QuestioN-疑問-

1

ピピピピピピ


 朝の日差しが照らす部屋の中で、目覚まし時計がけたたましく鳴り響く。

 ときは、気だるそうに起き上がると目覚まし時計を止めた。昨日は就寝時間が遅かったせいか、眠気が体に残っており体が妙にダルい。しかし、朝食の準備をしないといけないため何とかベッドから抜け出した。


「ふぁ……ぁ……」


「ふにゃぁ……ぁ……」


 2つの欠伸が部屋に響く。

 ベッドの上を見てみると、ビフレストが前足を伸ばして体の凝りを解消しており、ベッドから降りると毛繕いを始める。

 ときは、制服に着替えて鞄の中を確認すると部屋を出る。ビフレストもときの後に続いて素早く部屋を出た。

 階段を下りて洗面台に向かい、歯を磨いてからトイレを済ませ、リビングへと向かうとドアを開けた。


「あいつ、起きてるかな……」


「起きてますよ」


 リビングの戸を開けたと同時に話しかけられたので声のした方を見てみると、ライトがソファーに座ってテレビを見ていた。テレビは丁度、ニュース番組が流れており世間の事柄を放映していた。


「何だ起きてたのか」


「何だとは、また変わった挨拶ですね。それはそれとして、昨日はブランケットありがとうございます」


 ライトは、膝に掛けていたブランケットを持ち上げて礼を述べた。

 そんなライトに、ときは視線を反らすと掛けてあったエプロンを取り、キッチンに向かう。


「別に礼とかいい……」


 ときは、何かを紛らわすように徐に冷蔵庫を開ける。


「それより、朝食……何かリクエストあるか?出来る範囲で作るけど」


 ライトは顎に指を添えると考え込んだが、直ぐに顔を上げる。


「特にないですが……あえて言うならオムライス、ですかね」


「私……ピラフ……食べたい……」


「そうか、ピラフは海老買ってないからオムライスに………………は?」


 顔を上げて声のしたソファーの方へと向き直る。

 よく見てみると、ライトの横に頭が半分飛び出ている。その頭がピョコンと顔を覗かせた。クリーム色の髪、金色の瞳、透き通るような白い肌、その姿を見た直後、ときの脳裏に昨夜の死体を見つけた記憶が甦る。


「…………何で居るんだ」


 ときは、目を座らせるとあからさまに嫌そうな声色になる。もう1つの声は、昨夜、ビフレストを預けた少女だった。


「やはり知り合いだったんですね」


 ときの態度に、ライトはあっけらかんと納得する。

 少女はライトを見つめた後、ときに向き直り小首を傾げる。

 ときは、頭を抱えたくなった。

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