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 ホイルを開けると、食欲を刺激する匂いが広がる。上に乗っている人参を食べると、魚の旨味がしっかりと染みていた。

 二人は言葉を交えることはなく、時計の針と皿に箸が小さく当たる音、外からの在り来たりな日常生活の音以外何もない。

 言葉のない空間だったが、1人で食べていた頃よりも温かみを感じたときは、心の何処かで安心感を感じていた。

 ときはライトより早く食べ終わると「ごちそうさま」と言い皿を重ねシンクへと持って行く。帰ってきた頃にライトも食べ終わり、皿を重ねシンクへ持って行く。


「俺は学校があるから、悪いが片付けといてくれるか?」


 上着を羽織ると、何処から取り出したのか眼鏡をかけ、袖口を整え椅子にかけてあった鞄を荒く取り玄関に向った。

 ライトに拒否権は無いようだ。


「いいですよ、気をつけて」


 だが、ライトはそんなときの態度をサラリと受け流し素っ気なく返事をすると、玄関までついていきヒラヒラと手を振った。

 ときは、いってきますも言わず靴を履くと、そそくさと学校へ向かった。ライトはそれを見送ると袖を捲し上げ台所に向かった。


「一人だけの家……ですか」


 そう呟き、部屋を見渡すと蛇口を捻った。

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