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食堂前につき、ドアを開けようとすると鈍い音をたてるだけで開かなかった。
いつの間にか鍵をかけられていたようだ。恐らくは宿直の先生か誰かが開けっぱなしになっていたのを、閉め忘れと勘違いして鍵をかけてしまったのかもしれない。こんな時間なので仕方ないといえば仕方ないのだが。
他に開いてる所は無いか探してみると、上の小さなドアが開けっぱなしになっていた。
「不用心だが今は有り難いな」
鞄はそのままの状態だったので、すぐに見つける事が出来た。
走って近づくと、椅子にあの白猫がこちらを見つめたまま座っていた。
「あれ?そういやいつの間にか居なくなってた……」
「みゃー」
白猫は、鞄をくわえると走り出して先程のドアから出ていってしまった。
「あ、こら!」
あんな小さな体で鞄をくわえながら走るってどうやってんだ?
走りながら考えてみるが、全く分かりそうもない。
そうこうしていると、白猫は塀を登り屋根に飛び乗ると振り返った。
「んゎう」
「………ついてこいってって言ってるのか?」
「……はぁ……はぁ……せ、せめてもう少し……はぁ……柔らかい道だと有り……がたいん……だ……がな…」
先程から屋根伝いや崖のような塀、川の石にと人ならざる者が通るような道ばかりで
「も……もう……無理だ!」
そう叫んだとき、白猫が急に止まりこちらを振り返った。
「ちょっ……っうわぁ!」
行動が追い付かず、体を捻り何とか白猫を交わすが、バランスは崩れ足元の植木鉢につまずくと、そのまま塀の向こう側へ倒れ込んでしまった。
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