AmiciziA-友情-

1

 この日のお昼休みは、この学園恒例『Bakery Lunch《ベーカリー・ランチ》』の購買に我先にと大騒動な中、とき一行は向日葵ひまわりの誘いで中庭で豪華にランチをとっていた。


「やっぱ、向日葵ひまわりのが旨いな」


 ときは、向日葵ひまわりが作ったサンドイッチを美味しそうに頬張っていく。

 そんなときの言葉に、向日葵ひまわりは照れくさそうに笑顔を向ける。


「えへへ、まだまだ沢山あるからね」


「……………」


 向日葵ひまわりが、嬉しそうに大きなトートバッグからお弁当を次々に出してゆく中、冬樹ふゆきは飽きれ気味にそれらを見つめる。

 そんな中、ときは次々に手に取って頬張っていく。


「いつも思うけど……ときってよく食べるよね」


 かれこれ10分足らずで、ときの周りには軽く4人前以上の弁当箱がKOされていた。

 向日葵ひまわりは嬉しそうだが明らかに何かがおかしい気がする。

 そもそも、これだけ食べるわりにはときの体は太っておらず少し痩せ気味なくらいだ。果たして何処に栄養がいっているのか甚だ疑問である。

 ときが食べ終わると、向日葵ひまわりは慣れた手付きで紙コップにブレンド茶を入れ渡す。


「こうしてると私達……夫婦みたいだよね」


「そうか?」


 もじもじと照れる向日葵ひまわりとは正反対に、ときは興味無さげにブレンド茶を飲み干す。


「もしもーし、俺いるんですけど!」


 二人のコントに、すかさず冬樹ふゆきがツッコミを入れる。


「でも、今日豪華すぎな気が……」


 ときは、並べられた弁当箱を見ながら呟く。


 今日のメニューは


向日葵ひまわり風シャキシャキサンドイッチ』

向日葵ひまわり風 ごろごろ野菜盛り』

向日葵ひまわり風 栄養素満点手巻き寿司』

向日葵ひまわり風 骨無し魚の煮物』

向日葵ひまわり風 ふわふわかに玉』

向日葵ひまわり風 冷え冷え酢のしゃぶしゃぶ』

向日葵ひまわり風 梅じそ風味のお漬け物』

向日葵ひまわり風 もちもち米粉パン』

向日葵ひまわり風 うさぎ型ハンバーグ』

向日葵ひまわり風 あつあつスープ』


 その他にも色々あるのだろうが、トートバッグに入っているため分からない。


「ここまでくると、悪意を通り越して殺意を感じるな…」


 冬樹ふゆきは苦笑いしながら弁当箱を見つめた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る