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「その本の成就によって私達の魂は二つあるんです」


「いや、いきなり話を飛ばすな」


「何がですか?」


 ときの突っ込みに対して首をかしげるライトに、深いため息をついた。


「先ずは、その本とは一体何なのか、その本に誰が出会って、何を願って、何を対価にし、その成就によって俺とおまえに何の関係が生まれたのか、そしてそこのオムライスをガツガツ食ってる奴が何の成就に関わってるのか、ちゃんと細かく説明してくれ」


「奴じゃない……小鳥遊たかなし白羽しろは……」


 ときの言葉に気が触ったのか、少女は食べるのを中断すると少し口調を強めに自己紹介する。

 そんな少女……白羽しろはときは困惑する。


「あー……小鳥遊たかなしな、悪かったよ」


小鳥遊たかなしやだ……白羽しろは……」


「細かい奴だな……」


 白羽しろはの謎の要望にため息をつく。

 どうやら名字で呼ばれるのは嫌だったらしく、無表情ながら雰囲気が険しくなった。何故嫌なのか気にはなるが、あえてそこは聞かないでおく事にした。触らぬ神に祟りなしだ。


「名前……」


「は?」


「キミ……名前……ライトは聞いた……」


 白羽しろはときを指差した後、ライトに指を移動する。

 白羽しろはの要望に内心どうしようか迷った。外見上は人畜無害に見えるが、昨夜の死体の事があって名前を教えあうほど関わりをもって良いものか迷いがあるのだ。何といっても、白羽しろははこの日本ではありえない銃器を持っている。まったく無害じゃないとは言いきれないだろう。


ときさん、大丈夫ですよ。彼女の銃は生きている人間に危害を加える事ができませんから」


 ときの考えを察したのか、ライトはやんわりと説明する。


「生きてる人間?」


 生きている人間にとはどう言うことなのか、全く理解ができなかった。

 すると、白羽しろははこくこくと頷き説明する。


「この銃……お札と同じもの……形自体はエアガン……」


「いや、エアガンもかなり危な目だぞ……」


 白羽しろはのボケにすかさず突っ込んだ後、体の緊張を解いた。とりあえず、白羽しろはにはとき達に危害を加えるメリットは無さそうだ。

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