RipozI-休息-

1

 ときが学園に着いたのは一限目が始まる少し前だ。担任が来る前だったので遅刻は免れたが、心配した向日葵ひまわりに散々事情を聞かれ、説明をするのにかなり苦労する羽目になった。

 冬樹ふゆきは特に心配している素振りは見せなかったが、向日葵ひまわりの質問責めへの回答を興味ありげに聞いていた。


ギーンギーンギーン


 一限目の終わりの鐘が鳴り響き、生徒達は一斉に散り散りになる。


「ふぁぁ……」


 睡魔が抜けきれないときは小さく欠伸をして机に突っ伏した。目を閉じると昨夜の出来事が走馬灯のように脳裏に甦る。


――結局、あいつと俺の関係、聞き忘れたな……


 そんなこんなを考えながら睡魔に身を任せようとしたとき、誰かに優しく肩を叩かれた。眠かったときはそのまま無視を決めていると、更に強く肩を叩いてくる。


「何だよ……」


気だるそうに起き上がると、肩を叩く相手を確認した。


「何だか眠そうね」


 そこには、本を抱えた緋葉あかばが立っていた。


「…………何でこのクラスに居るんだ?」


 緋葉あかばときとは別のクラスだが、同じ学校内なのでここに居ること自体は何も不思議なことではない。しかし、どのクラスなのか教えた記憶がないため不思議だった。


「ちょっと相談があって、廊下にいた貴方の親友にクラスが何処なのか聞いたのよ」


「あぁ……冬樹ふゆきに聞いたのか」


「それよりもお昼休み、例の屋上に来てくれないかしら」


 例の屋上とは恐らく、緋葉あかばが自殺すると勘違いして助けたときや、向日葵ひまわりにかけられた手錠を外すのに移動したあの屋上の事だろう。あの屋上は、女子生徒の自殺があった以前から閑古鳥が鳴くような場所だ。そんな場所で相談という事は、何か大事な話があるのだろうと察した。

 真剣な顔立ちでお願いする緋葉あかばに影響され、同じような表情を浮かべると即座に頷いた。


「分かった、じゃあ昼休み屋上な」


「えぇ」


「お弁当楽しみだね~」


「そうだな…………って、何で向日葵ひまわりが居るんだ……」


 頷きかけたときは眉間にシワを寄せると、ニコニコしている向日葵ひまわりをジトッと見つめる。

 いつの間にか、プリントを職員室に持っていっていた向日葵ひまわりが自身の席に座り、ときの机に肘を着いて座っていた。

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