2日目 令和の日記帳はGoogle検索だってする

 ウソ日記を書くにあたって、俺が最初にしたことはウソ日記とは何かを検索することだった。何せ俺は日記帳でありながらウソ日記どころか日記すら書いたことがない。これまでの日記生はどうしたって書かれ待ちだったから、日記を書くといっても何を書くか戸惑ってしまうし、ましウソ日記ともなると最早どうしていいのかわからないのだ。

 そういう時にやることと言ったら、まずはウソ日記について学ぶことじゃないだろうか? 俺はそう思った。ウソ日記とは何か、どんなことを書くのが良いウソ日記なのか、調べないわけにはいかない、と。

 そう、令和の日記帳はGoogle検索だってする。

 ……これが、典型的な日記が続かない『もちぬし』の思考パターンな気もするんだよなあ。こう、気合が入りすぎているような。

 そう、俺は日記帳そのものでありながら日記が続かない(かもしれない)付喪神。

 まあ、ちょっと『もちぬし』の気持ちがわかってきたような気がして、それは少しうれしいものだけど。

 

 さて、ウソ日記で検索をすると、それらしいサイトが見つかった。

 どうやらこども向けにウソでも日記を書く習慣をつけさせるための応援サイトのようだった。

 ウソ日記の例なんかもあったりして、おお、なるほどと早速読み始める。

「今日、自動販売機の前で人魚にあった」

 ふむふむ、なるほ……え!? そんなことある?

 え、ウソ日記ってそこまで荒唐無稽なウソついていいの?

 コンビニでお弁当を買ったとか、上司に褒められたとか、テストで百点に近い点数とったとか、そういうのじゃなくていいの?

「カラオケがないから海はつまんない」

 人魚だから!? 人魚姫モチーフだから歌と絡めて?

 エモーショナルじゃないか。そしてセンス良っ!? ウソ日記の例文クオリティ高すぎる。

「神様など普段会えない人と出会った時のことを想像して書いてみましょう」

 普段会えない人の次元が高すぎない?

 日記の付喪神(っぽいもの)の俺が言うことじゃないか。

 侮れないな、ウソ日記。


 うん、けどいい勉強になった。

 やっぱり一度調べてみるもんなんだよな。

 よし、俺も何かウソをでっちあげてみるか。

「今日は『もちぬし』とファミレスに行ってきた」

 ……ウソ日記のセンスねえなあ。俺

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