世界が終わるなら何をする?

世界が終わるなら何をする?

作者 灰月 薫

https://kakuyomu.jp/works/16817139554629271886


 世界が終わるから告白しようなどと思わず普通に生活するのが幸せだと一方的に告げて終わった夢を覚えている君の話。


 主人公は夢、もしくは夜、あるいは誰か、一人称僕で書かれた文体。訴えかけるように一方的に話しかけてくる。描写らしい描写はほぼない。


 女性神話の中心軌道に沿った書き方をしている。

 自分が誰なのかを隠して、「もしも明日世界が終わるならどうする?」と話しかける。告白する考えを否定し、僕なら君と世間話をする、普通の生活をして普通に終わるのが幸せであり、いままさに僕は幸せだと告白する。

 もうすぐ僕の世界が終わる。でも君の世界が終わるわけではない。今日見た夢を起きたら忘れてしまうのと同じ。この夢のことを覚えていてくれることを望む、無理だろうけどといって別れを告げる。

 そしておはようと声をかける。


 話しかけてくる僕は「夢」なのかもしれない。

 夢は夜みている。朝が来たら、夢の世界は終わってしまう。同じ夢はおそらく二度とみない。そんな「夢」が、夢をみている「君」に語りかけている。

 世界最後の日に告白は勧めない、といいながら「夢の僕」は、普通に世間話をして普通に終わるのが幸せだと、告白している。

 しかもこの夢を忘れるなともいっている。

 裏を返せば、「好きな人に告白するなら、なにかの最後に告白するな」ということだろう。

 君には好きな人がいることが、このやり取りからわかる。

 卒業など、明日で終わってしまう日が来る前に、好きなら好きと告白しろと、夢は教えてくれているのだ。


 最後、「そして、おはよう」とある。夢は終わらなかったのかもしれない。それとも、君は僕がいったことを覚えている証の可能性もある。

 どう行動するか、今日の君次第なのだ。


 なるほどねと考えさせてくれる、そんな話だった。


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