというアンケートによれば、異性の友人がいる人のうち、自分から相手を好きになった、もしくは好きになりかけた経験がある人は約三割。

 相手から恋愛感情を抱かれた、もしくは相手の好意を感じた経験のある人は二割弱。

 お互いに好きになった人は約一割。

 残り四割が異性の友人と恋愛関係になったことはないと答えている。

 なので、友人同士が相思相愛になるのは極めて珍しいといえる。

 とはいえ、約六割が相手となんらかの恋愛関係になった経験があることから、友情が恋愛に変わること自体はありえる話。

 それらより、本作の主人公の悩みには現実味を感じる。

 もし、彼女を抱きしめて異性として見てもらおうとした場合、統計的には付き合える可能性は極めて低い。

 ただしゼロではない。

 異性の友人に恋愛感情を抱いたきっかけで、女性の場合「いつの間にか好きになっていた」が最も多く、次に「自分が困っているときに助けてくれた」である。

 感謝の気持ちが恋愛感情へと変化することがあるし、男女とも「恋人とうまくいかなくなったときに側にいてくれた」と回答も複数あったという。

 辛い恋を支えてくれた相手となら、幸せな恋ができそうだと感じるかもしれない。

「たとえ奇跡が起こって付き合えたとしても高校生の恋愛だ。いづれ終わってしまう」と思っているとおり、自信がなく彼女の友達というポジションを守ることを一番にしている主人公も、いずれは彼女と今以上の関係になれるかもしれない。

 そのためには少しでもいいから、今以上に自信をつけていく必要がある。

 自信がない人は背中が縮こまったりカラガが萎縮して首が固まっていたりしていることが多いので、ストレッチをして身体をほぐすことを始めるといい。

 また、些細なできたことを書き出していく。朝起きることができた、遅刻しなかった、ルールを守った、時間どおり帰ったなど、他愛もないよ思えるようなことでも、できたことを積み上げて自分の意識を高めることで自信につなげていく。

 これまで自分が褒められたことを思い出して書き出したり、他人から言われた自分の長所書き出して、自身のイメージを向上させていくことも大切だ。

 心からの感謝は自身を持っている状態に近いため、感謝していることを書き出すのも欠かせない。


 それらのことをしながら自信を高めていかないと、いずれ自分自身すら守れなくなり、一生彼女とは友人のままか、彼女が大学進学して離れ離れになって疎遠になる、もしくは彼女に彼氏ができて結婚したあとは会う機会も減り、ラインを送っても既読にならなくなるかもしれない。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る