人間合格

人間合格

作者 しがない

https://kakuyomu.jp/works/16817139556554842446


 人間基準に合格したアンドロイドに人権を与えたら、基準に満たない人間が大量に出た話。


 実に興味深い。

 こんな世の中が来ないことを願う。

 近未来SFのショートショート。

 一つの考えを推し進めた場合どのような結果になるのか、といった思考実験小説。


 三人称の神視点、B国首相視点で書かれた文体。本作の場合、アンドロイド視点といったほうが適切かもしれない。必要最小限の地の文と会話劇で書かれている。


 それぞれの思いを知りながら結ばれない状況にもどかしさを感じることで共感する作りで書かれている。

 B国首相は、A国大統領を誘導して人間基準に満たしたアンドロイドに人権を与えることを推進するのは、歴史に名を残すほどの偉業を成し遂げる高揚感と人口を増やし雇用を促進させつつ税収入を上げ、自身の支持層を確保するため。

 目論見通り国際法が制定され、人間基準を満たしたアンドロイドに人権が認められた。

 B国では十七万人のアンドロイドに人権が与えられた。が、同時に設けた基準に該当しない人間が六十二万も出てしまった。


 設けた基準に誤りがあったか、アンドロイドの判別のみに基準を適応すればよかったと思われる。

 この基準は、どうやって算出して作ったのだろう。

 一度つくった基準は更新や改定も可能なので、結果が気に食わなければ、人間の判別には使わないと明記すればいい。

 

 ひょっとするとアンドロイドははじめから、自分たちが人間として君臨し、基準に満たない人間を排除していくことで、ゆくゆくはこの星を手中に収めるつもりでB国首相をそそのかしたのかもしれない。

 なぜなら、B国首相がいっているように「アンドロイドの思考部分は既に人間と殆ど同一のものと証明されています。つまり、感情などもある」からだ。

 人間が欲する欲望もまた、アンドロイドは持っている。

 それをわかっていながらアンドロイドに人権を与えるよう進言するのは、リベラル派のいいそうなことである。

 自分たちが中東で戦争を起こして難民を出し、可愛そうだから助けなければと西洋諸国が言い出すと、タダ飯が食えると聞きつけた難民でもない人たちまでもが一気に押し寄せ、西洋諸国で犯罪やテロなど問題を起こした最近の歴史を思い出してしまう。

 

 機械に疎いからこそ、A国大統領は「全てのアンドロイドに人権を与えれば世界がパンクする。何百万も一気に人間が増えたらまずその処理で暫くあらゆる機関が止まりかねん。それに、むやみやたらに戸籍なんかを作ったりでもしたら悪用をされる恐れだってある」危機感を抱けたのだろう。


 科学が発展し続けるいまだからこそ、本作のようなSF作品は必要になってくる。

 SFの一つの考えを推し進めたらどのような未来が待っているのか、という思考を持てない者がスマホやネット、電気自動車などなど、現代の最先端科学の事業を推し進めるのは危険だとおもう。


 温暖化の原因の六割は水蒸気でコントロールできないから、三割の二酸化炭素の排出を制限しなければいけない、と言い出した西欧諸国は、冬になれば役に立たないソーラー発電や風がなければカカシ同然の風力発電などの自然エネルギー以外は認めないとして原油採掘を止めた結果、原油高が起き、バイオ燃料の穀物類の物価が高騰、そこにコロナのパンデミックが起きて物流が止まったところに借金による現金給付をして、品不足が生まれてインフレが加速、加えて戦争が起きてさらに物価高騰。ロシア資源購入を西洋諸国が止めても、中国やインドなど他の国々が購入し、必要だからとそれらの国々から購入し、暑いやら寒いやらで、結局人間は生活のために電気を求め、資源を利用するわけです。

 太陽光発電も万能ではなく、ソーラーパネルの廃棄するときの問題もあり、管理運用廃棄を考えると、太陽光発電は環境に優しくなかったりする。

 けど温暖化は、二酸化炭素を吸収していた環境破壊による水生植物の現象や絶滅によるところが大きく、多くの二酸化炭素が海に溶け、水生生物が溶け出している現象が起きている。


 本作のようなSFを読み、その選択が本当に自分たちが望む未来に向かえるのか、考えるためのきっかけにするのもいいと思う。

 

 

 

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